03. 2014年11月19日 17:36:29
: jXbiWWJBCA
消費税増税なしで財政は再建できるのか? THE PAGE 11月19日(水)13時0分配信消費税増税なしで財政は再建できるのか? [写真]安倍首相が解散を表明、消費増税は先送りに(写真:ロイター/アフロ、2014年11月18日) 安倍首相はとうとう消費増税の延期と衆議院の解散を決断しました。政治的にはともかく、消費増税を延期した最大の理由は、7〜9月期の実質GDP(国内総生産)が年率換算でマイナス1.6%と極めて悪い数字だったからです。ただ消費増税の延期ということになると、やはり財政再建の動向が気になります。消費増税なしで財政再建はできるものなのでしょうか。 日本の中長期的な財政収支については、毎年2回、内閣府がその試算を行っており、前回は今年の7月に結果が公表されました。日本政府は財政収支について2つの国際公約を掲げています。ひとつは、2015年度に基礎的財政収支(プライマリー・バランス)の赤字を2010年度からGDP比で半減するというもの、もうひとつは、2020年度における基礎的財政収支を黒字化するというものです。 2015年はすぐそこですので、かなり具体的に予想できる段階に来ています。2015年の赤字半減という目標については、消費税を10%に増税すればほぼ確実に達成が可能でしたが、今回の増税延期で微妙な状況となりました。今年の税収がどの程度になるのかで結果は多少変わってきますが、おおむね合格点といってよいでしょう。 問題は2020年の黒字化です。2020年はまだ少し先ですから、こうした試算を行うためには、いくつかの前提条件を設定する必要があります。試算では、今後10年間にわたって実質で平均2%程度の経済成長があること、消費者物価指数の上昇率も2%程度であること、消費税は10%に増税すること、社会保障費は高齢化によって自然増となること、などが前提条件となっています。試算における2020年の基礎的財政収支は11兆円の赤字となっており、この段階での黒字化は今のところ難しいという結論が得られています。消費税の10%増税を2017年4月まで見送った場合には、さらに達成が困難となるでしょう。政府が財政再建の必要性を力説してきた根拠はここにあるわけです。 ただ、この結果は前提条件によって大きく変わってきます。もっとも大きな影響を及ぼすのが経済成長による税収増です。実質で3%〜4%という高い成長を連続して実現することができれば、税収は大幅に増加します。またGDPの増加に対して税収がどのくらい増えるのかという指標(税収弾性値)をどの程度に見積もるのかによっても税収見込みは大きく変化します。財務省は保守的ですので、税収弾性値を小さく見積もる傾向があり、専門家の一部からは予測が厳しすぎるとの指摘も出ています。 しかし、現在の日本では、継続して高い経済成長を実現するのはかなり困難な状況です。また、年金や医療といった社会保障費の大幅な削減は政治的に決断が難しく、支出削減で財政再建を実施するのは容易ではありません。極端なインフレにしてしまうといった非常手段を除くと、消費税の10%増税なしに財政再建目標を達成することは難しいと考えた方がよさそうです。 さらにいえば、この試算は、あくまで国債の利払いを除いた基礎的財政収支であることを忘れてはなりません。実際には国債の利払いがあり、もし金利が数%に上昇してしまえば、たちまち財政の維持が不可能になってしまうという厳しい現実があります。 (大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)
【関連記事】 ドイツが財政再建に成功した理由は? 日本が学べることはある? 消費税率10%引き上げ 先送りするとどんな影響があるの? ニュースでよく見る「基礎的財政収支」、ほんとに黒字化できるの? 2014年度予算案 前年度より3兆円も増えたワケ 財政破たんから7年、夕張市のいま 「夕張予備軍」はどれくらいある? 最終更新:11月19日(水)17時23分THE PAGE Yahoo!ニュース関連記事 日銀:金融政策の維持を決定、1対8で木内委員が反対票 Bloomberg 12時28分 (社説)衆院選―首相の増税先送り―「いきなり解散」の短絡有料 朝日新聞デジタル 7時0分 安倍首相、21日に衆議院を解散すると表明 12月14日投開票へ映像 フジテレビ系(FNN) 0時38分 日銀金融政策決定会合の注目点−増税を延期、解散総選挙へ Bloomberg 0時1分 安倍首相、消費増税の1年半先送りと衆議院解散を表明映像 フジテレビ系(FNN) 18日(火)22時17分 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141119-00000009-wordleaf-pol&p=2
