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首相はなぜ解散を決断したのか 幻となった4月総選挙 決断を早めたのは…[産経ニュース]
http://www.asyura2.com/14/senkyo174/msg/763.html
投稿者 ニュース侍 日時 2014 年 11 月 20 日 05:51:09: MidD7QyBIEdXI
 

首相はなぜ解散を決断したのか 幻となった4月総選挙 決断を早めたのは…
http://www.sankei.com/politics/news/141120/plt1411200004-n1.html

「民主党はそんなに解散したいのか?」

 10月下旬、安倍晋三首相はこうつぶやいた。

 当初、無風と思われていた秋の臨時国会は荒れに荒れた。9月に民主党幹事長に就任した枝野幸男氏が「私が首相だったら年内解散だ」と吹聴し、解散封じに向け、スキャンダル国会を仕掛けてきたからだ。

 国会は空転し、10月20日には小渕優子経済産業相、松島みどり法相がダブル辞任に追い込まれた。それでも閣僚の追及は止まらない。「撃ち方やめ」を模索していた首相だが、ついに反撃に出た。

 10月30日の衆院予算委員会。首相は、質問に立った枝野氏とJR総連、革マル派の関係を逆に追及した。腹の中は半ば年内解散に傾いていた。

 そして外遊を目前に控えた11月7日。野党側の出席拒否により衆院厚生労働委で90分間も「待ちぼうけ」を食らった首相は一気に動いた。自民党の谷垣禎一幹事長、公明党の山口那津男代表と相次いで官邸で会い、年内解散を念頭に置いていることを伝えた。


× × ×

 そもそも首相は年内解散など想定していなかった。平成24年12月の就任当初は「300近い自民党の議席は大切にしないといけない」と周囲に語り、28年夏の衆参ダブル選挙を軸に政権構想を練っていた。

 考えが変わったのは、昨年秋、臨時国会で特定秘密保護法の審議を通じ、野党と一部メディアの激しい批判にさらされてからだ。さらに今年の通常国会では、集団的自衛権行使の政府解釈変更で再び批判を受けた。

 首相は、解釈変更に伴う安保関連法案を秋の臨時国会に提出するのを見送り、27年の通常国会への提出を決めた。

 首相は周囲にこう漏らした。「やはり政権の求心力が持つのは長くて3年かな…」

 ここで首相が模索したのは27年度予算案成立直後の解散、来年4月の衆院選だった。統一地方選と同時に衆院選を打つことで国と地方の両方で自民、公明両党に勝利をもたらそうと考えたのだ。

 この構想を漏らしたのは菅義偉官房長官らごく少数の側近だけ。中には「秋の臨時国会には懸案がないから」と年内解散への前倒しを促す声もあったが、「任期2年で解散はできないよ」と一向に興味を示さなかった。


× × ×

 もう一つ、年内解散に向け、首相の背中を押した組織がある。財務省だ。首相が消費税再増税の先送りに傾きつつあるとの情報を得た財務省は組織を挙げて説得工作に乗り出し、自民党議員は次々に切り崩されていった。首相は苦々しげに周囲にこう漏らした。

 「財務省はおれに政局を仕掛けているのか?」

 解散風が吹き始めると財務省はさらに工作活動を活発化させ、ついに首相の後見人である森喜朗元首相にも先送りを思いとどまらせるよう泣きついた。森氏は「なんで俺のところに来るんだ。麻生太郎副総理に言えばいいじゃないか」といなしたが、外遊先でこれを聞いた首相は怒りを爆発させた。

 「ぐずぐずしてたら政局になってしまう。もはや一刻の猶予もない…」(副編集長 石橋文登)

[産経ニュース 2014/11/20]
 

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コメント
 
01. 2014年11月20日 06:17:31 : QKj2V8oUfM
安倍さんを筆頭に政治家に言いたい。

3権分立って何だ?何のためにあるんだ?

