国民に考える暇を与えないナチス型政治との対決
http://bylines.news.yahoo.co.jp/tanakayoshitsugu/20141121-00040894/
2014年11月21日 23時41分　田中 良紹 | ジャーナリスト

衆議院が解散された。解散と同時に選挙戦が始まる。その選挙戦は選挙が公示される１２月１日までが本番である。外国と違い日本の公職選挙法は選挙中の運動に様々な縛りをかけており、選挙に入ると自由な活動が出来ない。そのため選挙が始まるまでの運動で当落は決まると言われている。

他の民主主義国では考えられないほど日本の選挙は奇妙な仕組みの中にある。昔、「公職選挙法の珍奇」というブログを書いたので、詳しくはそちらを読んでほしいが、なかでも異常なのは選挙期間の短さである。１年がかりで行われるアメリカ大統領選挙は別格にしても、欧米では選挙期間が短い事を良い事だとは考えない。

国民に判断する時間を与えない事を反民主主義と考える。ところが日本では「選挙にカネがかかる」という理由で選挙期間を短くしてきた。それは現職議員に有利な結果を生みだす。選挙期間が短ければ顔を知られた現職が新人候補より有利になるのは当たり前である。現職議員によって作られた公職選挙法は「政治とカネ」を表向きの理由に世界の民主主義とは逆の方向を向いている。

従って選挙の当落を決めるのは解散から公示までの期間である。それが今度の選挙では１１日間に過ぎない。過去最も短い森元総理の「神の国解散」と並んでいる。前回の野田総理の解散では１８日間、麻生総理の時は４０日間、小泉総理の郵政解散でも２２日間の時間があった。しかし安倍総理の解散は国民に考える暇を与えたくない意思を感ずる。

森元総理は「有権者は寝ていてくれれば良い」と発言したが、安倍総理にも同様の考えが読み取れるのである。国民にじっくり考えられると解散の本音を読み取られてしまうと怖れているようだ。安倍総理は今回の解散を「アベノミクス解散」と自ら命名したが、本音を読み取られる前に国民を誘導し、そのままの形で早く選挙を終えたい。それが見えるのである。

何度も書くのは嫌なのだが、解散・総選挙をやらなくとも消費税引き上げ「延期」は法律に従ってやれた。法律に書き込まれているのだから重大な「変更」ではない。もちろん国民に聞く必要もない。にもかかわらず解散に打って出たのには他に理由がある。

一つは「アベノミクス」に先がない事を知っているからである。日銀の追加金融緩和のサプライズで市場を一時的に驚かすことはできた。しかし上がった株価がいつまで持つか実は気が気でない。その前に足場を固めないと、自民党の中からも足を引きずられる恐れがある。

海外は既に「アベノミクス」には先がない事を論じている。日本国債をすべて日銀が買う体制をどこまで続けられるのか、その出口戦略に疑問がある。出口戦略は先に行けば行くほど難しくなるが、どうするつもりなのかが全く見えない。

外国人エコノミストの中には、日銀が国債を買うのではなく同額を国民に配った方がデフレ脱却に効果的だと主張する人もいる。１年以内に使わなければ無効になるカードで国民に配れば、確実に需要が増えてデフレから脱却できるというのである。

またもうけ過ぎの大企業が抱えている２００兆円を超える内部留保に課税すれば良いと主張する人もいる。大企業は内部留保を設備投資や賃上げに回す事になり、経済の好循環が生まれるというのである。とにかく「アベノミクス」などやらなくともデフレ脱却の知恵はあるはずだという。

しかし安倍総理には誰かから吹き込まれた「アベノミクス」以外の事を考える能力がない。「この道しかない」と言い募って他の知恵を拒否する。「これしかない」と知恵を持たない者に言われても知恵のある者は困る。無理心中を迫られている気になる。

だが安倍総理が相手にしようとするのは知恵のある者ではない。安倍総理は第二次政権誕生以来、国民から合理的判断能力を奪う事を目的に政治を推し進めてきたように思う。政策課題をめまぐるしく国民に提示してじっくり考えさせることをしない。

アベノミクスも特定秘密保護法も集団的自衛権も地方創生も女性の輝く社会も、十分な時間をかけて議論が行われたという実感がない。肝心な議論は常に先送りで課題だけが中途半端なまま既成事実化されてきた。私がこれまで経験した事のない政治である。

