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2014年11月17日
沖縄県知事選で翁長雄志氏が当選した。
「辺野古に米軍基地を造らせない」との県民の強い意志が翁長氏を勝利させたと評価できる。
翁長氏は選挙前に、埋立申請承認の撤回または取消を確約しなかった。
この点を明確にすることを求めて喜納昌吉氏が立候補したが支持を集めることが出来なかった。
しかし、喜納氏が立候補したことによって、翁長氏は埋立申請承認の撤回または取消について、前向きの発言を示さざるを得なくなった。
沖縄県民は翁長氏の「辺野古に基地を造らせない」という公約に思いを託して投票したのであり、選挙を通じて明確化せざるを得なくなった公約が今後の県政において重大な意味を持つことになる。
翁長氏が公約に反して、辺野古基地建設を阻止できないことは、もはや許されなくなったと理解するべきであろう。
この意味で、喜納氏による問題提起は大いなる意味を発揮したと考えられる。
「辺野古に基地を造らせない」
と唱えるだけで、辺野古基地建設は止まらない。
安倍政権の菅義偉官房長官は、9月10日の記者会見で辺野古基地建設問題は過去の問題だと明言した。
安倍政権は辺野古基地建設を粛々と推進する姿勢を示しており、この行動を踏まえて、辺野古基地建設を阻止する方策を具体的に提示してゆくことが求められる。
しかし、結局のところ、カギを握るのは米国政府の判断である。
米国政府が沖縄県民の辺野古基地建設阻止の意思が確固たるものであると判断するなら、安倍政権ではなく、米国政府が辺野古基地建設を断念する可能性がある。
沖縄県民が総意で辺野古基地建設阻止を示すなら、この下で米国が基地建設を強行すれば、米国が沖縄全体を失う事態に追い込まれることも想定される。
こうした判断から、米国が主導して辺野古基地建設を断念する可能性が存在するのである。
結果論ではあるが、翁長氏は選挙前に、必要があれば、埋立申請承認を撤回または取り消すことを確約するべきであったと思う。
辺野古基地建設阻止に向けての、より明確で強い姿勢が、米国政府の譲歩をもたらし、その結果として、米国政府に隷従する安倍政権の行動を変えるからである。
だが、いまからで遅くはない。断固とした対応、ブレない対応で、必ず辺野古基地建設を阻止しなければならない。
最初の試金石になるのは、沖縄防衛局による工事計画の変更申請に対する県の対応である。
辺野古に基地を造らせないことを基本に据えるなら、まずは、この変更申請を承認しないことが必要不可欠だ。
喜納氏の立候補による影響もあり、辺野古基地建設阻止に向けての行動は、飛躍的に高い県民監視の下に置かれることになった。
この効果により、翁長氏の辺野古基地建設阻止に向けての行動が厳しく制約されることになるなら、極めて望ましいことである。
第2次大戦後、沖縄は沖縄県民の意思に反して、「基地の島」にされてしまった。
日本政府によって沖縄は日本から切り棄てられ、沖縄県民は「銃剣とブルドーザー」によって蹂躙されたのである。
辺野古基地は、その沖縄が、初めて自らの意思で米軍基地を建設することを意味するわけで、歴史的にも、理念的にも、極めて重大な意味を持つものなのである。
だからこそ、辺野古に基地を造らせないことは重大な意味を持つ。
私は、辺野古に基地を造らせないことを確実に確保するための方策を模索してきたが、翁長氏が「辺野古に基地を造らせない」という県民の負託を受けて、新知事に選出された以上、必ず「辺野古に基地を造らせない」という公約を遵守してもらわねばならないと考える。
繰り返しになるが、今回の選挙を通じて、翁長氏の選挙後の行動が厳しく監視されることになったことが、最大の成果であると考える。
辺野古米軍基地建設はすでに着工されているのであり、これを完全に阻止することは容易なことではないが、「造らせない」ことが公約である以上、いかなる弁解も許されないことになる。
矢部宏治氏は新著
『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』
(集英社インターナショナル)
の256ページに次のように記している。
「1946年の段階で「基地をなくしたうえでの返還」が決定されていたなら、いまごろ沖縄はハワイ(年間観光客780万人)をはるかに超える世界最高のリゾートアイランドになっていたことは間違いありません。
さらにはその後の冷戦の歴史そのものが、現実に起きた歴史とは大きくちがっていた可能性すらあるのです。」
私たちは沖縄から基地を撤去して、沖縄の新時代を切り拓いてゆくべきである。
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