もうお前ら政治家なんか辞めて、ぜんぶ財務省にやらせろよ。

この際、財務官僚に政治もお任せし、国民の実態も勉強して頂き

より良い統治を目指してがんばって頂こうよ。

このほうがよほど早道だ。

役立たずのクズどもを養う膨大な国民負担も消えて一石二鳥。

庶民は官僚を選べないんだよ。

弱者を救えるのは政治家しかいないんだよ。

それが分かっていないクズどもは消えてくれ。

存在理由が無い。


02. 2014年11月20日 07:00:35 : jXbiWWJBCA

山田厚史の「世界かわら版」
【第73回】 2014年11月20日 山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]
安倍解散に二つの憲法違反の恐れ
政局重視・逃げる政治の行く末
 安倍首相は来年10月に予定された消費税の税率引き上げを1年半先送りし、この選択が国民に受け入れられるか、衆議院を解散して信を問う、と表明した。

 消費税増税を担いできた自民・公明・民主の3党は、足並みを揃え「増税先送り」を主張している。3党だけではない。共産党も含めたすべての野党に「予定通り増税を」と主張する政党はない。

「信を問う」とは選択肢があることが前提だ。選択肢のない選択。そんな総選挙を強いる今の政権は正統性にも問題がある。解散劇の裏にある「2つの憲法違反」と政局重視の行く末には、どんな事態が待っているのか。

憲法に根拠なき裁量的解散

 解散を規定する憲法の条文は、天皇の国事行為を定めた7条、内閣の不信任に関する69条がある。7条は内閣の助言に従って行う天皇の国事行為の1つとして「国会の解散」を挙げている。国事行為は天皇の権限ではなく、儀式としてのお仕事である。解散が決まった時、国会に行って詔勅を読むことを定めているのが7条だ。

 69条は国会と内閣の対抗関係を定めた条文である。衆議院で内閣不信任案が可決された場合、あるいは信任案が否決された時に、首相は国会を解散して民意を問うことができる(対抗的解散)。

 解散を定める憲法の規定はこの2つだけだ。首相が自分の都合のいい時に勝手に議会を解散していい(裁量的解散)、という根拠は憲法に見当たらない(もちろん裁量的解散を認める学説もある)。

 新憲法になって解散は22回行われた。内閣不信任による対抗的解散は4回、残る18回は首相の専権事項として発動された裁量的解散である。なぜ憲法にない解散がまかり通っているのか。これは旧帝国憲法の名残ともいえる。

 大日本帝国憲法は天皇に国会を解散する大権を与えていた。実際は首相が天皇に進言して解散を行っていた。実質的な解散の権限は首相にあったのである。この仕組みが踏襲されたようだ。

 新憲法下による最初の解散は、占領下だった1948年、第二次吉田内閣によるものだった。ワンマン宰相と呼ばれた吉田は帝国憲法に倣って裁量的解散を試みた。だがGHQが認めない。解散は内閣が不信任された69条に限定されるとの解釈を示した。吉田首相は仕方なく、野党に不信任案を出させ、与党が協力して可決するという手続きを踏んだ。「馴れ合い解散」と呼ばれた珍事である。

 2回目の解散は1952年。前年にサンフランシスコ講和条約が結ばれ占領に終止符が打たれた。第3次吉田内閣は晴れて69条に依らない解散に踏み切った。いわゆる「抜き打ち解散」だ。落選した苫米地義三は解散を「憲法違反だ」と訴訟を起こした。ところが最高裁は「高度に政治的な問題」と統治行為論の立場で判断を避け、苫米地は敗訴。「国民の信を問う」という解散のスタイルは司法の黙認によって始まったのである。度重なる解散が首相の専権事項という制度を既成事実化していった。

 首相が自在に行える解散は、明らかに政権政党に有利だ。相手の不利に乗じて議席を増やせる。対等な競争条件が確保されるべき選挙にふさわしくない。総選挙で国民の審判を仰ぐという公益性があってこそ是認される。そこには解散するにふさわしい理由が必要となる。

支持率が高いうちに

 来年10月に消費税率を10%に引き上げるかどうかについて首相は「有識者の意見を聞いて慎重に判断する」と繰り返してきた。政府が選んだ有識者45人が順次、見解を述べているが、意見は割れた。7割近い有識者が「予定通り」の増税実施を主張している。

 今となっては有識者の意見聴取はなんだったのだろう。聞く前から首相の周辺では「増税先送り」の方向が固まっていた。首相は10月22日、谷垣禎一自民党幹事長と会った。「年内解散」への下地つくりはこの会合で行われた、と自民党関係者は見ている。谷垣は自民党総裁として当時の野田佳彦首相と一緒に消費税増税を決めた立役者で、今なお消費増税路線の旗頭である。

