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毎日新聞 11月29日(土)7時2分配信
◇派遣会社幹部ら「個人で」 7年間、同時期に各100万円
世耕弘成官房副長官の資金管理団体に大阪市内の人材派遣会社の幹部ら5人が2007年以降、毎年1人100万円ずつ計500万円を一律に献金し、途中で顔ぶれを替えながら7年間続け、08年と09年は献金日も同じだったことが分かった。幹部らは「個人で行っていることで会社は関係ない」と説明するが、政治資金に詳しい専門家は「金額も期日も同じなら自由意思なのか疑問。寄付の強制や偽装献金など政治資金規正法に抵触する可能性もある」と指摘している。【杉本修作】
政治資金収支報告書などによると、世耕氏が代表を務める資金管理団体「紀成会」は07年、この人材派遣会社の会長とその母、社長、社長室長、会長の父親でもある名誉会長の計5人からそれぞれ100万円、計500万円の個人献金を受けた。11年までは献金者、金額とも同じで、このうち08年と09年は献金日も一緒だった。12年には会長の母が献金者から外れた一方で常務が新たに加わり、28日に収支報告書が公表された13年分まで同額の献金が続いている。
同社幹部らによる献金は02年に始まり、05年までの4年間は会長とその母、社長、取締役の計4人がそれぞれ年80万円、計320万円を一律に献金していた。
06年には取締役が外れる一方で名誉会長と社長室長が加わり、計5人のうち3人は150万円、2人は100万円とばらついたが、07年以降は再び一律の金額に戻り、献金総額は過去12年間で5430万円に上る。
民間信用調査会社によると、同社は1967年創業の非上場企業で、従業員は臨時も含め約4500人。ビル管理や警備、人材派遣などを手がけ、東京などに支店がある。売上高は110億円余りで、文部科学省など官公庁からの受注が約3割。ビル管理業務の受注増や、警察業務を民間委託した駐車監視業務の新規受注などで、売上高はここ10年余りで倍増している。
◇世耕氏自身、細野豪志氏を追及
政治資金規正法は資金管理団体などへの企業・団体献金を禁じており、個人名義での献金が実際には企業・団体献金に当たるのではないかと過去にたびたび問題視されてきた。世耕氏自身、12年3月の参院予算委員会で、細野豪志環境相(当時)の資金管理団体がパチンコ業界団体幹部ら6人から年間総額71万円の献金を受けたと指摘し「振込日(献金日)まで同じで、実質は業界団体からの献金ではないか。説明責任を果たすべきだ」と批判していた。
人材派遣会社の会長は「献金のきっかけは父(名誉会長)が学生時代、世耕氏の祖父の弘一氏(元衆院議員)にお世話になったと知ったこと。いつ始めたかは記憶にない。個人が行っており、弊社が調整する理由はない」と文書で回答。社長も「個人として応援しており、社業とは関係なく、部下にも献金は指示していない」と文書で回答した。
世耕氏の事務所は「個人の支援者からの寄付を忠実に報告書に記載した。企業献金とは認識していない」と文書でコメントした。
◇偽装献金の恐れ
政治資金制度に詳しい岩井奉信・日大教授(政治学)の話 金額も期日も同じなら、自由意思で献金しているのか疑われる。政治資金規正法で禁じられている寄付の強制、または会社側が補填(ほてん)していれば偽装献金の可能性もある。クロに近いグレーの献金だ。ただし立証は難しく、規正法の大きな抜け道として多用されている。まずは政治家が襟を正し、こうした献金を自粛すべきだろう。
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