ドイツが財政再建に成功した理由は? 日本が学べることはある? 2014.09.19 15:00 ドイツ 税収 財政 税収は名目GDPと相関しており、経済成長すれば税収は増える。日本の名目GDPは97年がピークでそこから伸びておらずかつ法人税率も下がっている。持続的な経済成長こそが、持続可能な財政再建をもたらす。 [写真]ドイツのショイブレ財務相は9日の連邦議会で、来年度の新規国債の発行がゼロになる見通しであることを明らかにした(ロイター/アフロ、2014年9月9日) ドイツ政府が財政再建に成功し、来年度の新規国債の発行がゼロになる見通しとなったことが話題になっています。日本政府は膨大な借金を抱えたままですが、ドイツから何かを学ぶことはできるのでしょうか。 ドイツのショイブレ財務相は、ドイツ連邦議会において2015年度予算案について説明し、その中で新規国債の発行がゼロになる見通しであることを明らかにしました。旧西ドイツ時代も含め新規国債がゼロとなるのは実に46年ぶりのことです。ドイツは、欧州各国に財政を健全化するよう強く求めていますが、自分自身が財政再建を実現してそのお手本を示した形です。 2014年度におけるドイツ連邦政府の歳出見込みは約2965億ユーロ(約41兆円)となっています。これに対して歳入は2898億ユーロとなっており、歳入と歳出はほぼ均衡する予定です。これによってドイツ政府は、新規国債の発行をゼロにすることが可能となりました。 ドイツは、財政均衡を義務付ける法律を制定しており、財政に対しては厳しいスタンスで臨んでいます。歳入のうち税収が占める割合は9割に達しており、借金に頼らずに財政を運営できる体制を整えています。 ドイツにおける政府債務のGDP比は、政府が保有する資産を差し引いた数値で約50%、米国が約80%、日本は約140%となっています。一方、資産を差し引かない数値では、ドイツが約70%、米国が約100%、日本は約250%となっています。ドイツや米国は連邦制となっており、中央政府と地方政府の関係が日本とは異なるため単純な比較はできませんが、ドイツ政府の債務比率の低さは突出していることがわかります。日本は借金も多い代わりに資産も多いので問題ないという意見もありますが、少なくともドイツや米国との比較ではそれは当てはまらないようです。また日本政府が持つ資産の中身を見ると、流動性が低く、実質的な資産価値が低いものも多く含まれているというのが現実です。 ドイツは基本的に緊縮財政を推し進めたことで財政再建を実現したわけですが、緊縮だけが財政再建を実現できた理由ではありません。ドイツは好調な経済が続いており、税収が伸びたことが、財政再建の原動力となりました。米国の財政もこのところ急激な改善を見せているのですが、これも好調な米国経済を背景に税収が増えたことが大きく影響しています。つまり、財政再建には歳出削減も重要なのですが、それ以上に、歳入を多くすることが大事というわけです。 日本はこの20年間、経済成長がほとんどなく増税以外に税収を増やす手段がありませんでした(この間、先進諸外国のGDPは1.5倍から2倍に拡大しています)。今の状態では、政府が国際公約として掲げる2020年度までの基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化という目標は、消費税を10%にしても達成困難です。財政再建を実施するためには、持続的な経済成長を実現することが、何よりも求められているのです。 (大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長) この記事の関連記事 全国なぜソニーだけが復活できないのか? 全国柳美里さんが原稿料不払いを明かす 出版業界の実情はどうなっているの? 全国財務省が国の財務書類を公表 企業なら即倒産の水準 全国国の借金が「国民1人あたり800万円」、すぐに返せないの? 全国イチからわかる米「債務上限」問題/デフォルトって何? http://thepage.jp/detail/20140919-00000016-wordleaf 7〜9月期GDP、大幅マイナスに悲観的になりすぎる必要はない 岡山大学准教授・釣雅雄 2014.11.18 11:00 GDP 消費税 物価 2014年7〜9月期のGDP統計が発表となり、実質での対前期比(3ヶ月前からの変化率)が−0.4%(年率では−1.6%)となり、予想を大幅に下回ってマイナスとなりました。消費税増税の影響により落ち込んだGDPが、思ったよりも回復しなかったことで、次の消費税率引き上げ時期の先延ばしも現実味を帯びています。 このような状況で日本は、財政リスクがある中でも増税を先延ばしするのか、まずは経済状況を改善するのかの選択に迫られています。