 7〜9月期のGDP速報値が悪い数字であることは、このあたりで検討がついていた。数字をどの辺に着地させるか。内閣府の集計は発表の1週間前にはほぼ固まっている。予想を大きく下回るマイナス1.6%(年率換算)は経済運営としては失敗だが、増税見送りの口実にはなる数字だった。

 速報値は北京のAPEC首脳会議の前に知らされた。安倍首相は公明党の山口代表に会い、根回しを済ませて1週間の外遊に発った。その直後、解散風が一気に吹き出す。

 4月の消費税増税から景気の鈍化が目立っていた。実質所得は14ヵ月連続で減っている。アベノミクスへの期待感は失望に変わりつつある。兆円単位のマネーを日銀が吐き出し、インフレ期待を煽って消費や投資を誘発しようという金融の量的緩和は空回りするばかり。円安で輸入品の価格が上がり、消費者や中小企業に違和感が広がり始めた。

 支持率が高いうちに。解散は安倍政権の身内の事情でこの時期が選ばれた。

依然として大きい1票の格差

「解散の大義がない」という議論が今回噴出しているのは、「国民の審判を仰ぐにふさわしい解散か」という本質的な問題をはらんでいるからだ。

 憲法に根拠のない首相の解散権を拡大解釈し、なし崩し的に「解散は首相の都合いい時に出来る」という制度にすることは憲法の精神に違反し、民主主義を自殺に追い込む危険をはらんでいる。憲法解釈で認められた自衛権を、さらなる憲法解釈で集団的自衛権にまで拡大する手法と通ずる。安倍晋三首相の真骨頂ともいえる大胆な振る舞いだ。

 首相が記者会見で年内解散を表明した日、山口邦明弁護士ら東京の弁護士グループが、東京地裁に衆議院選挙の差し止めを求める仮処分を申し立てた。「一票の格差を抜本的に是正するまで選挙を行うべきではない」というのが、その主張だ。

 最高裁大法廷は昨年11月20日、安倍政権を誕生させた前回の衆議院選挙を「違憲状態」とする判決を出している。最高裁は「選挙無効」までは踏み込まなかったが、最大2.43倍の格差がある選挙区の区割りを「違憲状態」とし「国会は、今後も1票の価値の平等を実現する努力を続ける必要がある」と述べた。

 最高裁は、都道府県に1議席を割り当て、残りを人口に応じて配分する「1人別枠方式」が格差の主因と指摘した。衆議院議員選挙区画定審議会(区割審)は昨年3月に、新たな「ゼロ増5減」の区割り案を策定した。最大格差は2倍未満まで縮小し、そのことでかろうじて「無効判決」にはならなかったとみられる。

 「今後の努力」を促したものの、格差解消は「2倍」で止まっている。区割りも問題として指摘された「一人別枠方式」とほとんど変わっていない。2倍の格差のままでは、都市部の有権者が半分の投票権しか持っていないという現実は固定化したままだ。

 安倍首相は「違憲状態」で選ばれた国会議員によって選出された。首相になっても「国民の平等な投票権」に対する熱心さは見えない。首相周辺に基本的人権に目配りする側近は無く、1票の格差は放置されたまま総選挙に突入する。

増税を棚上げしアクセルだけ噴かす

 1強多弱の政界、しかも野党の準備が整っていない今、一気に総選挙に打って出る。小選挙区で野党候補が乱立すれば、自民・公明の選挙協力を手堅くまとめた与党の優位は揺るがないだろう。

 増税を先送りは、野党も攻撃しにくい。アベノミクスにほころびが出てきたが、株価が高いうちに選挙をやってしまうのが得策と考えたようだ。

 年末までの宿題だった増税の可否は、2年半先に遠のいた。不足する税収はとりあえず赤字国債で賄う。財政再建は遅れるが、これまで放置していたことを思えば1年半など大きな問題ではない。危ない、大変だと言いながら、これまでなんとかなってきた。これからも大丈夫だろう。そんな慢心が無いだろうか。

 安倍政権で首相はさながら育ちのいい旦那。外向きの顔である。番頭である菅官房長官は目先の課題の捌きは上手い。器用な人にありがちだが、底流の重い課題は敢えて見ないのだろうか。首相は振り付けで踊ることに慣れ、官房長官は政治の職人。この政権の危うさは高い位置から全体にリスクに目配りしているキーパーソンがいないことだ。財務省がその役割を果たしていた時代があった。しかし借金の重圧でその機能はもはや果たせない。

