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「共感を覚える鳩山さんの話:深草 徹氏」
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2014/11/24 晴耕雨読
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共感を覚える鳩山さんの話
2009年8月の総選挙の結果に日本はわいた。民主党のマニフェストには、不十分さ、不徹底さはあるものの、官僚にコントロールされる政治、米国にコントロールされる政治から脱却することを目指し、普通の国民の生活を大切にするという方向性が確かに感じられた。国民はそれを支持したのである。マニフェストには入っていなかったが、鳩山さんが、民主党の機関決定を経て、「普天間基地移設は、国外、最低でも県外」と訴えたこともおおいに受けた。それは発足当初の民主党・鳩山政権に対する支持率は、各世論調査で70%前後、歴代政権の中でもトップクラスであったことに表れている。
その普天間移設問題、外務・防衛官僚のサボタージュと外圧を利用した妨害工作、それにまんまと乗せられた外務・防衛大臣と党内一部有力者の画策で、頓挫し、鳩山さんは県外移設を断念することを余儀なくされた。鳩山さんの相続税問題、小沢さんの土地購入資金疑惑などイレギュラーな問題を利用した自民党やマスコミの総攻撃を受けて、民主党・鳩山政権は、錐もみ状態となり、発足後わずか9ヶ月で、あえなく退陣に追い込まれてしまった。
民主党に託した国民の淡い期待は裏切られ、そのしっぺ返しに民主党をいまだに恨む国民も多い。しかし、私は、今、あらためてあの鳩山退陣劇を降り返り、問題の本質を再度考えて見る必要があるように思う。それには当の鳩山さんのお話を聞いてみるのが一番いいであろう。
退陣して3年近く経過した2013年2月20日、鳩山さんは、沖縄・宜野湾市で、「今語る『県外移設』の真実」と題する講演をしている。以下は、少し長いが、そのときの講演記録から抜粋したものである。
一国の領土のなかに他国の軍隊が存在し続けることは、世界の歴史のなかできわめて異常なことです。日本は、これがどうも当たり前のようになっているかもしれません。
しかし、この「当たり前」が依存につながっています。むしろこれは、アメリカが悪いのではなく、こうした依存を強める日本政治に大きな問題があると思います。
(中略)
「常時駐留なき安保」は、「有事のときだけアメリカは日本の基地を使っていい。しかし、それ以外のときはわれわれが自分たちでやります」という考え方です。「常時駐留なき安保」という考え方があり、そこに向かう一つのステップとして、普天間の移設問題を捉えています。だから「最低でも県外」という発想が生まれてきたと、理解を頂きたい。
事実を少し言うと、1996年に私が新党しきがけを離党して、旧民主党を立ち上げたときの党の理念文書にはこうあります。
「外交の場面では、憲法の平和的理念にと事実にもとづいた歴史認識を基本に、これまでの過剰な対米依存を脱して日米関係を新しい次元で深化させていくと同時に、アジア・太平洋の多国間外交を重視し、北東アジアの一角にしっかりと位置を占めて信頼を集めるような国になっていかなければならない」と。
まさに憲法の平和的理念、そして歴史認識も大事、そのなかで過剰な対米依存を脱却する、そこには新しい日米関係があるということです。そして重要なのは、よりアジアにシフトさせた考え方を転回し、その先に東アジア共同体構想が生まれるわけです。
さらに基本政策のなかで、「沖縄に過度に集中している米軍の施設・区域の整理、縮小に精力的に取り組む。在日米軍(基地)の存在を永遠不変のものと考えるのではなく、国際情勢の変化に伴い、『常時駐留なき安保』をも選択肢の一つとした平和の配当を追求していく」と言っています。
(中略)
旧民主党に属していた前原誠司議員や玄葉光一郎議員などは当然、少なくとも当時はこの政策を納得していたはずです。いまは納得しているかどうかはわかりませんが。
さらに新しい民主党になって、民主党が沖縄の21世紀を決めるビジョンを発表しました。改訂が2度ありましたが、政権交代の前年の2008年に改定した沖縄ビジョンで、日米安保を日本の安全保障政策の基礎としつつ、「日米の役割分担の見地から米軍再編の中で在沖海兵隊基地の県外への機能分散をまず模索し、戦略環境の変化を踏まえて、国外への移設を目指す」と明記しました。
すなわち、私たちはまず県外、できれば国外ということを党の政策として決めたわけです。私が、「最低でも県外」と言ったのは、まさにここから来ています。すなわち、党としての政策だったからです。しかし、この認識が党内でもマスメディアでもきわめて薄く、「最低でも県外」とは、あたかも私一人が勝手に言い出した言葉のように錯覚され、誤解されています。
(中略 一部の関係閣僚の非協力を示唆し、防衛省、外務省の妨害を指摘し、オバマ大統領の好意的対応に触れた後)
いわゆるジャパン・ハンドラーの方がた、日米関係で今まで、まさに安保で生きていたような方がたからすると、決めたことを破った鳩山は憎かったかもしれませんが、それ以外のところでおかしくしたとは思っておりません。
鳩山さんは、「普天間移設問題」に、はじめてまともに向き合った総理大臣であったと言っていいだろう。 残念ながら、今の民主党は、この立場を継承していない。「コンクリートから人へ」も継承していない。今度の選挙、民主党政権の3年間、安倍政権の2年間、しっかり検証したい。安倍政権の悪政に反対する政党は、確かな明日を指し示して欲しいものだ。 (了)
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