ただ、現在の経済状況について、問題はあるものの、悲観的になりすぎる必要はないと考えています。とくに消費税増税の影響を過度に見積もるのは、政策判断を誤らせます。 (1)民間在庫品増加のマイナスはむしろ良い GDPは日本語で国内総生産といいますが、発表される統計は生産ではなく支出側のため、消費や投資、輸出入がその項目に並んでいます。生産と支出がイコールとなるように統計が作られているので、同じくGDPとして扱っています。 さて、生産(供給)と支出(需要)は、普通は一致しません。ではなぜ統計上一致するかというと、たとえば売れ残った分を、将来販売するための投資とみなしているからです。そのため、支出面に民間在庫品増加という項目があります。 今回の統計で、もし、この民間在庫品増加(寄与度−0.6%)を無視すれば、それ以外のみでの実質変化率は+0.2%(年率約0.8%)とプラスになります。 前回、消費税増税があった1997年は在庫品の積み増しが問題でしたが、今回は企業等が増税に備えて、生産調整を慎重に行ってきたのではないかと予想します。そのため、今の時期に在庫品が減少するのは、悪いことではありません。(少なくとも約1ヶ月後の2次速報の確認が必要でしょう。) (2)名目GDPの落ち込みは問題 前回(4〜6月)は、名目GDPはそれほど落ち込まなかった(対前期比−0.1%)のですが、実質GDPが大幅なマイナス(対前期比−1.9%)となりました。実質GDPは簡単にいうと量の指標です。名目の支出額は落ち込まなかったのに、物価が上昇していたので実質的な量が減少することになったのです。 前回のような結果は、現政権はリフレ政策と呼ばれる緩やかなインフレを目指す政策を採用していますので、物価が上昇して実質値が下落するのは当然です。たとえば初めに100であったものが、名目で0.7%ポイント減少したとすると、 (名目・支出額)100 -> 99.3 となります。ところが、財の価格は上昇しているため、この支出額で買える量は、より減ってしまいます。たとえば、 (実質・量)100 -> 92.9 となったとします。これは7.1%ポイントの減少です。−0.7%と−7.1%は前回4〜6月期の年率での名目と実質GDPの対前期比(年率換算)です。このとき、支出額は大きくは減少していないものの、消費税率の引き上げとインフレ率上昇の2つの要因により、実質的な購入量が減ってしまったということを意味します。 参考に、図では、1994年以降の名目GDPと実質GDPを描いています。リーマンショック後に落ち込んだGDPは実質ではほぼ前の水準にまで回復しました。けれども名目は落ちたままでした。そこで、現政権は名目GDPも回復させるような政策を採用していると私は理解しています。直近で実質が落ち込んだものの、名目は維持されたのはそのような理由ですので、自然な動きです。
さて、名目GDPと実質GDPの比率をGDPデフレーターといいます。これはGDPに関する物価と考えることができます(例:1,000円支払い÷10個購入=1つの価格が100円)。GDPデフレーターは、4〜6月期において1.8%と比較的大きなプラスでした。けれども今回7〜9月期では輸入物価の上昇により、GDPデフレーターがマイナスになってしまっています。そのため、実質GDP(対前期比−0.4%)よりも名目GDP(対前期比−0.8%)がより大きく落ち込んだのです。 GDPでは輸入はマイナス項ですので、輸入物価が上昇するとGDPデフレーターも下落する関係にあります。一方で、消費者物価指数・総合でみたインフレ率には輸入物価はプラスの影響をもたらします。(消費税分を含みますが)消費者物価指数のインフレ率は9月に3.2%でした。輸入インフレという側面がいまだに出ており、これは良いインフレとは言えないものです。 (3)もとの弱い投資需要から考えると、不況に陥ったとまでは言えない 今回、GDPが回復しなかったのはなぜかを考えるとき、上記の理由から名目の水準で分析することが必要です。そして、現状で経済の足を引っ張っているのは民間消費よりも民間投資です。それでも、不況に陥ったとまでは言えません。 次の図は名目GDPについて、その中身のうち民間消費(民間最終消費支出)、民間投資(企業設備投資)、輸出、輸入の最近の水準の変化を示しています。 [グラフ]名目季節調整系列(年換算、兆円) 民間消費は確かにもう少し回復していても良さそうです。実際、輸入についてはV字になっていますので、それと同じような動きとなっていても不思議ではありませんでした。ただ、下げ止まっていますので、外生的要因がなければ今後は回復していくはずです。そもそも今回の民間消費水準は、昨年の7〜9月期よりも大きいので、現在、消費増税で不況状態にあるというのは言い過ぎです。
