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ノーベル経済学賞・クルーグマン教授の言う通り!「消費税10%」は、ただちに白紙撤回が正しい 急転直下!いざ年内総選挙へ
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/41193
2014年11月26日(水) 週刊現代 :現代ビジネス
■デフレに逆戻りしてしまう
「今年4月に行われた1回目の消費増税で、せっかく上昇しようとしていた日本経済の勢いが失われそうになっています。いまここでさらに増税すると、完全に推進力が失われてしまう可能性があるのです。
いったんそうなってしまえば、安倍総理が就任してからやってきたことがすべて振り出しに戻り、今と同じ状態にすることはほとんど不可能になるでしょう。だから絶対に増税してはいけません。とにかく、いま一番重要なことは、デフレを脱却して、安定した経済成長のもとインフレを起こすことなのです」
本誌の取材に対して、こう語るのは、ノーベル経済学賞受賞者でプリンストン大学教授のポール・クルーグマン氏である。同氏は今月初めに来日した折、安倍総理と会談し、早い段階で追加の消費増税を行うことのリスクについて警告した。一部では、この会談こそが安倍総理に「再増税見送り→解散総選挙」を決意させるきっかけとも言われた。
クルーグマン教授の言う通り、4月の8%への増税の影響は日本経済の根幹を揺るがしている。さらには折からの円安で、穀物や天然ガスといった輸入品の価格は高騰しており、日常的な食料品の価格から電気代やガス代などが目に見えて上昇している。大方の日本人にとって、急激なインフレに賃金の上昇が追いつかない「悪いインフレ」状態になっており、一度は緩みかけた財布の紐が締まりつつあるのだ。
総理とクルーグマン教授の会談を設定した内閣官房参与の本田悦朗氏は語る。
「昨年来、国民の間に『長いあいだ苦しんだデフレから脱却できるのではないか』という期待が生まれようとしていました。ところが、今年4月の増税で国民の将来に対する予想は不安定になってしまった。ここでさらに増税を決めると景気に水を差すことになる」
経済ジャーナリストの荻原博子氏は「消費増税は延期ではなく、『白紙撤回』にすべきだ」と力説する。
「東京商工リサーチの調査によると、今年の1月~9月に倒産した企業の数は前年比で2・4倍になっています。これは明らかに円安に起因する倒産です。もしここで再び増税したら、さらに『消費税倒産』する企業が出てくるでしょう」
■かえって税収が下がるだけ
産経新聞編集委員の田村秀男氏も、一貫して消費増税に反対してきた。
「金融緩和をしながら増税するのは、アクセルとブレーキを同時に踏むようなもの。こんな無茶苦茶をやっていると、日本は壊れてしまう。消費税を8%に引き上げたことのマイナス効果は、'97年に5%に引き上げたときよりも深刻です」
'97年当時、日本経済はバブル崩壊後の苦しい状態からようやく抜け出そうとしていた段階だった。ところが、そこで足早に消費税を上げてしまったことがデフレスパイラルの引き金となり、悪循環に陥ってしまったのだ。嘉悦大学教授の高橋洋一氏が当時のことを振り返る。
「橋本龍太郎内閣が消費増税した結果、所得税も法人税も減少しました。財務省(当時、大蔵省)はアジア通貨危機のせいにしたが、実際はデフレ下で増税したために景気が冷え、企業収益も所得も減ったため、全体としての税収も減ったのです」
増税することでかえって税収が減ってしまうとは悪い冗談のような話である。
税収減が現実になれば、政府が支払う社会保障費はますます削られ、国民はまともな医療や介護、教育といったサービスを受けられなくなるだろう。医療費自体は消費税の対象ではないので、すぐさま額が上がるわけではないが、結局、保険料を高く支払ったり、サービス内容のレベルを下げることで帳尻を合わせないといけなくなる。
景気腰折れを示す数字は各方面に出てきている。例えば昨年まで好調だった不動産業界。今年9月の首都圏マンション販売戸数は前年同期比で44・1%減。反動減というレベルを超えた減少が続いている。インフレで物価とともに不動産も給料も上がっていくというアベノミクスの根本が揺らぎ始めているのだ。
現在、東京では'20年のオリンピックに向けた大型プロジェクトが次々に進められようとしているが、この調子だと頓挫する計画も出てくるかもしれない。
やはりいくらインフレ策を進めても、所得の増加がなければ、安定した経済成長は望めない。経済評論家の森永卓郎氏は、「スタグフレーション(景気が停滞しているのに物価だけが上がる状態)」のリスクを指摘する。
「インフレ下にもかかわらずサラリーマンの賃金はなかなか上がらないという状態です。要するに、リーマンショック後に起きたような景気後退が、インフレ下で起きることになります」
リーマンショック時は、まだ日本はデフレのただなかにあった。牛丼屋やユニクロのような安売りビジネスモデルが活況を呈し、稼ぎが減った人でもさして生活レベルを落とさずに暮らしていける安心感があった。
