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知らぬ間に政治資金が生活費? いつから国会議員は「さもしい連中」になったのか?〈週刊新潮〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141112-00010005-shincho-pol
BOOKS&NEWS 矢来町ぐるり 11月12日(水)11時1分配信
本誌が小渕優子・前経産相の「デタラメ政治資金」を暴いたのは先月中旬だった。その後、政治とカネの問題が噴出したのはご存知の通りだが、生活費のような私的支出を“浄財”で賄うケースは後を絶たない。なぜ日本の政治家は、かくもみみっちく成り果てたのか。
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次は誰に火がつくか――。臨時国会は、さながらババ抜きの様相を呈している。
税金や寄付金からなる“浄財”で、税制上も優遇される政治資金を、あたかも小遣いの如く使い込む。そんな小渕議員が去ってなお、安倍内閣ではカネの問題がそこかしこで燻(くすぶ)っていて、中でも、
「虚偽記載の釈明をすべく、深夜に会見を開いて顰蹙を買った望月義夫環境相の報告書は“見苦しい”の一言に尽きます」(自民党関係者)
というのだ。
「毎年、資金管理団体『青鷹会』がパーティーの収支を記載している。齟齬はないものの、その支出項目を見て唖然としました。地元の食材を中心に『静岡おでん具材』『黒はんぺん』『にじますイクラ』『富士宮やきそば』『生ロールケーキ』『しらす・桜えび』といった名目が延々と並んでいるのです」(同)
これでは、まるで家計簿だ。うち「富士宮やきそば」だけでも、毎年の支出は20万円以上。望月事務所は、「地産地消活動として地元で生産されたものを購入の上持参し、供しております」
と言うものの、
「食材を事細かに並べられても、書類を読む側には理解されず、かえって混乱を招きかねません」
そう指摘するのは、税理士の浦野広明・立正大学法学部客員教授である。
「政治資金収支報告書というのは、民間企業の収支計算書と同じで、基本的に企業会計の原則に基づいて作られるべき書類です。その原則とは、読み手にとっての明瞭性、平易さの確保であり、そのためには重要性の低いものは、一つにまとめるのが肝要。パーティーであれば『飲食代』で十分のはずです。ここまで細々と書かれると、何か不適切な使途が紛れ込んでいて、それをカムフラージュするために仕立てているのでは、と疑ってしまいます」
小渕議員のケースでは、明治座や東京ドームといった施設に後援者を集めることが“政治活動”にあたるのか、との疑問が付いて回った。その点、心当たりのある議員は少なからずいるはずで、例えば、きたる20年東京五輪の準備に余念のない橋本聖子参院議員。
後援会の報告書には「ツアー」名目で、2011年に約17万円、12年に約10万円の収支が記載され、備考欄に「門別競馬場」とあった。
「これは『橋本聖子と行くホッカイドウ競馬バスツアー』という行事で、参加者は実際に馬券を買ってレースを観戦。ジンギスカンに舌鼓を打ちました」(自民党北海道連関係者)
公営競技とはいえ、選挙区の有権者を賭け事に誘って“政治活動”とは恐れ入る。
橋本議員の後援会はもう一つ、きわめて“私的色彩”の強いイベントを計上している。毎年末に催される「姉弟サンタのクリスマス会」なる会合である。
「会場は例年、都内のホテルです。議員が挨拶する横で、お子さんらがサンタに扮してはしゃぎ回っている。壇上には“○○サンタすくすく”などと書かれた看板が掛かっており、つまりは子どもたちのためのクリスマス会を、政治資金パーティーの体裁で開いている形になるわけです」(同)
まさに公私混同のお手本と言えよう。
橋本事務所いわく、
「競馬は馬事文化の継承、競馬場を核とした雇用の創出、ホースセラピーに代表される福祉・教育施策などの充実など重要な役割を有しています。『クリスマス会』の参加者は、橋本の子供の幼い頃を知る方も多く、話の中にはその成長ぶりや子育ての苦労、工夫を盛り込むようにしています」
