http://www.asyura2.com/14/senkyo175/msg/263.html
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内閣官房参与の地位にある人が、赤字国債の積み上げを「ネズミ講システム」と広言するのは、“身も蓋もない”だけでなく、政府債務に関する誤った理解を広めることになる。
浜田氏は、消費税増税を1年半延期したからといって財政面で重大な問題を引き起こすわけではないと“安心感”を与えたかったのだろうが、その説明のなかで「ネズミ講」なる用語を使うと逆効果になることに気づかなかったのだろうか。
浜田氏の「政府債務は累増を続けているが、「実現可能なネズミ講システムだ。普通のネズミ講はどこかで終わって破綻するが、どこの政府でも次の納税者は必ずあらわれる」」という説明を聞けば、ただビックリしてしまう人は別として、多くの人は、子や孫といった次世代にツケを回すからいいんだと言っているように解釈するか、国家が存続する限り納税者は現れ続けるのだから公的債務は永遠に積み上げることができると言っているように解釈するだろう。
(ちまたのネズミ講についても、浜田氏の説明を援用して、“新しく生まれておカネを稼ぐ人は必ずあらわれる”という理屈で、ネズミ講主催者が営業活動をしっかり行えば破綻しないということができる)
政府債務の積み上げは、ネズミ講システムとはまったく別ものである。
政府債務を積み上げながらの歳出拡大(維持)の継続は、国民として先行して生きる人には経済的利益をもたらす一方で、後代の国民には負担増を強いる(ツケを回す)というものではない。
赤字財政支出が悪性インフレを引き起こしていない限り、それは、政府がGDPないしGNI(国民総所得)の未利用(未使用)部分を“活性化”するものと評価できる。
(生み出した(稼いだ)付加価値が退蔵されて再生産に投じられない法が問題。退蔵している人(企業)も、税金で巻き上げられるよりは政府に貸すほうが得だと判断するだろう)
制御できないインフレで財政が実質的に破綻するのは、債務の積み上げという“過去”のせいではなく、現在のナショナルミニマム的総需要に国内供給力ないしGNIが大きく不足するような事態が現出したときである。
おカネに囚われたり踊らされたりしている人には財政問題も解が見えない。
おカネを食べたり飲んだり着たり、おカネで住まいを建てるわけではないことをまず理解しなければならない。
おカネは、現実として破壊的と言えるほどの力を誇示しているが、論理的には手段でしかないのである。手段の過不足を基準にしている限り、経済の問題を解くことができないのは自明でろう。
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アベノミクスは失敗してない、増税延期は当然=浜田内閣官房参与[ロイター]
2014年 11月 18日 13:47 JST
[東京 18日 ロイター] - 内閣官房参与を務める浜田宏一・エール大名誉教授は18日、自民党議員との会合後に記者団に対し、来年10月の消費税再増税の先送りは当然とし、1年半の延期が妥当との認識を示した。17日公表の7─9月期の実質国内総生産(GDP)は予想外のマイナス成長となったが、アベノミクスは失敗していないと強調した。
浜田氏は消費税再増税について、先送りが「当然」とし、実施時期についは「安心感を与えるためにも1年半後に実施するとの意見に私は近い」と語った。
7─9月期の実質GDPは、前期比マイナス0.4%(年率換算マイナス1.6%)と2四半期連続のマイナス成長となったが、これまでの景気もたつきは4月の消費税率引き上げなどによるものとし、「アベノミクスは失敗していない」と指摘。もっとも、日本の潜在成長率が低迷していることは「情けない」と述べ、潜在成長率引き上げに向け、法人税率の大胆な引き下げや規制緩和、女性の活用、環太平洋連携協定(TPP)などアベノミクスの第3矢に注力する必要性を強調した。
消費税再増税の延期で日本の財政に対する信認が揺らぐ懸念があることに対しては、
増税をめぐる最近の議論を受けて株価が上昇していることをあげ、「日本経済に対する信頼は増税を止めた時の方が増えている」と指摘。世界の投資家は日本の財政が立ちいかなくなるとの心配よりも「日本経済全体が動けなくなることを心配していると思う」と語った。
そのうえで、日本が民間と政府を合わせて世界最大の対外資産を保有していることに触れ、「日本ほど親が働いて資産を溜めている国はない」と主張。政府債務は累増を続けているが、「実現可能なネズミ講システムだ。普通のネズミ講はどこかで終わって破綻するが、どこの政府でも次の納税者は必ずあらわれる」とし、「政府が自転車操業でお金を借りまくることはいいことではないが、政府と民間を合わせれば、消費税を先送りしても信頼が崩れることはない」と述べた。
日銀は10月31日に電撃的な追加緩和に踏み切ったが、浜田氏はこれまでの日銀の対応で「金融政策をやれば効くことがわかった」と指摘。金融政策は「今後もしっかりやってほしい」としたが、足元で労働需給がひっ迫していることなどからインフレが急速に進行する可能性もあり、日銀による追加緩和はしばらく必要ないとの見解も示した。
(伊藤純夫)
