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APEC首脳会議に出席するため、北京国際空港に到着した安倍首相(左)と昭恵夫人。「年内解散」を胸に秘めているのか=9日(共同)
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20141110/plt1411101830004-n1.htm
2014.11.10
安倍晋三首相が、消費税率10%への引き上げ(来年10月予定)の先送りを決断し、「国民に信を問う」かたちで、年内の衆院解散・総選挙に踏み切るとの観測が、永田町で浮上してきた。閣僚や野党幹部らを直撃した「政治とカネ」の問題を清算し、株価を大幅に押し上げたアベノミクスや、日中首脳会談にこぎ着けた外交政策を掲げて、正面突破するものだ。「12月14日投開票」など、複数の日程も取り沙汰され始めている。
「(17日に)7〜9月期のGDP速報値が発表されるが、そうした数値を見ながら(再増税の可否を)慎重に判断していきたい。そして、解散についてはまったく考えていません」
安倍首相は9日、北京で開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議など、3カ国歴訪へ出発する直前、羽田空港で記者団にこう語った。
記者団の質問は、読売新聞の9日付朝刊1面の「増税先送りなら解散 首相検討 年内にも総選挙」という記事を踏まえ、再増税と衆院解散について尋ねたものだ。
実際、「政治とカネ」に絡む閣僚スキャンダルが相次いだことを受け、与党内では早期解散を求める声がくすぶっている。
安倍内閣や自民党の支持率は大きく下落しておらず、野党の選挙協力もほとんど進んでいない。このため、「再増税を先送りして『国民に信を問う』『経済復活を成し遂げる』という旗印を掲げて戦えば圧勝できる。再増税先送りは前回衆院選の公約と違ううえ、法改正も必要なので十分大義になる」(自民党若手)というわけだ。
現在の臨時国会は、地方の活力を引き出す地方創生関連2法案や、「女性が輝く社会」を目指す女性活躍推進法案、派遣労働者の受け入れ期間制限をなくす労働者派遣法改正案などが焦点だが、来年の通常国会ではケタ違いの難題が待っている。
「来年は、原発再稼働や、集団的自衛権の限定行使容認に伴う関連法案の整備などがある。一部メディアの反発は必至で、国論も揺れかねない。閣僚スキャンダルを引きずったままでは厳しい。年内解散・総選挙で心機一転、仕切り直す手はある」(同若手)
前出の読売の記事は、予想される選挙日程について「12月2日公示・14日投開票」か「9日公示・21日投開票」とする案が有力と指摘している。このほか、「16日公示、28日投開票」説もささやかれている。
自民党の茂木敏充選対委員長は10日午前、那覇市で記者団に「いつ解散があってもいいように選挙準備を推進する。空白区を埋める作業や、公認調整はしっかり進めている」と述べた。
石破茂地方創生担当相も9日、「衆院議員は12月で任期の半分を超え、いつ解散があってもおかしくない。常在戦場とはそういうことだ」と鹿児島市での講演で指摘した。「首相が解散すると決断した時に『準備不足』と言って、首相の判断を間違えさせてはならない」とも語った。
解散風は一度吹くと、なかなか止まらない。ただ最近、安倍首相と会談した与党幹部は「安倍首相から、解散の話はまったく出なかった。『解散カード』をチラつかせて党内外を牽制し、不満や批判を抑え付ける狙いではないか」と語った。
急に吹き始めた解散風に野党側も反応した。
民主党の枝野幸男幹事長は9日、早期の衆院解散論について、「いつ解散されてもいいよう備えるべきだ。解散に追い込めば、(前回)落選して再起を目指す仲間の期待に応えられる」と強調した。青森市で記者団に語った。
同時に「消費税率を上げないとすれば、アベノミクスがうまくいっていないことの裏返しだ」と述べ、安倍首相の経済政策が争点になると指摘した。
維新の党の江田憲司共同代表も同日のフジテレビ系「新報道2001」で、安倍首相が再増税先送りを判断する場合の対応について、「これまでの方針の大転換だから、やはり国民に信を問うべきだ」と述べ、衆院解散の必要性を唱えた。
早期の衆院解散論について、政治評論家の浅川博忠氏は「年内の解散総選挙ならば、自公与党が過半数を維持し、勝つのは間違いない」といい、こう続ける。
「ただ、前回衆院選で自公与党は勝ちすぎている。現有326議席だが、それをキープできるかは疑問だ。安倍首相にとって政策の最優先事項は『経済再生』であり、この臨時国会と来年の通常国会で次々と手を打つ。国民に『景気がよくなった』と実感させてから解散するはず。やはり来年の通常国会末が有力だろう。原発再稼働や集団的自衛権に伴う法案整備も、現在の圧倒的多数をバックに進めたいはず。与党内でも解散風はそれほど高まっていない。野党へのブラフではないか」
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