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突然の選挙モード 号砲を鳴らしたのはナベツネか?〈週刊新潮〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141118-00010003-shincho-pol
「週刊新潮」2014年11月20日号
木枯らしの季節になったとたん、突如、降って湧いた解散・総選挙のニュース。スクープを焦る読売新聞の勇み足かと思ったら、永田町は瓢箪から駒が出た。
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解散と公定歩合は嘘をついても良い。永田町に伝わる妙なルールのせいか、解散話は眉に唾して聞いておくものだが、それにしても読売新聞の“独走”はどうしたことだろう。同紙が11月9日朝刊の1面で報じた記事のことだ。
〈増税先送りなら 解散首相検討 年内にも総選挙〉
それによると、安倍総理は、今月17日に発表される7〜9月期のGDP速報値などを踏まえて再増税の可否を決め、解散についても最終判断するとある。
そして、こう書くのだ。
〈首相は、こうした考えを公明党幹部に伝えたとみられる〉
〈年内に解散する場合、衆院選は「12月2日公示・14日投開票」か「9日公示・21日投開票」とする案が有力だ〉
〈GDP値が伸び悩んだ場合、増税先送りの判断と、アベノミクスの成果などを掲げて国民に信を問う考えとみられる。10%への引き上げは、1年半先送りし、17年4月とする方向で調整している〉
まるで、再増税の先延ばしと解散・総選挙が決まっているかのような書きっぷりではないか。ライバル紙が控えめに報じるなか、さらに11日朝刊の1面トップで、11月18日にも安倍総理が解散表明する可能性を報じたのだ。
在京テレビ局の政治部記者が言う。
「読売の記事には参りました。解散の可能性があるという情報は前から流れていて、我々も気をつけてはいたのです。この記事のポイントは、安倍総理が解散を伝えた公明党幹部とタイミング。与党の動きについていえば、11月7日に公明党の山口那津男代表が安倍総理と会っている。しかし、本人は“解散や国会運営についての話は出なかった”と否定しているし、翌8日に総理を訪ねた太田昭宏国交相も、エボラ出血熱や中国漁船のサンゴ密漁対策のことしか話さなかったとされる。いつ、誰に解散の意思を伝えたのか、それがさっぱり掴めないのです」
ところが、この“スクープ”、出所をたどってゆくと意外な人物に行き当たるのだ。
「実は、この記事は“上”から降りてきた情報で書かれたものなのです。つまり、渡辺恒雄主筆の指示があったということです」
そう事情を明かすのは、当の読売新聞政治部の関係者だ。
「社説でも主張している通り、主筆は新聞に消費税の軽減税率を適用せよというのが持論です。それが無理なら増税を延期して、国民に信を問うべしというのですが、最近も、甘利明経済財政相を招いた会合で主筆がこの話を切り出したことがあった。“解散の風は読売さんの方から吹いてますねえ”と甘利さんに冷やかされるほどの熱弁でしたよ。記事では、安倍総理が公明党の幹部に解散の意思を伝えたとありますが、実際の相手は創価学会の選挙対策責任者だと聞いています」
読売新聞では、時々こうして“天から”ネタが降ってくるというが、これが政局に意外な展開をもたらすことになるのだ。
知られているように、消費税増税法案は民主党政権下、自民、民主、公明の間で結ばれた「三党合意」(2012年6月)によって成立したものだ。
これを受けた安倍総理は、今年4月に消費税を8%に引き上げ、さらに来年10月には10%に増税することになっている。その際、判断基準となるのが四半期ごとのGDP成長率だが、増税後の反動もあって、今年の4〜6月期はマイナス7・1%と酷い数字だったのはご承知のとおり。
第一生命経済研究所・主席エコノミストの永濱利廣氏が言う。
「その時点でも、政府は“1〜6月でならせば成長しているのだから、景気回復は持続している”と説明していたのです。しかし、今度の7〜9月期の成長率で相当高い数字が出ないと説得力を失ってしまう。具体的な数字で言えば、プラス3・8%の実質成長率が必要になる。台風などの天候不順による悪影響を差し引いても、プラス3%が最低ラインです」
ところが、10月末、政府の発表に先んじて報じられた民間シンクタンクの予測は見るも無惨な数字だった。多くが2%台で、なかには1%という社もあったのだ。
このまま増税を強行すれば、来年秋以降の景気失速が現実になりかねない。再増税の見送りという噂が流れ出したのはこの頃からである。読売新聞の“スクープ”が飛び出したのも、まさにこのタイミングだったわけだが、「瓢箪から駒」というべきか、記事が号砲を鳴らした格好になって、永田町も一気に“選挙モード”に突入してしまったのである。
さて、後世の人たちは、これを「何解散」と呼ぶのだろうか。
「特集 12月21日投開票!? 『安倍総理』出血大博打で誰が笑うか?」より
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