しかし、同じ景気後退がインフレ下で起きると、食うや食わずの生活を強いられる人が大量に出てくる恐れがある。事実、「安くてうまい」外食の定番だった牛丼店や餃子店といったファーストフード・チェーンも、今年に入って原材料費の高騰などを理由に次々と値上げに踏み切っている。
また、ワタミやマクドナルドのような低価格で勝負し、デフレ時代には成功モデルとしてもてはやされた企業が、消費増税とインフレによって一様に失速している。ワタミは'14年度に102店の閉店を決定しており、マクドナルドは今年1~9月期に上場以来初の経常赤字(75億円)に転落した。インフレという点では、デフレ企業の代表格であるユニクロも今年の夏から5%程度の値上げを実施している。
今まで庶民の味方だったような企業がそろいもそろって政府のインフレ策に乗らざるを得なくなり、人々の財布の中身だけが追いつかないという悲惨な状況が目の前に迫っているのだ。
賃金だけでなく年金も物価上昇についていかない可能性が高い。年金には物価上昇に応じて支給額がスライドする仕組みがあるが、昨今の年金財政の窮乏状態からみて、やすやすと給付額が上乗せされるとは考えにくいからだ。年金生活者は、給与が上がるタイミングよりも年金支給額が上がるほうが遅れると覚悟しておいたほうがいい。
アベノミクスの仕掛け人の一人といわれる衆議院議員の山本幸三氏は語る。
「4月の増税で実質所得がさらに落ち、消費が縮小したことで景気回復が遅れています。とくに所得が低い層の落ち込みが大きい。それと地方が厳しいですね。世代でいうと30~40代の落ち込みが目立ちます。株が上がり、円安になっても、金融資産や海外資産を持っている富裕層だけがいい思いをすることになります」
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの経済・社会政策部主任研究員の片岡剛士氏は「そもそも消費税は、低所得者に対して厳しい税だ」と語る。
「累進性がある所得税などと違って、消費税は一律同じ税率です。低所得者のほうが、所得のうち消費に回す金額の割合が高いので、所得に対する税の負担率も高くなるのです」
もともと今回の消費増税に関しては、「増税分の収入は社会保障の財源にあてられる」という説明がなされてきた。しかし、増税のしわ寄せが弱者に向かってしまうのでは本末転倒このうえ、さらに10%に上げるなど狂気の沙汰だ。
■誰も望んでいない
景気の腰を折り、国民生活をさらなる窮乏に追い込むだけの消費増税。だが、なんとしても増税を実現したい増税派は、「国際的信用」を盾に、増税先送りがいかに愚策かをしきりに強調している。だが、前出の山本議員は語る。
「増税派が主張するように、いま増税しないと日本の信頼がなくなるということはありません。むしろ米国のルー財務長官や海外の投資家たちは、増税は急がなくてもいいという発言をしています。日本が増税で倒れたら、世界経済全体の先行きが怪しくなりますからね」
実際、海外の識者たちからも「消費増税はとてもひどいアイディアだ。日本は消費が弱すぎるので、増税ではなく減税すべきです」(英「フィナンシャル・タイムズ」紙論説委員マーティン・ウルフ氏)、「日本は自国の経済を成長路線に乗せるべきです。消費増税はまさにこの目標に反する政策です」(経済政策研究センター共同所長ディーン・ベイカー氏)と、増税に待ったをかける声が次々と上がっている。
増税派が、消費税を上げる必要があることを説明するときによく利用するのが、「増税して財政再建をしないと、日本政府に対する信頼が揺らぎ、国債が暴落、金利が急騰する」というもの。欧州危機で信用不安に陥り、暴動が起き、公的サービスがストップしたギリシャのような事態に日本も追い込まれるというシナリオである。
だが、「そのような話は杞憂に終わるだろう」とベイカー氏は語る。
「日本の国債はほぼ国内で消化されており、極端に低い金利を維持しています。その金利負担はOECD諸国の中でも最低レベルですので、信用不安など心配する必要はありません」
起こりもしない「国債暴落」や「信用不安」を狼少年のように繰り返して、消費税を上げようとする増税派たち—彼らの口車に乗せられていては、せっかく浮上しかけている日本経済も離陸に失敗してしまう。
「消費税が8%から10%になると心理的な負担も大きい。例えば10万円のものを買ったら、税金で1万円も持っていかれるのですから、税金を払わされているという実感も強まり、消費者の財布の紐はきつくなるばかり。間違いなくデフレに逆戻りでしょう」(前出・片岡氏)
前出の本田氏は「デフレに戻ってしまうと最初からアベノミクスをやり直すはめになる」と警戒する。
「しかし、実際にはやり直しはできないでしょう。いまは日銀が思い切って金融緩和をして景気を持ち上げようとしている。同じことをもう一度くり返すことは現実的に難しいのです」
百害あって一利なし。増税時期を延期するなどという中途半端な修正ではなく、今すぐ10%への増税案を白紙に戻せばよい。
「週刊現代」2014年11月29日号より
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