それがこの解散劇にも適用されている。何のための解散か分からない解散をするところに安倍総理の目的はあるようだ。それは国民から合理的な判断能力を奪う。そして理性を感情に委ねる国民を創りだす。私は片山杜秀慶応大学教授の著作によってヒトラーが民主主義のドイツ国民をファシズムに引き入れる時に使った手法がそれである事を知った。

ならばこの選挙は日本国民がナチス型政治に組み込まれるかどうかの選挙である。それは戦後史に於いて日本国民が経験した事のない選挙である。その重大な岐路に立ち向かっている事を国民は自覚すべきだと私は思う。考える暇を与えない政治と対決するのである。

コメント
01. 日高見連邦共和国 2014年11月22日 06:43:33 : ZtjAE5Qu8buIw : AMkKUy9Ccg さっき読んだ日刊スポーツでの首相への単独インタビューで、 『民主党政権で復興が進んだか？無能な政府なら無いほうがいい』 とホザイていた！！ 安倍（元）首相に謹んで申し上げたい。 自民党政権で“復興”が加速したのですか？ 被災地の、今なお仮設住宅で暮らす方々の前で同じことが言えますか？ 民主党政権の“無視無策”を擁護するつもりはサラサラありませんが、 民主党政権時はどちらかというと“復旧”にフューズだったんですが、 “復旧”と“復興”の言葉の違いをご理解して発言していますか？ そして、より強い意思でより悪意を持って、国民の意思（願い）と反する 施策を推し進め続ける政権が『無能な政権』よりも“マシ”だと強弁できますか？ 是非お答え願いたいっ！！！！！
02. 2014年11月22日 10:47:48 : qpd25J8Ajs 国民は一瞬でも立ち止まって安倍が国民に何をしたか考えて見たらいい。そしてそれは自分自身の事だけではない。自分の事だけ考えたら本質を見失う事になる。安倍が自慢している良い事株価を上げた、表面上良く見えるが経済が好転して株が上がったのではなくお金を垂れ流して行き場を失ったお金が流れただけ、逆に円の価値を下げ輸入物価を押し上げ投機筋の餌になり投機商品全般を以上に押し上げた。遂には日本の生命線である貿易赤字を増大させ経常赤字を発生させた。つまりは没落への道に導いたのである。そして自力ではその蛇口を止める事はできない。つまり破産への道だ。また垂れ流したお金が何処へ消えたのかも重要だ。経済成長はマイナスに転じ日本はすでに不況に入った、そして物価高騰、これはまぎれもないスタグフレーションである。その悪政（アベノミクス）を続けると言うのだ、黒田は途中で薬を飲むのを止めたら病気は治らないと国民を脅している、しかし消費税増税延期は約束違反だと自分の逃げ口発言をしている、黒田は失敗を自覚しているのだ。国民は１万円取られたのも知らず飴を１個もらって喜んでいるようなものだ。安倍やメディアは経済好転しているというのに自分は良くならないおかしいなと思いながら総理大臣が地方の隅々にまでアベノミクスが行き渡るようアベノミクスを続けますと言われればその内良くなると錯覚するのである。 では安倍のやっている事は何か、日本収奪作戦であり、アメリカの弾除けとなる戦争への道である。TPP,秘密保護法、集団的自衛権、辺野古移転、消費税増税、医療費増額、福祉費カット、法人税減税、英語教育の拡充、原発推進、安倍のやっている事は何一つ国民のためになることはない。やっと気付かれましたか。日本はアメリカの植民地で安倍は単なる奴婢頭なのです。 政治を日本が独立する方向に変えねばなりません。事大主義の戦後の遺物CIA朝鮮統一教会清和会に任す事があってはなりません。小泉竹中安倍こんな奴らにやらせると日本は食い荒らされいや食い殺される事は間違いありません。たぶん安倍は首になると思いますが現状ではまた新手の売国奴が出てくる事は間違いないでしょう。悲しい事です。
03. 2014年11月22日 13:56:37 : axZ7pJogek 考える余裕を与えない、まさにそれですね みせかけの景気回復と財務省牽制をタテに政権を維持して あとの四年間で一気に憲法改正まで突っ走る、 そういうことでしょう 失われた20年間で目先の勝ち馬根性が染みついたこの民族に もはや何を言っても無駄だと思います 唯一無二の対抗軸であった小沢一郎を 寄って集って叩きまくった愚かな日本人、 いずれこのツケは高く付くことに気づくでしょうが その時には何もかも手遅れでしょう
04. 2014年11月22日 14:48:44 : qpd25J8Ajs ＞０２ 訂正 以上に押し上げた→異常に押し上げた