だそうだ。
■椎茸からさくらんぼまで
その橋本議員と同じく、かつて選挙戦で自民党が目玉と位置づけたのが、三原じゅん子参院議員。お二人は同じ1964年の生まれ、“不適切支出”でもしのぎを削っているようで、
「資金管理団体である『三原じゅん子後援会』は、11年に事務所費として『神棚設置工事』費用の11万円余りを計上しています。さらに、自身が代表である党の『東京都参議院比例区第七十七支部』は、10年6月に『備品・消耗品費』として『車お祓い』3万円を渋谷区内の神社に奉納しているのです」(前出・党関係者)
さすが国際B級ライセンスを持つ元カーレーサー。車への惜しみない愛が伝わってくるではないか。また、“お祓い”といえば、閣内にもこんな人が――。
「甘利明・経済財政相の資金管理団体『甘山会』は毎年、神奈川の寒川神社に3万円、そして東京・上野にある徳大寺に5万円の『祈祷代』を支払っています。徳大寺には山本勘助や前田利家ら武将が帰依していたことで知られる摩利支天が祀られていて、総選挙の直前には、必勝祈願ということでしょうか、ここで改めて祈祷を受けているのが、報告書からもわかります」(全国紙社会部記者)
大臣の先祖も甲斐武田氏の重臣だったというから、何とはなしに腑に落ちる。徳大寺に尋ねると、
「国家安泰の守護神として見えない力で守ってくださるということでお参り頂いていると推察しています」
付言すれば、同じ祈祷代でも10年はすべて「事務所費」扱い。翌年からはなぜか、寒川神社は事務所費、徳大寺は「組織対策費」と分けて計上しているのだ。
この“お祓いコンビ”は、異口同音に、
「法令に従って適正に処理しています」(両事務所)
が、そのいずれも、
「ポケットマネーから出すべきで、明らかに不適切です」
そう呆れるのは、政治資金の問題に詳しい神戸学院大学法科大学院の上脇博之教授である。
「『甘山会』の支出項目が定まらないのは、政治資金で扱いようのないお金だからに他なりません。仮に甘利大臣や三原議員の団体に政党交付金が入っていれば、有権者が怒るのは必至です」
さらに前出の浦野教授も、
「そもそも国民の税金が特定の宗教法人に支払われた形になれば、憲法の『信教の自由』と政教分離の原則に反している可能性もあります。それから、橋本議員の“クリスマス会”にしても、完全に私的な行事。これが政治活動であるなら、ハロウィーンだって家族旅行だって、何でも含まれてしまいますよ」
問題の“嚆矢”となった小渕議員の場合、公開されている「所得等報告書」によれば、第1次安倍内閣で文科政務官を務めた2007年は約2008万円の給与所得と111万円の雑所得があり、戦後最年少で入閣を果たした08年は合計で2302万円、翌年も大臣職にあって2400万円。10年は1971万円。これらにTBS勤務の夫の収入が加わるにもかかわらず、日用品からお歳暮の下仁田ネギまで政治資金で賄っていたのだから、勘違いも甚だしい。
無論、こうした行為はひとり彼女にとどまらず、現に、野党の追及を日々疎ましく思っているはずの安倍首相の側近も――。「重要課題担当」の衛藤晟一首相補佐官が、その当人である。
「彼の資金管理団体『新世紀政策研究会』は、地元・大分名産の干し椎茸を、当地の業者から定期的に購入しています。毎年3万〜35万円ほどで、支出目的は堂々と“椎茸”となっています」(官邸関係者)
購入先の業者に聞くと、
「先生のところは300グラム弱の進物用『どんこ』(干し椎茸)をお買い上げで、値段は3000円ほどです」
で、こちらも先の甘利大臣と同じく、10年は「交際費」で計上したかと思えば、11、12年は何と「備品・消耗品費」扱い。椎茸が“備品”とは、とんちクイズのような話である。
衛藤事務所は、
「海外出張の持参品や、頂いたお土産の返礼で利用しています。干し椎茸は日持ちがよくストックに最適。項目は交際費が適当か、備品もどうか。検討しています」
ことと次第では、今後のポストが遠のきそうな人もいる。現在、文科相が兼任する五輪担当相は、年内に専任職として新設される見通しで、初代に有力視されているのが、山形1区選出の遠藤利明衆院議員。彼もまた、