 財政再建は民主党も持て余した重い難題である。鳩山政権は無駄を切れば何とかなる、と大風呂敷を広げ、失敗した。菅首相は財務省に助けを求め、消費税を担ぎ自滅した。

 安倍政権は増税とアベノミクスのダブルトラックで走ろうとした。ブレーキとアクセルを一緒に踏んで、クルマはスピンした。増税を棚上げしアクセルだけ噴かそうというのが今度の決定だ。

自らの構造問題から政治が逃げている

 大きな問題が3つある。(1)歳出カットをどうするか。(2)日銀の国債買い上げをいつまで続ける。(3)消費税以外の増税をどうする。

 安倍政権は財務省より経産省の方が相性がいい。法人税引き下げ、円安誘導など大企業に都合いい政策が主流だが、このままでは格差が大きな社会問題になる。

 財政には「所得再配分機能」があり、貧富、中央・地方など社会のバランスをとる。機能が低下するとぎすぎすした社会になる。税金を逃れる富裕層や赤字を装う大企業、海外の税租界に逃げるカネを補足する仕組みを本気で考える時だ。

 消費税は取りやすい税で弱者にきつい。大衆課税を強いるなら、富裕層に愛国の情を形にした負担を求めてもいいだろう。増税を諦め、国債に頼るなら、やがて金利は上がる。日銀が大量のマネーを放出して買い支えれば金利を抑えられるだろうが、人為的な操作は限界がある。こうした問題を腰を落として考えなければならない。それを目先の政治劇場にばかり目が向き、自らの構造問題から政治が逃げている。

 増税が政治的に不可能なら、インフレで国債を燃やすか、返済不能とお手上げするか、いずれかの選択になる。輪転機を回して国債を買い上げるアベノミクス路線を続けていれば、どこかでインフレに火が付くだろう。

 身を切る政策から逃げ回っていたら、何かのきっかけで金利が暴騰したり、円が急落する。市場の暴力で始末を迫られだろう。

 考えたくない事態だが、国際経済の波乱や首都直下型の地震が引き金になるかもしれない。起きてみて、改めて分かるリスクの上を我々は這っているのだ。
http://diamond.jp/articles/-/62459


03. 2014年11月20日 07:02:27 : jXbiWWJBCA

出口治明の提言:日本の優先順位
【第131回】 2014年11月19日 出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長兼CEO]
来たるべき衆院選は何が争点なのか
 安倍首相は、2015年10月に予定されていた消費税率10%への引き上げを2017年4月まで延期するとともに、衆議院を21日に解散し、「12月2日公示・14日投開票」の日程で、総選挙を行う方針を表明した。前回に続く師走選挙となるが、今回の総選挙は何が争点になるのだろうか。

2年半前の
3党合意という政治遺産

 先ず、今回に至る背景を概観しておこう。2012年3月30日に野田内閣は消費税増税法案等を国会に提出したが、3党(民主党、自由民主党、公明党)が修正協議を行い、6月21日に3党の幹事長会談で、3党合意を確約する3党確認書が作成されて、関連8法案すべてが成立した。これは「政権交代しても増税が揺るがぬよう、与野党を超えて協力する」(野田毅・自民党税制調査会長)という精神に基づいて、社会保障と税の一体改革の実現を目指したものであった。

 けだし、いずれの政権も不人気な消費増税を決め切れなかった経緯があり、どの党も単独では消費増税を正面から掲げて戦う状況にはなかったので、3党でしっかりと合意したという点に大きな意味があった。3党合意によって増税は2段階(先ず8%、次いで10%)で行われることが決まったが、「経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる」という、いわゆる景気弾力条項(附則18条)が織り込まれた。

 今回、7〜9月期の国内総生産(GDP)速報値が年率換算マイナス1.6%となったことから、首相は、景気弾力条項に基づいて、来年10月からの引き上げを「停止」する判断を固めたと報道されている。このGDP速報値が出された後に開かれた「今後の経済財政動向等についての点検会合」では、有識者10人中8人が予定通りの増税に賛成しており、次のような意見が出されている。