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http://jp.reuters.com/article/JPbusinessmarket/idJPKCN0J20B320141118
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エコノMIX異論正論
池田信夫
財政赤字の「ネズミ講」はいつまで続けられるか
2014年11月19日(水)16時56分
安倍首相は18日夜に記者会見し、消費税の増税を先送りして衆議院を解散することを表明した。彼は財政健全化目標については「来年夏までに達成に向けた具体的案計画を策定いたします」というだけで目標を示さなかったが、彼のブレーンである浜田宏一氏(内閣官房参与)は、ロイターのインタビューに次のように答えている。
[政府債務は]実現可能なネズミ講システムだ。普通のネズミ講はどこかで終わって破綻するが、どこの政府でも次の納税者は必ずあらわれる。政府が自転車操業でお金を借りまくることはいいことではないが、政府と民間を合わせれば、消費税を先送りしても信頼が崩れることはない。
「ネズミ講」は原文ではPonzi schemeとなっており、バーナード・マドフなどの行なった出資金詐欺をさす。これは出資者に高い運用利回りを約束するが、実際には運用益は上がっておらず、新しい出資者の資金を利益として分配し、その元本を食いつぶす犯罪である。政府関係者が「詐欺をやっている」と認めるのは珍しい。
ここで既存の出資者を現在の年金受給者、新しい出資者を将来の納税者に置き換えると、このしくみは納税者が無限に増えれば維持できる。国債を返済しないで借り換え、その金利負担を将来の納税者に先送りすればいい。つまり浜田氏は「自転車操業」を永遠に続ければ、財政健全化は必要ないと言っているのだ。
政府債務が膨張しても、日銀がその国債を買えば金利上昇は防げる。極端な話、日銀が国債を100%買い占めれば、税金は必要なくなる。これが「バーナンキの背理法」と呼ばれるもので、論理的には正しい。もしそれが可能なら、中央銀行が財政を維持する「無税国家」が可能になる。
もちろん、そんなことはありえない。国債の残高が増えると金利負担が増え、インフレになる。どこかで納税者が負担に耐えられなくなると、ネズミ講は終わる。終わったとき清算すると、年金生活者などに分配してしまった金は返ってこないので、財政には大きな穴があく。問題は、このネズミ講がどこで終わるかである。
日本の政府債務は1038兆円だが、これをすべて返済する必要はない。政府債務が一定の水準で安定すれば、金利が大きく上がらない限り借り換えることができる。その基準をプライマリーバランス(基礎的財政収支=PB)と呼び、これを黒字にする目標が中期財政計画の財政健全化目標だ。
今の目標では2020年にPBを黒字にすることになっているが、これは名目成長率3.3%という非常に高い成長を想定しても実現しない(過去20年の平均は約1%)。今年はマイナス成長とみられているので、消費税8%ではPBの赤字は増え、政府債務は発散する。それはいつごろまで維持できるだろうか。
歴史上、GDP(国内総生産)の2倍を超える政府債務を(政権が倒れないで)返済したのは、イギリスだけである。特に第2次大戦でGDPの2.5倍の借金を抱え、これを0.5倍まで減らすのに30年以上かかった。
これは金利を規制で低く抑えるするととともに通貨を大量に供給し、人為的インフレでマイナス金利にする金融抑圧のおかげだ。このため1970年代には、図のように国債の金利は15%を超え、20%を超えるインフレが起こって、イギリスはヨーロッパの最貧国になった。
いま日銀のやっているのも、ゼロ金利のもとでマネタリーベース(資金残高)を膨張させ、実質金利をマイナスにする金融抑圧である。このように国債を引き受けて財政を支える財政ファイナンスは中央銀行のタブーだが、別に違法ではない。「これは財政ファイナンスです」と宣言して行なわれることもない。
このまま日銀が国債を買い続けると、来年はマネタリーベースがGDPの70%を超え、2030年にはGDPの4倍になる。そこまでに必ずインフレが起こり、円が暴落して金利が上昇するだろう。これによって日銀も金融機関も多額の評価損を抱えるが、これも最終的には税金で穴埋めされる。
ただ日本国債は90%以上を国内の金融機関が保有しているので、円安でも対外債務が膨張せず、コントロールしやすい。日銀は金融抑圧のシミュレーションもしており、消費税を10%に上げれば徐々に国債を売って退却できると計算していたのだろう。ところが安倍首相は、その増税を先送りしてしまった。
黒田総裁は19日の記者会見で「財政規律が失われると、財政の重要な機能である公共サービスの提供、所得の再分配、景気調整機能、すべてについてさまざまな問題が生じうる。財政規律はきわめて重要。それを守っていかれることを強く期待する」と懸念を表明した。政府と日銀の歯車が狂い始めた今、ネズミ講の終わりは意外に近いかも知れない。
http://www.newsweekjapan.jp/column/ikeda/2014/11/post-891.php
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