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朝日「吉田調書」誤報の真相 社内でも事前に多数「異論」出ていた(J-CASTニュース)
http://www.asyura2.com/14/senkyo174/msg/408.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 11 月 13 日 00:02:05: igsppGRN/E9PQ
 

5月20日の「吉田調書」をめぐる誤報には掲載直前まで社内から異論が出ていた


朝日「吉田調書」誤報の真相 社内でも事前に多数「異論」出ていた
http://www.j-cast.com/2014/11/12220733.html?p=all
2014/11/12 19:32 J-CASTニュース


東京電力福島第一原発の吉田昌郎元所長=13年7月死去=へのヒヤリング結果をまとめた「吉田調書」をめぐる朝日新聞の誤報について、同社の第三者機関「報道と人権委員会」(PRC)が2014年11月12日、誤報に至るまでの経緯をまとめた「見解」を発表した。

この誤報をめぐっては、紙面が印刷される直前まで社内のあらゆる部門、ひいては記事を出稿した特別報道部の部員からも記事内容に対する疑問や修正案が示されていたにもかかわらず、軌道修正されることなく掲載されてしまったことが明らかになった。情報源の秘匿を重視するあまり、「吉田調書」そのものを読んだ人がほとんどおらず、取材チームの3人の独走を許したことで、誤報を防ぐことができなかった。

■記事取り消しの判断は「妥当」と評価

朝日新聞は、5月20日に1面トップで「所長命令に違反 原発撤退」と題して吉田調書に関する記事を掲載した。だが、後に他社も吉田調書を入手し、

「『伝言ゲーム』による指示で現場に混乱があったことを認めているだけで、部下が命令に違反したとの認識は持っていない」(読売新聞)

などと記事が事実と異なるという指摘が相次いだ。9月11日になって朝日新聞は木村伊量(ただかず)社長が会見を開き、誤報を認めて記事の取り消しを表明。PRCに審査を申し立てていた。

PRCの見解では、非公開だった吉田調書を入手して報じたこと自体は「大きな意義を持つスクープ記事だった」と高く評価したものの、「『所長命令に違反』したと評価できるような事実は存在しない。裏付け取材もなされていない」として、後に記事を取り消した朝日新聞の対応は妥当だったと結論付けた。

PRCでは、見解をまとめるにあたって吉田調書や東電の内部資料など約60点を精査。記事を担当した取材記者や特別報道部の部長ら延べ26人に対して聞き取り調査を行い、37人から報告書の提出を受けた。

■他部署の指摘を「命令があったことは複数の東電内部資料で裏付けられている」と突っぱねる

見解では、5月20日の誤報が掲載されるまでに、社内からさまざまな疑問が出されていたことが明らかになった。

記事は、「震災時、原発取材にあたり、その後の異動で特報部の次長や、特報部の取材チームへの応援記者として活躍していた」という2人の取材記者が執筆。原稿をチェックしたデスクも「手抜き除染の取材チームを率いるなど、特報部内での実績を重ねていた」。

5月18日に行われた科学医療部、政治部との打ち合わせでは、科学医療部側から、

「所長命令にどの程度強制力があるのか、位置づけがはっきりしない」 「『違反』と言っていいのか」
「『指示に反して』や、『意に反して』ではどうか」

といった疑問が出たが、担当デスクは、

「所長命令があったことは複数の東電内部資料で裏付けられている」

などと説明。

■当番編集長も「吉田調書」閲覧を断られる

記事が載る前日の5月19日午後には、大阪本社が

「『命令』ではなく、『指示』ではないか」

と質問。担当デスクは、

「他にも支える取材資料があり、間違いない」

などと回答した。東京本社の当番編集長は、吉田調書の現物を見せるようにデスクに求めたが、デスクは秘密保持や分量が多いことを理由に断った。

大阪本社内ではその後も記事に対する疑問が相次ぎ、20時過ぎに東京本社に疑問点を改めて伝えたが、東京本社側は元々の見出しに問題がない旨を回答した。大阪本社では「所長指示通らず原発退避」という見出しを検討したが、結局は東京本社と足並みをそろえた。ただ、東京では2面に掲載された

「吉田所長の指示は、構内に線量の低いエリアがなければ第二原発も視野に入れて退避せよというもので、第二原発への一時退避は指示に違反していない」

という東京電力のコメントを、大阪独自の判断で1面に引き上げた。

疑問の声は東京本社でも上がっていた。22時ごろ、記事を出稿した特報部の部員が早版の大刷りを見て「現場は混乱していたのでは。現場の声を入れた方がいいのでは」などと提案したが、記事を執筆した記者2人が修正を受け入れなかった。

■23時になっても「『命令違反』の横見出しが、所員を責めているように読める」と指摘

23時頃には、記事の語句や言い回しのチェックを担当する校閲担当者が、見出しに関する権限を持っている紙面のレイアウト担当者に対して、

「『命令違反』の横見出しが、所員を責めているように読めるので『書き換えるべきではないか』」

と注文したが、レイアウト担当者は、

「第二、第三のスクープがある。今日は書いてないこともあるようだ」

と回答。その結果、5月20日の東京本社最終版の1面は「所長命令に違反原発撤退」の横見出し、「福島第一 所員の9割」の縦見出しに決まった。

PRCの見解では、誤報をチェックするあらゆる機会を逃してしまった原因のひとつとして、取材チームをめぐる「自信と過度の信頼も影響している」と総括している。

「吉田調書を入手し検討した取材記者たちは福島原発事故の取材に関しては自負があり、2人だけでの仕事にこだわり、他からの意見を受け付けない姿勢がみられた。その結果、専門性の陥穽(編注:かんせい=おとしあな)にはまった。担当次長(編注:担当デスク)も局内で高い評価を受けていた。GE(編注:ゼネラルエディター=編集責任者)、部長らは、そうした取材記者2人と担当次長の3人のチームを過度に信頼し、任せきりの状態だった。部長とGEがその役割を的確に果たさなかったというほかない」


 

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