@ 雇用、企業収益は順調で腰折れリスクは小さい。構造的な失速要因が無い限り予定通り増税すべき。今年4 月の引き上げによる消費・住宅関連支出の反動減で景気は中だるみ状態。しかし雇用環境が悪化するほどの景気停滞ではない。
A 消費税増税後の個人消費が弱いのも事実であり、追加金融緩和に加え、補正予算・賃上げは必須である。「ローカルアベノミクス」(地方創生)の推進による雇用の質の向上、短期的には低所得者対策(所得補てん施策、子育て支援、教育・訓練支援、最低賃金引き上げ等)が重要。
B 巨額の財政赤字を抱え、主要国で最悪の政府債務水準。株価も高水準で景気も底堅い状況において、消費税率引き上げを先延ばしすることは、内外の投資家に対して「日本政府は財政再建を遂行できない」という強い印象を与える。

 これらの意見からは、GDPのマイナス幅は予想外に大きかったが、リーマン危機ほどの大事(構造危機)にはなく、市場関係者の間では再増税停止までの状況にはないという判断があり得ることが伺える。因みに、連合王国ではマイナス成長でも引き上げを断行している。

 ただし、一方で個人消費が弱いことから、所得補てん施策など何らかの対策は必要であろう。実際に、今回の消費増税では非課税世帯などへの臨時福祉給付金などが支給されている。再増税する場合には、この施策の効果検証を行い、有効で十分な景気対策を行うことも考えられる。

 仮に、3党合意というこの国の貴重な政治遺産を手放すというのであれば、この国の先行きに一抹の不安を禁じ得ないものがある。50兆円の税収で100兆円の歳出。加えて、1000兆円を超える借金が、1分間に6000万円のスピードで増殖していく。それを支えるべき子供や孫の世代は少子高齢化で縮んでいく。この国は本当に大丈夫なのだろうか、という問題である。

投票率を
上げることの重要性

 ところで政府とは何だろう。原理原則論に立ち返って考えてみれば、「負担が即ち給付」なのだから、市民から集めた税金を上手に分配して市民に給付を行うのが政府の本質的な役割である。そして、民主主義という政治形態においては、市民が選挙権を行使してより良い政府を自ら創り出していくことが期待されている。

 当コラムでも何度も主張したが、先ずみんなで投票に行って投票率80%を目指すことが先決だと考える。北欧の友人に聞いた話だが、北欧では選挙は次のように極めて実務的、具体的な教育がなされているようだ。

「近代の選挙では、事前にマスメディアが必ず当落予測を報道する。それを見聞きした皆さんが、その予測に満足なら3つの方法が選べる。

@ 投票に行って、その通り投票する。
A 投票に行って、白票を投じる。
B 棄権する。

 いずれも効果は全く同じである。次に事前予測に不満なら選択肢は1つしかない。即ち

C 選挙に行って、違う名前(もしくは政党名)を書くしかない。」

 このようなリアルな認識が市民の間で共有されているから、北欧の投票率は高くなるのである。またわが国では「ロクな候補者がいないので、バカバカしくて投票する気にならない」といった声をよく耳にするが、これについては100年前に既にチャーチルが次のように喝破している。

「選挙に立候補する人は、自分も含めてロクな人はいない。その中から相対的にマシな候補者を選び続ける忍耐を、選挙と呼ぶのである。従って民主主義は最低の政治形態である。ただし、過去の王政や皇帝政などを除いては」

 例えばセーフティネットの構築や格差の是正など、分配が少しでも上手な相対的にマシな政府を創り上げていくのは、私たち市民の責務である。そして、そのためには投票率を上げる以外の方法はないのである。なお、投票に行きたくなるインセンティブを少しでも上げるためにも、1人1票(1票の格差の是正)は早急に実現されるべきである。

今回の総選挙で問うべきは
具体的な成長の道筋

 わが国は、以前に述べたように「小負担・中福祉」の国であって、このままでは、サステイナブルでないことは明らかである。将来的に選択しなければならない政策は「中負担・中福祉」か「大負担・大福祉」であることもまた自明である。

 第2次世界大戦で共に敗れて瓦礫の山から再出発した日本とドイツだが、ドイツは財政黒字だと聞く。彼我のあまりの格差に愕然とするが、増税が当面凍結されるとなると、後は、投票率を少しでも上げてより良い政府を組成する他は、成長(≒税の増収≒給付の充実)しか方法はないということになる。