「12年に資金管理団体『新風会』が、選挙区内で65万円以上のさくらんぼを買い上げ、『さくらんぼ代』として計上しています」(先の官邸関係者)
ちなみに前年の11年には「さくらんぼ代」は見当たらず、代わりに「贈答季節挨拶」として75万円余り、また10年は単に「季節の挨拶」として実に131万円の出費がある。これらの支出先を照合すると、大半がさくらんぼ農家であると判明。ある農家が言うには、
「もう10年ほどになりますか、秘書の方が直接注文しに来て、都内を中心に発送しています。さくらんぼは6月初めからが季節ですが、先生の買う『佐藤錦』の旬は、6月下旬と短い。価格は500グラムで1850円ほどですね」
毎年シーズンには泥棒まで現れる高級ブランドを、気前よく振舞っているわけだ。再び浦野教授が言う。
「選挙区の有権者である業者から繰り返し野菜や果物を買い上げているのですから、公選法の第221条“買収及び利害誘導罪”に触れるおそれもあります。『備品・消耗品費』だなんて、報告書がデタラメである何よりの証左でしょう」
すでに国会では、野党に疑惑が跳ね返る“ブーメラン現象”が多発している。
先ごろ民主党の枝野幸男幹事長が報告書の記載ミスで追及されたばかりだが、例えば同じく閣僚経験者である安住淳・元財務相などは、資金管理団体「淳風会」が渉外費として10年暮れに6万5000円、12年には春秋の2回計12万円余りの「会食費」を、都内カラオケチェーン店に支払っている。そんなに歌いたければ、自腹で行くに限る。
また、かつて本誌で、
〈政治資金で防刃チョッキを買っていた〉
と報じた山本太郎参院議員も、総選挙の前日にあたる12年12月15日、およそ政治活動とは無縁である「薪代」2万円と「テント設営費」2万3300円を支払っていた。
■「性善説」の限界
与野党問わず、こうした所業がまかり通るのは、
「政治資金規正法が、不正が行われないよう“規制”するのでなく、人は正しく改められるという理念で“規正”する法律だからです」
と言うのは、政治アナリストの伊藤惇夫氏である。
「つまり、性善説に立っているので細かい罰則も設けられず、収支に誤りがあっても、報告書の監査役である税理士や弁護士はお咎めなし。会計責任者のクビを切ってしまえば、議員が罪に問われることもない。毎年、報告書の提出締切りが近づくと、議員会館で領収書集めに走り回る秘書の姿を見かけますが、普段からお金の管理ができていれば、そんなことにはなりません」
そうした性善説が、諸刃の剣となるのは明らかで、政治評論家の浅川博忠氏も、
「各自の倫理観に委ねられ、自浄能力も働きようがない法律だから、世間をなめた報告書が出てくるのです」
そう嘆きつつ、
「“田中金脈問題”を受けて三木内閣の時、企業献金に上限が設けられました。平成に入ると中選挙区制が廃止され、小選挙区制になって党内の戦いがなくなった。選挙において、議員個人が必要とする手間や費用が省かれていったのです」
派閥のトップがゼネコンから億のカネを集める時代は幕を閉じ、さらに94年、政党助成法が成立する。
「大きなカネが流れなくなった分、議員の収入は税金で補償されるようになった。競争がなくカネの心配もないため、その資質は段々と小粒になっていき、おのずと秘書も小粒に。そこから、法の網目を縫って数万単位のはした金をちょろまかす、せこい風潮が横行し出したのです。これを機に、抜本的な防止策を打ち立てるべきです。性悪説に転じ、公選法のように細かく、かつ連座制で議員もペナルティーを受けるような規程を盛り込む必要があります」(同)
でなければ、生活費への流用など、歯止めがきかないというのだ。
「“井戸塀政治家”と言うように、議員とは本来、真面目に務めれば、持ち出しばかりで蓄えが減る一方の職業です。それが今や、大して働かないまま貯金だけが増えていく。結果、しみったれた政治家で溢れているのが現状です」(政治ジャーナリストの山村明義氏)
“選良”が聞いて呆れるではないか。
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