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「大企業の空前の利益がやがて賃金上昇をもたらす?:深草 徹氏」
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2014/11/25 晴耕雨読
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大企業の空前の利益がやがて賃金上昇をもたらす?
安倍首相はこんなことを言っている。
「企業の活力を維持することによって、必ず賃金に反映され、消費の増大につながり、また企業の収益が増え、賃金に回っていく。こういう循環に入ることにより、広く国民に景気回復の恩恵が行き渡るようにすべきだ。」
こういう物語をトリクルダウン神話という。
先に結論を言ってしまったが、それが神話であることを論証した本が、ベストセラーになっている。服部茂幸『アベノミクスの終焉』(岩波新書)である。著者は、理論経済学(マクロ経済学、金融政策)専攻で、現在、福井県立大学経済学部教授を務めておられる。
本書では、まず2002年から2008年の間持続した好況局面たるいざなみ景気の実績を検討している。
この時期、製造業における、とくに資本金10億円以上の大企業においては、従業員一人当たり営業利益は急伸し、2002年度を100とすると2007年度には180に達した。これに対し、従業員一人当たり賃金は上昇しなかった。正確にいうと製造業大企業では微増であったが、製造業全体及び非製造業では減少したのである。いざなみ景気は、戦後最長の好景気であったとされているが、このように賃金が低下するというわが国が過去経験したことのない異常な事態であった。しかし、アメリカでは、レーガノミクス以来、これは既に普通の状態になっており、好景気の時期に恩恵をこうむるのは1%のスーパー・リッチであり、一般国民は何らの恩恵に浴していない。
本書が書かれたのは本年2月から4月だが、あとがきの日付である本年6月時点までに公表されたデータは、アップデートしているとのことである。そのデータによって、果たしてトリクルダウンの芽が生じているか検証がなされている。
2012年度上半期、2012年度下半期、2013年度上半期、2013年度下半期の4つの時期区分をして、@全産業/全規模、A全産業/資本金10億円以上、B全産業/資本金1000万円以上1億円未満、C製造業/全規模、D製造業/資本金10億円以上、D製造業/資本金1000万円以上1億円未満、E非製造業/全規模、F非製造業/資本金10億円以上、G非製造業/資本金1000万円以上1億円未満の八つのカテゴリー(企業類型)に区分し、一人当たり営業利益と一人当たり賃金(給与、賞与の合計額。従って名目額である。以下同じ。)の増加額(前年同期比)がグラフで比較対照されているが、これを見ると一目瞭然で以下のことが言える。
資本金10億円以上の各カテゴリー、とりわけD製造業/資本金10億円以上のカテゴリーでは、2013年度上半期、2013年度下半期の各一人当たり営業利益は急増している。資本金1000万円以上1億円未満の各カテゴリーでは、それは多少増加しているものの、ごくわずかである。
2012年度上半期、2012年度下半期には、各カテゴリーとも微増もしくは微減、要するに停滞であった。
これに対し、2013年度上半期、2013年度下半期の一人当たり賃金を見ると、各カテゴリーのほとんどで下がっている。例外はD製造業/資本金10億円以上のカテゴリーだけで、2013年度下半期においてわずかながら上昇している。
逆に2012年度上半期、下半期には、各カテゴリーほとんどで、上昇している。
つまりアベノミクスは、大企業、とりわけそのうち製造業において利益を急増させたにもかかわらず、賃金上昇をもたらしておらず、アベノミクス以前には企業利益は停滞していたが、賃金はむしろ上昇している。
アメリカのレーガノミクスは企業利益を増大させたが、賃金は低下させた。アベノミクス以前には企業利益は増大していないが賃金は上昇していた。アベノミクス1年間の実績は、大企業の利益を急増させたが、賃金は下がっている。この事実から、今後のアベノミクスを予測することはたやすいことである。
トリクルダウンの物語は確かに美しい。だが、それは神話に過ぎないのだ。 (了)
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