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2014年11月11日
11月19日に衆議院が解散され、12月14日または12月21日に総選挙が実施される。
衆院の年内解散・総選挙の可能性が急浮上している。
拙著『日本の奈落』(ビジネス社)
に、年内解散・総選挙の可能性が高く存在することを記述した。
本来の年内解散・総選挙シナリオは、ロシアのプーチン大統領訪日による北方領土問題の打開、北朝鮮拉致被害者の帰国実現などにより、政権支持率を高めたタイミングで実施するというものであった。
この場合、消費税増税については選挙中は明確に言及せず、選挙後に増税を決めるというものであった。
本ブログでは本年6月21日に、
「10月26日抜き打ち総選挙説の可能性を検証」
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/1026-43e5.html
と題する記事を掲載した。
ところが、プーチン大統領の訪日は実現せず、北朝鮮による拉致被害者の帰国実現も不可能な情勢になった。
このため、当初の年内解散・総選挙シナリオは崩れた。
しかし、一方で、消費税再増税決定が不可能な情勢が強まり、安倍首相が増税先送りに傾いた。
そこで、この増税先送りを逆に武器として活用して解散・総選挙を実施する戦略が浮上したのである。
総選挙は2016年12月までに実施しなければならない。
いまから2年以内に総選挙は必ず実施される。
拙著『日本の奈落』に記述したが、2005年9月に小泉政権が郵政解散に踏み切った。
2003年11月の総選挙から2年も経過しない時点で総選挙に打って出た。
この選挙で大勝して小泉政権は長期政権を実現した。
解散・総選挙を積極的に活用して政権の基盤を強化することを安倍晋三氏にアドバイスしたのは、実は中曽根康弘氏である。
安倍晋三氏は、長期政権を実現するために、最も有利な解散・総選挙タイミングを探っていると考えられるのだ。
2015年10月に消費税再増税を実施する場合、解散・総選挙日程の選択は極めて限られてくる。
まず、2016年の総選挙が難しくなる。
消費税率が10%に引き上げられれば、その直後の日本経済は真っ暗闇になる。
このなかで総選挙を実施するのは飛んで火にいる夏の虫である。
この場合、総選挙は2015年10月以前ということになる。
夏場の選挙と、2014年中の選挙の二つの可能性が浮上する。
夏場の選挙では、原発再稼働、TPP参加、憲法解釈変更に伴う安保法制、沖縄基地建設推進など、国民が反対する施策を強行実施したあとでの選挙となる。
選挙タイミングとしては好適でない。
ここから、年内総選挙の可能性が浮上した。
プーチン大統領訪日と拉致被害者帰国で政権支持率を引き上げての解散・総選挙を実施し、その後に消費税増税を決定するというシナリオだった。
しかし、プーチンの訪日も拉致被害者の帰国も実現せず、このシナリオが崩れた。
既述の通りである。
もうひとつのシナリオは、消費税再増税を先送りするなかでの解散戦略である。
この場合には、解散・総選挙タイミングの選択には幅が生まれる。
増税実施時期は2017年4月になる。
増税と選挙をできるだけ引き離す意味からは、2014年内の選挙か2015年の選挙のいずれかが好適になる。
しかし、2015年央の選挙にはリスクがある。
既述したように、原発再稼働、安保法制、TPP参加、沖縄基地建設推進などの施策で、政権批判が強まる可能性が高いこと。
また、野党の選挙準備が進むことも安倍政権与党にとってはマイナスである。
これらを踏まえると、消費税再増税を先送りする決断をする場合には、早期の解散・総選挙実施が安倍政権にとって有利ということになる。
そして、この場合には、原発再稼働、安保法制、TPP参加、沖縄基地建設推進などの国民に不人気な施策実施を選挙後にすることができるから、選挙に勝ってしまえば、これらを強硬に推し進めることが可能になる。
かくして、12月9日公示、12月21日投開票、あるいは12月2日公示、12月14日投開票の日程を軸にする、年内解散・総選挙の可能性が急浮上するのである。
このまま進めば、日本は安倍政権によって「やりたい放題」されてしまう可能性が高まることになる。
主権者は直ちに総選挙シフトを敷かなければならない。
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