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日中首脳会談、ぎこちない握手も思惑通り 会談したことに「最大の意味」
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20141111/plt1411111540002-n1.htm
【北京=阿比留瑠比】3年ぶりに実現した安倍晋三首相と中国の習近平国家主席による日中首脳会談は、個別の具体的懸案の処理や重要政策テーマを協議することではなく、会談を開くこと自体が主目的だった。
「きょう両首脳が直接会い、関係改善に向けて率直な話し合いをもったことに最大の意味がある」
会談後、政府筋はこう振り返った。会談前に外務省幹部も「今回は、会って会談して写真を撮ればそれでいい」と語っていた。
会談冒頭、首相と握手を交わした習主席の表情はぎこちないままだったが、日本側としてはいったん握手をしてしまえば主導権も握れるという計算もあった。日中外交筋はこう語る。
「第1次安倍政権当時の平成18年に、首相が胡錦濤国家主席と会談したときもそうだ。会って握手した瞬間にこっちが強い立場になる。中国側は対日方針を転換して会った以上、関係が悪くなると習執行部の失点となって後ろから矢が飛ぶ。だから一生懸命関係をよくしようとすることになる」
会談で第1次安倍政権当時の首相が提唱した「戦略的互恵関係」がキーワードになったことも、日本側の狙い通りだ。これまで中国側は、いくら首相が「日本側のドアは開かれている」と呼びかけても、歴史問題などで対日非難を強めるばかりで応じてこなかった。にもかかわらず今回、日本に要求してきた靖国神社不参拝の確約や、尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領有権問題の存在確認など諸条件を引っ込めて会談したことで、日中関係のあり方は変わった。
中国としては、主張の一貫性を保つため国内向けに安倍政権は「いい方向に変わった」「反省した」と宣伝せざるを得ない。そうなると、今後は対日批判を弱めていく可能性が高い。
実際、会談でも「靖国」「尖閣」という言葉への言及は一切なかった。この問題で日本を批判すると、会談実施と整合性がとれず、中国国内で政権批判を招くことになりかねないからだ。
「今後も徐々に、関係改善の努力をしていきたい」
会談で習主席が「徐々に」という言葉を用いたののも、日本の対応を見守りつつ少しずつ軌道修正を図りたいと中国側の意向を反映しているといえる。
もちろん日本政府は、会談したからといって諸懸案がただちに解決するとはみていない。尖閣諸島についても中国側が領有をあきらめることはないとみているが、偶発的衝突を避ける「海上連絡メカニズム」の運用も合意したことで、当面の危機管理上の意味は大きい。政府高官は今回の会談をこう位置づける。
「尖閣諸島問題などで中国を押さえ込むためのキックオフだ」
[ZAKZAK(夕刊フジ) 2014/11/11]
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