 成長とは、あらあらに言えば、「労働人口(の増加)×生産性(の向上)」であるから、この2項について、各政党がどのような(成長の)道筋を描いているかということが重要な争点になると考える。アベノミクスに即して言えば、「第3の矢」の中身を問うということだ(消費増税延期に反対している政党はないので、延期は争点にはならない)。

 労働人口の増加について言えば、中長期的には、出生率を嵩上げするしかない。即ち人口を増やす政策を総動員することだ。どの政党がこの点について一番熱心なのだろうか。短期的には、女性や高齢者が働きやすい社会を創っていくしかあるまい。アメリカのように世界中から留学生を集めるという方法もある。なお、移民政策についてはわが国では余りにもアレルギーが強すぎるので、少し時間をかけるべきだろう。

 生産性の向上については、つきあい残業に象徴される根拠なき精神論を排して、生産性の高い多様な働き方(集中力や効率性を重視)を目指していくべきだろう。また既存の成熟産業から高い成長が見込める産業へと労働の流動化を図らなければ、わが国全体としては成長が見込めないことも火を見るより明らかであろう。もちろん、競争が進歩の母であることを踏まえると、岩盤規制などの緩和を積極的に図り、産業構造全体の新陳代謝を促していくことも理の当然であろう。

 地方の創生については、わが国全体の生産性を向上させるという観点からすれば、東京は国際空港などの投資を加速させ香港やシンガポールと競争して勝ち抜く、地方はその地方の特性を活かした独自の政策を模索することによって勝ち抜くという視点が基軸であろう。すべての地方の振興となる処方箋などあるはずがない。急速な地銀再編の動き等を見ていると、47都道府県体制から道州制へという大きな道筋はもはや避けられないのではないか。

(文中、意見に係る部分は、筆者の個人的見解である)
http://diamond.jp/articles/-/62304


04. 2014年11月20日 07:12:00 : obI2Ml3Jd2
ズバリ今回の解散はアベノミクスの信を問う「アベノミクス解散」だ。
アベノミクスがデフレを脱却して、テイクオフできるかどうかを
国民に信を問うのが今回の選挙だ。
経済がうまく行けば、消費税だけでなくその他の税の増収も期待できる。
今回消費税は一年半先送りにしたが、次は先送りはないという。
まさに、アベノミクスの威信にかけて必ず成功させるということだ。
単純かもしれないが、こう考えれば頭がスッキリする。

ただし、経済は4月の消費税増税の影響で伸び悩んでいた。
年末の繁忙期にこれを挽回しようとしていた多くの人たちの期待を裏切った突然の解散であった。


05. 2014年11月20日 07:27:34 : uznWHNaoTA
論旨については異存はない

>>将来的に選択しなければならない政策は「中負担・中福祉」か「大負担・大福祉」であることもまた自明である。
>>ドイツは財政黒字だと聞く。彼我のあまりの格差に愕然とするが
この部分にいつも良識派という連中の詭弁がある
ドイツはいらんことっは合理的思考で
徹底的にやめるものはやめる
必要なことだけする
日本は一旦始めたらやめないから
どんどん高負担が増えるのだ
仕訳を厄人任せにしないため
公の意識をもった議員を選ぶ
株も自ら買うと意識が高まる
会社の持株会に入らないものを多いが
少しでも持っていれば株式欄をみて、
会社の損益計算書や貸借対照表をみる
政治資金でパンツを買うのも問題だし
有権者に観劇させて
票を買うことは大問題だが行くだけましだろ
それより、投票しない奴は
日本がやばいと意識しない
だから、厄人が好き放題して
うるさい奴らを金目で黙らしてる
無関心こそが
低福祉高負担の元凶になることを
もっとみんなに伝えるべきだろう


06. 2014年11月20日 18:45:03 : eObS6WrwWU
女性活用が安倍内閣の目玉であった。
であるが故に、突然の女性閣僚の二人の辞職が解散を早めることになった。
閣僚の辞職に留まらず議員辞職にまで追い込まることにでもなれば
安倍内閣への打撃は致命傷になる。
年内解散でリセットして出直すしかなかった。
解散には大義名分が必要である。
財務省の増税圧力が起死回生の助け舟となった。
増税延期を錦の御旗にして解散すれば
正に一石二鳥である。(高笑い)

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