05. 2014年11月22日 15:51:26 : QBrYpzDGwo 　 国民に考える隙を与えない政治、行政ということであれば、それは今始まった事では無く、無謀な参戦により惨めな敗戦を迎えたものの、その後の急速な経済復興を目指すために結成された政財官司法や記者クラブに集うマスコミも含めた一大護送船団方式に起因するものと思う。 　　本来民主主義というのは手間がかかるものである。多数決主義とはいえ、少数の意見も加味しつつ、最大多数の最大幸福を得るには個々の国民の教養、知性、哲学的素養が求められる。 　　それが最大限に生かされるのが議会制民主主義であり、法治主義の最後の砦たる裁判制度であろう。 　　ところが、このような手間を大きく省き、兎に角経済財政を立て直して世界の列強に追いつこうと目論見、実際国を挙げて「欧米に追い付け、追い越せ」をスローガンとした。こうした中で、「２４時間働けますか？」の企業戦士が生まれ、時の権力に異議を唱える層は政治的言辞を呈する人間として忌み嫌われ、ましてや訴訟等を起こすような一般人は国家秩序を乱す危険人物と見做され、企業においても冷遇の対象となったのである。 　　このような背景から生まれたのが「寄らば大樹の陰」「長いものには巻かれろ」「物言えば唇寒し」という格言、近年においては「場の空気を読んで大勢に付く」ことが、国民全般の処世術となった感がある。 　　　要は、「国民納税者は深く物事を考えて理屈や書生論を展開するような生き方をせず、大人しく時のエリートのやることに従っていれば良い」のが戦後教育体系で有ったと言えるだろう。 　　時のエリートというのは実は国民が選んだ議員でも議会でも無く、官僚機構であることは言うまでもない。彼らを中心に政財司法マスコミが付き従って来た結果が高度経済成長であるものの、残念ながら役所というのは完全な守旧であり転換が効かないことを、誰も気付かなかったのである。役所は前例踏襲が命であるものの、その上意下達の構造は役所の中のみで完結しており、驚くべきことに、主権者の存する立法府とはぷっつりと糸が切れているのである。予算編成から人事まで、公僕でありながら主権者の意志が全く入らない上意下達の構造がどのような結果をもたらしたかは歴然であろう。 　　これは日本だけの問題では無く、官僚機構というものの行きつく先の典型である。国民がものを考えないように教育されて来たのは今更ではあるが、その国民が選んだ代表議員がまず官僚機構の操り人形であることを明らかにする者が、あまりにも少なかったと言える。 　　例えば折角の国会論戦も党議拘束によって官僚作成の法案が必ず賛成多数で可決することになっている。論戦やら質問、意見などは議会らしきものを内外に示すための茶番劇なのである。最終的な採決において、個々の議員が一人一党の精神で以って票を入れれば官僚機構への慣性的な血流は止まり、癌細胞は死滅する。 　　今回７００億円もの予算を使用して総選挙をやるようだが、戦後の護送船団によって造られた考えない国民による選挙は、血税がムサシを始めとする選挙関連団体に流れるだけであろう。いわば、選挙も今や公共事業ということなのである。
06. 2014年11月22日 21:04:28 : cGVB3XfUBs 上辺だけ　ナチス真似てる　自民党 やってることは　子供のいじめ
07. 2014年11月23日 01:25:41 : MICzyijtoc 「アベノミクス」なるもの、その正体は格差拡大を生んだアメリカの「トリクルダウン経済」の二番煎じでしかない。 そういうことを多くの日本人が知っていれば別だが、現時点では安倍を支持する日本人のほうが多いような気がする。 安倍本人がアベノミクスの正体を知らない節もあるし（笑）。
08. 新鮮組 2014年12月05日 13:22:42 : hYT1ZzdBhtgo2 : WA3OCMkvGU 日本国民はつくづくだめだなーと思う。 とことんどん底におちなきゃ目が覚めない国民と断言できる。 大儀なき選挙だから投票に行かない。小渕優子さんかわいそう。せめても私の一票ぐらい入れてあげたい。どうせ野党に入れたからと言って政権交代がある訳でもないし。どの野党もバラバラのことをいって実現できないのなら政権をもっている自公にでも入れるか。あの民主党に入れるくらいなら自公のほうがましだろ。

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