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深層スクープ12・14解散総選挙「全情報」安倍総理の狙いは小泉「郵政選挙」の再来だ 急転直下!いざ年内総選挙へ
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/41190
2014年11月25日(火) 週刊現代 :現代ビジネス
最初は、誰も本気じゃなかった。だが、一度吹き出した「解散風」を見て、安倍総理は決断した。「ならば、この風を利用すればいい」この勝負、吉と出るか、凶と出るか。
■安倍総理は本当にハメられたか
ついに目前に迫った衆議院総選挙。
自民党内の「裏切り者」に総理はまんまとハメられ、クーデターを起こされるという最悪の形で、解散総選挙にまで追い込まれた—今回の経緯を、野党はそう言って槍玉に挙げている。
だが、安倍総理は本当に「裏切り者」の餌食となったのだろうか。
「この選挙戦が終わる時、最後に立っているのは俺だ」
むしろ、これまで密かに解散への布石を打ってきた総理は、そう心中でほくそ笑んでいることだろう。
永田町に流布する警句のひとつに、「外遊は政局のもと」というものがある。
海外で分刻みのスケジュールをこなす総理には、なかなか国内を顧みる余裕がない。行き先が遠ければ、時差も障壁となる。大事件が起きようと、政敵が好き勝手をしようと、マスコミがいくら騒ごうと、対処のしようがないのだ。
「ゴルフは好きだが、外遊のほうがもっと好き」とうそぶく安倍総理は、事実、御嶽山噴火や、小渕優子経産相と松島みどり法務相の辞任といった直近の一大事も、海外あるいは機内で耳にした。
そして、北京で習近平中国国家主席と握手する総理を横目に過熱した、この「解散政局」だ。総理の留守中、「鬼の居ぬ間に」とばかり猛烈なキャンペーンが仕掛けられ、「世論」が一気に作られる。帰国した総理は、それを追認せざるを得ない。「外遊と政局」の関係を示す、教科書通りの展開である。
今回、総理の留守中に解散総選挙の既成事実を作り上げるという、一種の「クーデター」が実行に移されたという事実は、確かに安倍総理の求心力低下を如実に示している。自民党中堅議員がこう話す。
「党内は、第二次安倍政権始まって以来最悪の混乱状態ですよ。今月に入ってからというもの、総務会をはじめ各部会では『アベノミクスは失敗だ』という声が公然と噴出していた。
しかも、中堅や若手の議員が夜に会合を開けば、『安倍さんはこの先、もう長くないな。体調の面から言っても、今年いっぱいじゃないか』『次は誰に付いたらいい?谷垣さんか、麻生さんか』なんて話で持ちきりでしたから」
十字架にかけられて処刑される前の晩、イエス・キリストは一緒に食卓を囲む弟子たちに向かって、
「あなたがたのうちのひとりが、わたしを裏切ろうとしている」
と言った。「裏切り者」とは、直後にイエスの居場所を敵方に密告することになる弟子、ユダのことだった。かの有名な「最後の晩餐」のワンシーンだ。
イエスを裏切ったのは、ユダ一人だけだった。しかし、日本政界のトップに君臨する安倍総理にとっては、身内の自民党議員も含めたあらゆる政治家に、寝首を掻かれる可能性がある。たとえ酒を酌み交わした相手であろうと、いつ一転して敵になるか分からない。
■誰も反論できない「増税延期」
今年は安倍総理にとって試練の年だった。「成長戦略」と繰り返しながら、事実上は黒田東彦日銀総裁による、ジャブジャブの金融緩和で株価を維持するほかない状態に追い込まれたアベノミクス。土砂崩れ、台風、火山の噴火と相次いだ天災。日本側を待たせに待たせて、あげく「本格的な調査はこれから」と舌を出し、拉致問題再調査の進捗情報を出さない北朝鮮。50%を切り、下降線を辿る支持率のテコ入れを狙った内閣改造は裏目に出て、「政治とカネ」で閣僚が次々と辞めてゆく—。
総理の胸中には、かつて自分が退陣に追い込まれた'07年、第一次政権末期の惨状がよみがえったことだろう。しかも行く手には、10%への消費税増税という高すぎる山が待ち構えている。今の政権の体力では、どうあがいても乗り越えようがない。安倍政権は、文字通り「詰んだ」のである。
「もはや政権に後がないことは、誰の目にも明らかでした。そこを狙って猛攻をかけたのが、渡邉恒雄氏率いる読売新聞だった。
読売は今月10日以降、連日あらゆる政治記事に『総理は解散総選挙を決断したが……』と前置きをつけて、『増税見送りなら解散』を確定情報として報じました。『かねてからロビイングを進めていた新聞への軽減税率適用が通らないなら、いっそ消費税増税そのものを止めてしまえ』とキャンペーンを張るよう、ナベツネが直々に命を下したとも言われています」(全国紙政治部デスク)
