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「安倍首相は経済も外交も知らない」/(C)日刊ゲンダイ
注目の人 直撃インタビュー カレル・ヴァン・ウォルフレン氏「安倍首相は絵空事だらけ」
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/154970
2014年11月17日 日刊ゲンダイ
隣国と対話すらできないタカ派体質など、安倍首相に対する見方は、国内よりむしろ海外で冷ややかだ。長年、日本の政治システムを俯瞰してきた知日派ジャーナリストのカレル・ヴァン・ウォフレン氏(73)が、新著「日本に巣喰う4つの“怪物”」(KADOKAWA)の出版に合わせ来日した。この人も「いまは日本の危機」と憂えていた。
――海外では安倍政権が暴走しているとの声があります。最近の安倍政権をどう見ていますか。
安倍政権が誕生した時から、私の印象は変わりません。政権は最初から構造的な欠陥を抱えているからです。端的な例がアベノミクスです。そもそも、アベノミクスなどという愚かな言葉が何を意味するのかわかりません。安倍首相の名前が付けられていますが、彼の考えで始められたわけではありません。経済に精通した人でもないのです。彼は何も知りませんよ。金融政策を練るのは首相ではなく財務官僚です。首相はそれに従っているだけです。アベノミクスという造語は単なる広報戦略から生まれただけです。
――それでもアベノミクスの功罪という点では意見が分かれると思います。安倍首相は日本の実体経済をいい方向に動かしていると思いますか。
安倍政権誕生後に日銀が採った政策は良かったと思います。デフレの罠から抜け出すために物価目標を2%に掲げ、長期金利を上げずに円安に誘導した点は評価されるべきでしょう。もちろん、それも安倍首相の考えから派生したものではありません。過去何十年もそうだったように、官僚主導の政治風土から生み出されたものです。本当に国内経済を活性化させたいのなら、住宅政策等に力を入れるべきなのです。ところが安倍首相がやったのは、消費税を上げる暴挙でした。まったく必要のないことです。
――安倍政権については、海外で右傾化が問題視されていますね。近隣諸国とはギクシャクしたままです。外交政策をどう思いますか。
安倍首相に外交政策などありません。彼が外交政策を立案できるわけもありません。外務省の一部の官僚が策定しているだけです。ただし、日本が独自の外交政策を持っているわけでもありません。ウクライナ問題が好例です。欧州諸国はロシアへの制裁を発動しました。米国がロシアへの制裁を発動したからです。ヨーロッパ諸国はウクライナ問題で、体たらくと呼べるほど米国に追随したのです。ほとんど「見せ物的なショー」です。今回のロシアへの経済制裁ほど実質的効果のないものもないです。日本が独自の外交路線を歩むつもりならば、米国に対して「制裁など意味がない」と言ってやらなくてはいけませんでした。でも、安倍首相にそんな真似ができるわけもありません。
――イスラム国の対応では安倍首相だけでなく、欧米諸国でさえ後手に回っています。解決の糸口さえつかめていないように見えます。
イスラム国は、そもそも米国がつくったのです。間接的な経緯として、そう解釈すべきです。テロ組織はいま収拾がつかない暴れ馬のようです。同時に、そのイスラム国から利益を得る人たちがいるのです。誰だと思いますか。武器を売りさばく米国の武器メーカーです。世界とはそういう構図なのです。戦争を必要としている国や企業がいて、そこから利益を得ている人間がいます。酷いものです。
――オバマ政権も外交政策ではリーダーシップを発揮できていないとの批判があります。安倍政権と似ていませんか。
オバマ大統領は過大な期待をかけられて登場しましたが、国内外の問題に対処し切れず、脆弱性をさらしています。イスラム国の対応も待つだけ待って、最後に空爆を決め、イラクへの増派を決断しています。どこかの政府に似ていますね。
▽1941年オランダ生まれ。72年からオランダ紙の東アジア特派員を務め、82〜83年に日本外国特派員協会会長。30年以上、日本政治を冷静に分析してきた。「日本/権力構造の謎」「いまだ人間を幸福にしない日本というシステム」はベストセラー。アムステルダム大名誉教授。
