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2014年11月18日
『日本経済撃墜』(ビジネス社)
に記述した通りの現実が広がっている。
この拙著を上梓したのは、日本がアベノミクス絶賛の声に包まれていた局面だった。
2014年は株価が大きく跳ね上がる年だとされた。
しかし、年初から株価は下落傾向をたどった。消費税増税の影響を織り込み始めたのだ。
そして、警告通りに日本経済は撃墜された。
この現状で消費税再増税に突き進めば、日本経済は奈落の底に突き落とされる。
『日本の奈落』(ビジネス社)
この警告を突き付けられて、安倍政権が消費税再増税の先送り決断に追い込まれた。
安倍政権が本年4月の消費税増税を先送りしていれば、いまごろ日本経済は完全なる景気回復軌道に移行していたと考えられる。
これが安倍政権の表看板であるアベノミクスの生かし方であった。
安倍政権は野田政権が推進した財政再建原理主義からいったん離れて、日本経済の浮上を優先するスタンスを採用した。
このこと自体は正しい選択であった。
経済財政を健全化するには、経済という根本を大切にし、これを育てる発想が不可欠である。
「経済あっての財政」
であり、
「財政あっての経済」
ではない。
この基本を忘れて、経済財政の健全化を実現することはできない。
安倍政権が経済再生に舵を切り替えたことは間違っていなかった。
しかし、この基本方針を捨て去り、逆方向に進んでしまった。
その結果が増税先送り判断に追い込まれた現在の姿である。
「アベノミクス」を「アベコベノミクス」に転換してしまった。
その結果として安倍政権は窮地に追い込まれているのである。
もうひとつ、アベノミクスには決定的な欠陥がある
それは、「成長」だけに目が向かい、「分配」に対する配慮がないことだ。
「政治は力の弱い者のためにある」
という根本が欠落しているのである。
アベノミクスは力の強い者がさらにのし上がることだけを目指すものである。
逆に力の弱い者をさらに踏みつけるものである。
ここに、アベノミクスのより本質の問題がある。
さて、11月17日発表のGDP統計で2四半期連続のマイナス成長数値が発表された。
GDPショックが広がった。
11月16日の沖縄知事選で与党推薦候補が大敗し、11月17日のGDP速報で2期連続のマイナス成長に直面した。
主権者の安倍政権に対する評価は大きく沈み始めている
このなかで安倍政権は大義名分のない解散総選挙に突き進む。
消費税再増税を先送りすることを「売り」に選挙に挑む。
消費税再増税で「人気」を得ることができると考えていると思われる。
しかし、この目論見は甘い。
安倍政権が提示する「消費税再増税延期」
に対して、
「消費税再増税中止」
が提案されるからである。
つまり、今回の選挙は「消費税選挙」になる。
消費税再増税を
「延期」とするのか、
それとも
「中止」とするのか、
これを国民が判断することになる。
主権者の多数が消費税再増税の「延期」ではなく、「中止」を求める場合、安倍政権与党は大敗北する可能性が浮上する。
この見方を見落としてはならない。
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