北朝鮮の拉致問題は空振り、閣僚スキャンダルも打ち止めになったいま、解散総選挙は、消費税増税阻止という新聞社にとっての長期的利益にもつながる、まさに一石二鳥の「大ネタ」だったというわけだ。
さらに、こうした新聞社の意向を汲んで、官邸側で情報提供などに動いたのが、安倍総理の「お友達」を自任している萩生田光一総裁特別補佐だったという。ある官邸スタッフはこう証言する。
「『萩生田さんが、混乱を大きくしている張本人だ』と非難する声が官邸内で出ています。総理が国会答弁で、朝日新聞の記事について『捏造だ』と言い出したときにも彼がかかわっていたといいますし、読売からの相談も受けていたらしい。いくらなんでも解散風を煽りすぎ、(情報を)出しすぎじゃないか」
一方で、今回の解散総選挙の「大義」は何なのか、と未だに訝しく思っている国民は少なくない。
元を辿れば、消費税増税は自民党・公明党・民主党の三党合意で敷かれたレールだ。巷で言われている総選挙の「大義」は、この合意を反故にし、増税関連法の再改正を行うために民意を問う、というものである。
しかし、いまや大多数の国民が増税延期を望んでいる。7~9月のGDP速報値を鑑みても、さらなる増税を叫んでいるのは財務省と空気の読めない一部の政治家だけ。堅物、マジメが取り柄の民主党さえ「それでも増税すべき」と民意と正反対の「志」を貫いて、みすみす負けるわけにはいかないだろう。
つまり、消費税増税の延期は「誰にも反論できない政策」なのだ。これが、いまひとつ総選挙の焦点が見えてこない理由である。
では、なぜ安倍総理は、自らの留守中に作り上げられたこの「増税延期なら解散」という、対立軸のはっきりしない不自然な構図を呑んだのだろうか。
実は総理の内心には、この解散総選挙を「総理は謀反を起こされた」「大義のない、追い込まれ解散だ」と表面的に断じる野党や一部のマスコミが気付いていない、ある「計算」があった。
「安倍総理は本当にハメられたわけではなく、解散総選挙を最大限に利用するために、『追い込まれたフリ』をしているのではないか」
と明かすのは、ある自民党ベテラン議員だ。
「議席を減らしても勝ちは勝ちだから、この選挙が安倍政権の延命につながるのは言うまでもない。組閣をもう一度やり直して、続出する閣僚のスキャンダルをチャラにしたいというのももちろんある。
でも、狙いはそれだけじゃないでしょう。安倍総理が本当にやりたいのは、解散総選挙という『伝家の宝刀』を振るって、党内の裏切り者をあぶり出すこと。つまり、'05年に小泉(純一郎元)総理がやった、あの『郵政選挙』と同じです」
民意は増税先送りに大きく傾いているにもかかわらず、実は自民党幹部には驚くほど増税推進派が多い。麻生太郎財務相、谷垣禎一幹事長を筆頭格として、高市早苗総務相、宮沢洋一経産相、高村正彦副総裁、二階俊博総務会長、野田毅税調会長などは軒並み「増税やむなし」を唱えてきた。
これに対して、めぼしい増税先送り派幹部は安倍総理本人、菅義偉官房長官、塩崎恭久厚労相くらいだ。甘利明経済再生相や石破茂地方創生相、小泉進次郎復興政務官など態度を明確にしていない有力議員は難しい判断を迫られている。
「この期に及んでまだ『何としても増税すべき』と言っているような議員は、言いかえれば『安倍政権は潰れてもかまわない』と言っているのと同じ。増税すれば経済はもたないし、ひいては政権ももちませんから。総理は自民党内のそういう潜在的な抵抗勢力を、消費税増税を『踏み絵』にしてこの機会に一掃しようと考えているのです」(前出・ベテラン議員)
■腐ったリンゴは排除する
周知の通り、かつて安倍総理は相次ぐ閣僚の不祥事と、悪化する持病の潰瘍性大腸炎のダブルパンチを喰らい、満身創痍で政権を投げ出さざるを得ない状況に追い込まれた苦い経験がある。現在、総理の「お友達」と揶揄される最側近たちは、もとはと言えば、このどん底の時代にも総理の下に残って彼を支えた人々である。
そして今回、安倍総理は再び、信頼に足る腹心をふるいにかけようとしている。箱の中に腐ったリンゴがひとつ混じっていれば、やがてじわじわと他のリンゴまで腐ってゆくことになる。そうなる前に、悪いリンゴは徹底的に取り除かねばならない。そのための解散総選挙だというのだ。
そうした観点から見ると、たとえば先述の、事情を知らない官邸スタッフたちには不可解に映った萩生田氏の動きなどは、実は安倍総理の意を汲んでの行動だったのだと合点がいく。
「選挙をやるタイミングとしては、やはり年内しかなかった。このままズルズルと政権を維持しても、経済は下り坂にさしかかり、来年前半は原発再稼働や集団的自衛権行使容認の法案整備と、世論の反発を食う政策ばかり。しかも、来春の統一地方選では自民党がボロ負けするかもしれない。その後で総選挙となれば、下手をすると『政権交代だ』という世論にすらなりかねないから、どうせやるなら今だったのは確かです。
