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朝日新聞に新たな誤報疑惑 社会福祉法人が提訴 1億円以上被害与える、ルール逸脱の取材
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141113-00010001-bjournal-bus_all
Business Journal 11月13日(木)6時0分配信
朝日新聞は9月、東京電力福島第1原子力発電所事故において職員が撤退していたなどとする報道を取り消すとともに、8月に過去の慰安婦報道の一部を取り消した件を謝罪した。相次ぐ誤報騒動の責任を取り、12月に木村伊量社長が退任することがすでに明らかになっている。
そんな朝日に、新たな誤報疑惑が浮上している。誤った新聞記事内容で名誉を傷つけられたとして、神奈川県川崎市の社会福祉法人ひまわりの会と千葉新也理事長が、朝日に計3300万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求める訴訟を7月5日東京地裁に起こした。
問題となっている記事は、5月26日付同紙朝刊に掲載された連載『報われぬ国』の記事『ワンマン理事長“暴走”』。同会は2011年5月に寄付された土地を13年に売却したのだが、記事では土地売却の決め方が理事長の独断だとしており、“土地転がし”まがいの行為を行っていると指摘している。さらに、理事長が私腹を肥やすために同会を利用しているということを示唆する内容も書かれている。
同会の代理人を務める弁護士法人アヴァンセリーガルグループ執行役員の山岸純弁護士は、朝日の取材から記事掲載までの経緯について次のように説明する。
「記事掲載の約1カ月前に朝日の編集委員から取材依頼があり、事前にテーマと大まかな質問項目をいただいた上で、私と理事長が取材に応じました。質問項目になかった質問については『正確にお答えしたいので、詳細を確認して参考資料とともに理事会承認を経た上で、後日お答えします』と答えました。取材後にも先方から『お願いしている質問事項は●●ですね』と確認メールがきました。私もお待ちいただくよう返信しました。そして、私どもの回答と資料提出の前に、記事が掲載されたのです」
記事では、監査に入った川崎市担当者の「土地の使い方を理事会にはかった形跡はない」とのコメントが掲載されているが、実際には理事会で繰り返し土地売却を討議した議事録が残っており、山岸弁護士は「こちらが提出しようとしていた議事録を受け取っていれば、こんな裏付けのない記事にはならなかったはず。朝日は、『裏付け資料のない記事は掲載してはならない』という、報道機関の最低限のルールを無視した態度に出ていると考えざるを得ない」と憤りを隠さない。ちなみに、この議事録は裁判所にも提出しているという。
たとえ記者が本当に川崎市の担当者からそのようなコメントを入手したとしても、裁判で朝日にはその事実を立証する責任がある。また、仮に市の担当者が実際にそのようなコメントを行ったことを立証できたとしても、法的に名誉毀損は成立する。なお、社会福祉法人には年1回法定監査が入るが、同会が市から指摘されたのは「土地を寄付として受けた場合には、それを基本財産にするのか運用財産にするのか明確にしてください」という点だけだった。
●事実と異なる記載
このほかにも、記事には事実と異なる内容が書かれている。例えば、土地を寄付した人宛てに「(土地を)職員寮やデイサービスなどの拠点として使う」と書かれた千葉理事長名の文書が届いたとされているが、千葉理事長ははっきりと否定する。
「少なくとも私自身が出した文書ではありません。誰かが捏造したものかもしれませんが、それは想像の域を出ない話であり、本当のところはわかりません。事実として言えるのは、私が作成した文書ではないということだけです」
土地の寄付を受けたときに、使い方について雑談レベルで話が出たことはあったものの、何かしら約束した事実はないと千葉理事長は強調する。
「そもそも文章に書いてある職員寮やデイサービスを手掛けようとすれば、新規事業として理事会や評議委員会にはからなければなりません。また、行政機関への届け出も必要です。寄付でいただいた土地には耐震基準をクリアできない古い戸建ても付いていたのですが、それをリフォームして使うのは事業採算性で難しい話でした」
●大きな現実的被害も発生
では、なぜこのような不可解な情報が流れるのだろうか。その背景には、同会が設立されてから現在に至るまでの紆余曲折があるようだ。
同会が設立されたのは1989年3月。千葉理事長によれば、「97年12月に公布された介護保険法に基づいた経営に移管できなかった典型的な施設」であり、2000年を過ぎた頃から経営状態が悪化し、やがて実質的に経営破たん状態に陥ったという。
そんな中で千葉氏が理事長に就いたのは10年。介護人材の研修などにかかわっていた千葉氏のほか、地域の医療関係者や会計の専門家などが法人を立て直すべく、経営を引き受けたのである。当時は「理事会の構成も仲間内で固まっており、風通しが悪い状態」(千葉理事長)だったというが、以前の理事会の実態は、川崎市職員の天下りの受け皿だった。理事の多くは健康福祉局の元職員が務めていたという。ちなみに記事内には、このような元職員による現経営陣へ批判的な匿名コメントも掲載されている。
同会は今回の朝日報道により、すでに具体的な被害を被っているという。千葉理事長は明かす。
「すでに決まっていたにもかかわらず、報道後に取りやめになった寄付が約1億3000万円あります。そのうち3000万円はすでに入金されていたのですが、返却を求めてきたのでお返ししました。記事を見て施設から退去された入居者もいます。そして最も困ったのは、職員の募集に応募がこなくなったことです」
さらに千葉理事長が困惑しているのは、記事掲載後も続く朝日の執拗な取材である。
「記事を書いた記者が、今でも昼夜を問わず関係者の自宅にまで押しかけたりしているようで、私のところに苦情がきて困っています」(同)
山岸弁護士も、「裁判という手続きにのった以上、関係者へみだりに接触することは訴訟ルールを害するので、即座にやめてほしい」と注意を喚起する。
今後裁判が進展する中で、同会の名誉が回復されるとともに、“誤報が生まれる構図”が明らかにされることに期待したい。
編集部
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