民間投資についても同様です。ただし、今年の政府見通しでは民間投資はもっと伸びると見積もられていました。図を見ると、むしろ、反動が小さいといえるような動きなのですが、期待したほどに増えていないのです。民間投資需要が伸び悩んでいるのは以前からで、期待したことに無理があったともいえます。 発表された数値はショックといえるような大幅なマイナスでしたが、その中身をみるとそうでもなく、自然なものです。民間消費の戻りが遅いといえますが、水準でみると日本経済の実力相応です。 伸び悩む民間投資について、これが現在の日本の水準だというのが受け入れられれば、今回のマイナスは、(民間在庫投資増加を除くと)やや弱いという程度です。一方で、日本経済の成長率はもっと高まるはずだと考えるなら、今回の結果は、まったくのアベノミクスの失敗(とくに民間投資を喚起できなかった)と感じるかもしれません。 私は前者です。今回の結果から経済構造に問題(特にエネルギーなどの輸入や弱い投資需要)は依然としてあるものの、景気の波という視点からは消費税増税を先延ばししたり、解散総選挙したりするのは、行き過ぎだと考えます。 (文責/釣 雅雄・岡山大学経済学部准教授) この記事の関連記事 全国7〜9月期GDP、想定外の大幅マイナス ── 消費増税先送りなら財政問題が懸念に 全国安倍政権の解散案、なぜこのタイミング? ── 増税先送りのサプライズも? 全国背水の陣とも言われた日銀の追加緩和、その覚悟と弊害は? 全国消費税率10%引き上げ 先送りするとどんな影響があるの? 全国「消費税10%」予定通り引き上げるべきか? 高橋洋一氏×小黒一正氏 http://thepage.jp/detail/20141118-00000011-wordleaf 7〜9月期GDP、想定外の大幅マイナス ── 消費増税先送りなら財政問題が懸念に 2014.11.17 14:46 GDP 内閣府 消費税 内閣府は2014年11月17日、7〜9月期のGDP(国内総生産)の数値を発表しました。物価の影響を除いた実質で年率マイナス1.6%と想像を超える下落となりました。安倍首相が、消費税の10%への増税延期と衆議院の解散を決断する可能性はさらに高くなってきました。 エコノミストなどによる事前予想の多くはプラス2.4%程度でしたから、市場では驚きが広がっています。為替市場では、GDPが発表になると一時117円台をつけました。 公共事業以外は総崩れ もっとも足を引っ張ったのが住宅で、前期比マイナス6.7%と大幅な下落となりました。個人消費もプラス0.4%と非常に弱く、消費増税の影響で消費が脆弱になっていることが明らかとなりました。さらに設備投資もマイナス0.2%となっており、公共事業以外は総崩れといった状況です。 これまでの各四半期における実質GDPの成長率(年率換算)は、2013年10〜12月期がマイナス1.6%、2014年1〜3月期はプラス6.7%、2014年4〜6月期はマイナス7.3%でした。大方のエコノミストの説明では、2014年1〜3月期に大幅なプラス成長となったのは消費税前の駆け込み需要であり、4〜6月期はその反動であるとのことでした。もし、そうであるならば、今期(7〜9月期)は定常状態に戻ることになるため、大幅プラスになっていなければおかしいわけです。 消費や投資そのものが、かなり脆弱に 当初は安倍政権も今期、大幅なプラスとなることを予想しており、そのタイミングで消費増税を決断する意向といわれてきました。しかし現実には、マイナス1.6%と前期からさらにマイナスという数字が出てきてしまいました。 この結果は、最近の消費の落ち込みが単なる反動減ではなく、消費や投資そのものが、かなり脆弱になっていることを示唆しています。この状態で来年10月に消費税を増税すれば、景気がさらに落ち込むかもれません。解散という政治決断が迫っていることを考えると、消費税の延期をセットにする可能性はさらに高まったといえるでしょう。 消費増税先送りで財政問題が懸念に 消費税が先送りとなった場合に懸念されるのは、やはり財政問題です。今回のGDPが比較的よい数値であれば、消費税を先送りしても税収の増加で財政を好転できるという解釈も成立します。しかし、ここまで景気が低迷しているということになると、増税を先送りしても来期以降のGDPはあまりよい状態にはならないでしょう。つまり、以前ほど税収の自然増を期待するのは難しくなるわけです。増税すると景気をさらに冷やし、増税をスキップすると財政再建が遠のくという板挟みになりつつあります。 (The Capital Tribune Japan) http://thepage.jp/detail/20141117-00000012-wordleaf |