でも、いい口実がない。国民に向かって『政権維持のために選挙をやります』とは言えないですから。だから、マスコミが喧伝してくれた『増税解散』という大義は、安倍総理にとっても渡りに船だったわけです。それが、あえて新聞の思惑に乗ってみせた官邸中枢の計算だった」(前出と別の自民党中堅議員)
本誌はこれまで、「政治状況を客観的に分析すれば、解散総選挙のタイミングは年内しかない」そして「消費税増税の延期を掲げれば、確実に自民党が勝つ」という旨を再三報じてきたが、これらを「荒唐無稽」と一蹴する政界関係者は少なくなかった。
しかし、安倍総理は早い段階で、具体的には臨時国会召集前後の9月末から、解散総選挙を意識していたのではないかという見方もある。政治評論家の有馬晴海氏が言う。
「今回の臨時国会を見ていると、『地方創生』と繰り返すばかりで、重要な法案は出ていない。おそらく総理は、拉致被害者の帰国が実現するようなら、すぐにでも解散に打って出る腹積もりだったのでしょう。
10月下旬に自民党がカジノ法案を引っ込めたのは、この法案に反対していた公明党に対して『カジノはやらないから、その代わり選挙はよろしく』と選挙協力を依頼したからというのが真相です。谷垣幹事長が公明党幹部と面会したのは10月29日でしたが、その前からすでに自民党内では解散総選挙の方針が固まっていたのだと考えられます」
安倍総理には、命にかえても果たしたい野望がある。それは祖父である故・岸信介元総理から受け継いだ、憲法改正である。
周知の通り、憲法改正には衆参両院の3分の2以上、そして国民投票での過半数の賛成という高いハードルが設けられている。安倍総理が「2020年東京オリンピックまでの長期政権」を目指すのは、何もオリンピックの開会式でスピーチがしたいから、というだけの理由ではない。その頃まで政権の座にいれば、日本中を包むオリンピックの一体感と高揚感に乗じて、憲法改正の国民投票にも手が届くと信じているのだ。
■「野望」実現に向けた解散劇
「今、自民党は割れ始めている。麻生さんや谷垣さんは、ポスト安倍を狙っていることを隠さなくなってきているし、『安倍総理の個人的な野望には付き合い切れない』というのが彼らのホンネでしょう。
一方で安倍総理にしてみれば、憲法改正発議までに、自民党を完全な一枚岩にまとめあげなければならない。選挙や内閣改造のたびに党内を純化し、一丸となって憲法改正に突き進む態勢を5ヵ年計画で整える。それこそが、総理の真の目的ではないか」(自民党幹部議員)
小泉元総理は、かつて国会でこう叫んで拳を振るい、喝采を浴びた。
「私の内閣の方針に反対する勢力、これは全て抵抗勢力です!」
そして、彼に「抵抗勢力」というレッテルを貼られた議員は、直後の解散総選挙、いわゆる「郵政選挙」で刺客候補をぶつけられ、次々と倒れていった。
安倍総理は、小泉氏が自ら後継者として目をかけ、表舞台に引き上げた「愛弟子」である。「アベノミクス」というワンフレーズを繰り返す。支持率浮揚策として拉致問題を利用する。そして、反逆者を粛清すべく解散総選挙に大見得を切る。第二次安倍政権を振り返れば、安倍総理は、小泉氏の政治手法を抜かりなく受け継いでいるということがよくわかる。全ては、残り5年以上の圧倒的な長期政権を実現するためだ。
安倍総理が満を持して解散総選挙を決断したいま、消費税増税先送りに表立って反論する人物は自民党内にもいなくなった。総理の目論見通り、誰もが口をつぐんでいる。
「ここまでくれば、麻生氏や谷垣氏、野田氏といった大物も黙るしかない。国民受けのする増税延期論に乗るしかありません。
党内の引き締めという意味でも、解散には絶大な効果があります。特に、9月の内閣改造であぶれた中堅以上の『入閣待機組』議員が50人以上残っている。『次の内閣改造まで1年はある』と腐っていた彼らにもチャンスが出て、空気が変わり始めた。そうした面から見ると、総理の求心力はむしろ強まっているのではないでしょうか」(政治評論家の浅川博忠氏)
もっとも、この解散総選挙で自民党が現状を超える大勝利を収めるのはほぼ不可能といってよい。安倍総理はそれも覚悟した上で、あえて打って出た。
「幹部の処遇に総理の狙いがよく出ていますよ。石破さんという一時は『ポスト安倍』の最右翼と目されていた人物を、権限もカネも乏しい座敷牢で未だに飼い殺しにしている。おそらく総選挙が終わった後も、『危険人物』は冷遇されるでしょう。すでに党内では、選挙後の人事がどうなるのか、探り合いが始まっています」(前出・自民党ベテラン議員)
抗う者すなわち、裏切り者である—安倍総理は、長期政権を実現するための冷酷な「計算」で、この解散総選挙を乗り越えようとしているのだ。
「週刊現代」2014年11月29日号より
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