■カレル・ヴァン・ウォルフレン氏「民主党政権は魚雷で瓦解」
――話を日本に戻しますが、先ほど、安倍政権は結局、官僚主導だとおっしゃいました。官僚が牛耳る日本の政治システムは、いつまでも変わりませんね。
09年に民主党政権が誕生した際、鳩山政権は少なくとも政治家が物事を決定するシステムをつくろうとしました。機運はあったと思います。だが、チャンスを逃しました。次の菅氏は官僚の言うことを聞くだけでしたし、野田氏に至っては最も脆弱な首相でした。最低でしたね。ですから民主党政権は事実上、最初の鳩山政権で終わったと考えていいのです。さらに言うならば、私は民主党政権が瓦解したのは3本の「魚雷」のせいだと思っています。目に見えないところから飛んできた。1本目は日本のメディアです。2本目は官僚。3本目がワシントンです。この3本の魚雷によって政権が攻撃されて崩壊したのです。
――日本の政治は、その3つの勢力にコントロールされているということですね
鳩山政権が誕生した時、政党政治の夜明けが来たと純粋に思いましたが、前述した3本の魚雷で潰されてしまったのです。新聞が民主党政権を潰し、官僚がそれに加担し、ワシントンも民主党政権を好みませんでした。官僚やワシントンはこれまで長期間、自民党とベッタリでしたから、両者が民主党政権を毛嫌いするのはわかります。しかしなぜ、新聞が民主党を攻撃しなくてはいけないのですか。解せない。鳩山政権が誕生した直後、朝日新聞の上層部と会いました。彼は「民主党はどのくらい政権を維持できると思いますか」と聞いてきました。それでこう答えたのです、「あなた方次第です」と。新聞が政権をどう報じるかで、その答えが変わります。
――日本の政治が変わる機運を潰した一端を担う新聞にしても官僚にしても、現状維持を望んだということでしょうか。
制度的なシステムが出来上がった社会では、多くの分野で現状維持が貴ばれます。特に官僚は既存のシステムを変えようとしません。過去に築き上げてきた体制を死守することを責務と捉えるからです。既得権益ですね。鳩山政権は少なくともそれを変えようとした。官僚機構に頼るのではなく、政治家が物事を決めていこうとしました。けれども日本では、新聞でさえも「現状維持中毒」を患っていた。まるで民主主義の発展を阻止するのが彼らの役目と思えるほどです。メディアは官僚と結託し、ワシントンと手を組んで民主党政権を追いやったのです。これほどはっきりしていることはありません。
――日本の将来をどう見ていますか。安倍政権は、激動の世界情勢に対応できるのでしょうか。
私には日本が行き先を見失っているように見えるのです。どこに行くのか明確な進路が示されていない。それが日本にとっての危機です。日本のトップに立つ人間は世界情勢を適切に見極められていない。安倍首相は第1次政権も経験していますから、本来ならば過去から学び、世界へ向けて示唆に富んだ指導力を発揮しなくてはいけないところです。だができていない。歴代の首相と違うようにも見えますが、何も変わっていません。極めて平凡な政治家です。日本はロシア・中国両国と密接な経済関係を進化させていかなくてはいけない。積極的に推し進めるべきですが、それもできていない。中流層は衰退し、一部の富裕層だけが潤う格差社会が現出しています。これでは日本の将来は暗いです。中国には拡大する中流層がいます。日本製の付加価値の高い家電商品を、彼らに今まで以上に購買させるなどの努力をもっとする必要があります。
――最後にお聞きしますが、安倍首相をリーダーとして、また人間としてどう見ていますか。
日本がどうあるべきか、という漠然とした考え方はあると思いますが、ファンタジーのレベルでしかない絵空事を抱いている。つまり、幻想の中で生きている首相だということです。まったく現実的な政治家ではありません。(インタビュアー・堀田佳男)
▽1941年オランダ生まれ。72年からオランダ紙の東アジア特派員を務め、82〜83年に日本外国特派員協会会長。30年以上、日本政治を冷静に分析してきた。「日本/権力構造の謎」「いまだ人間を幸福にしない日本というシステム」はベストセラー。アムステルダム大名誉教授。
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