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伝説ディーラー藤巻健史氏「物価上昇は20%まで加速する」
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/154764
2014年11月10日 日刊ゲンダイ
■日銀は国債買い続けハイパーインフレ一直線
異次元緩和では物足りず、追加緩和に踏み切った黒田日銀。これを歓迎した株式市場は沸きに沸いているが、“劇薬”の副作用は計り知れない。“伝説のディーラー”は2年前の安倍政権発足時から、大胆な量的緩和は「ハイパーインフレのリスクを生む」「歯止めが利かない円安に襲われる」と警鐘を鳴らしてきた。まさにその通りになってきた。
――黒田日銀の追加緩和のサプライズをどうご覧になりました?
黒田さんは追い詰められていた。追加の異次元の緩和は不可避だとは思っていましたが、まさか本当にやっちゃうとはね。去年4月に真珠湾攻撃をしてしまったから、今さら引くに引けないのでしょう。このまま全面降伏になるのかなと思っています。つまりハイパーインフレまっしぐら、ですよ。
――安倍政権が発足した2年前から、ハイパーインフレのリスクを懸念されていましたね。
量的緩和はポピュリズム政治の最たるものです。1年、2年はいいかもしれないけれど、その後は地獄。後は野となれ山となれ政策なんです。マスコミの人も、(物価上昇率が)2%にいくかどうかばかり心配していますが、僕は2%になったら、5%、10%、20%と加速していってしまうんじゃないかと思っています。なぜなら、今の量的緩和政策にはブレーキがないから。(国会の)委員会では、いつも黒田さんに、どうしたらブレーキがかかるのか、つまり、出口戦略の方法はあるのか、量的緩和のジャブジャブをどうやって解消できるのか、と何度も聞いていますが、「時期尚早」としかお答えにならない。それは、時期尚早ではなく、答えがないからだと思います。
――今度の追加緩和で、ますますハイパーインフレの危険性が高まりました。
過去、ハイパーインフレを経験した国というのは、お金をジャブジャブにしたせいなんですよ。1923年のドイツ、昭和21年の日本、最近はジンバブエもそう。ドイツや日本について「あれは戦争があったから」と多くの人が言いますが、軍備や賠償金、社会保障費のためにお金を刷りまくってジャブジャブにしたことには変わりありません。歴史に学ばずに今、同じ政策を打っている。これは間違いだと思います。
――米FRBは量的緩和をやめることを決め、「出口」へ向かいます。しかし、日本には「出口がない」ということですね。
そもそも米国は財政収支が改善されていますから、発行される国債はどんどん減っています。そのうえドルは基軸通貨ですから、FRBが買わなくても他国の政府が米国債を買ってくれるのです。日本の場合は米国と事情がまったく違います。去年4月に量的緩和を始め、日銀が国債を75兆円購入した一方、日銀以外の銀行や生保、公的年金は国債を減らしている。買っているのは日銀だけです。毎年40兆円ずつ国債が発行されるのに、日銀が買うのをやめたら、誰も買い手がいない。国債は暴落、長期金利が急騰し、ジ・エンドですよ。日銀は未来永劫に国債を買い続けなければいけない。日本はまだ「出口」の前の段階なんです。
――「出口」の前?
「出口」というのは、最大限から元に戻していくことです。人間でいえば、元の体重に戻すこと。65キロの僕が、最初の年に30キロ増やし、翌年に20キロ、その次は10キロ、5キロで、4年間で130キロになった。もうこれ以上増やしません、というのが今回の米国の決定です。65キロに落とさないと健康体に戻ったとはいえませんよね。65キロに戻して初めて「量的緩和の解消」といえるのです。ところが日本は、日銀が国債の買い入れをやめられないのだから「出口」の前の段階なんです。米国のように買うのをやめれば減らせるけれど、日本は買うのをやめられない。
――円安とハイパーインフレはどこまで進むと思いますか?
1ドル=1万円になる可能性だってあります。1万円なんて言うとみな驚くけれど、ハイパーインフレが進めば1ドル=10万円にまでなりかねません。そういう事態が起こり得るわけです。
■日本は市場原理の働かない「社会主義国」
――ハイパーインフレになったら、日本はどうなるのか。考えるだけでも恐ろしいですが……。
ハイパーインフレは地獄ですが、グシャッとなって終わりじゃない。日本の財政が潰れても、日本の国が潰れるわけじゃないんです。第2次大戦後に軍事国家日本が破綻し、民主主義国家日本が再生したように、ハイパーインフレの後、この国は再生すると思います。円安で日本は必ずや大復活するはずですから。
――円安で復活する? 円安で恩恵を受けるのは輸出企業だけじゃないですか。
輸出だけじゃありません。一番大きいのは労働力でしょうね。今は円が強いからみんな外国人を雇う。だから工場が外国へ行ってしまって、国内は空洞化した。為替は今、1ドル=76円から110円になりましたが、まだ工場は戻ってこない。しかし、150円や180円になったら戻ってきますよ。そうすると人手不足になります。地方に工場が戻って、地方も活性化します。農業だって円安になれば復活ですよ。例えばサトウキビ。昔、沖縄の砂糖って元気だったけれど、今は円が強いから外国の砂糖が安く買える。それで日本のサトウキビがダメになった。観光業だってそうです。沖縄のタクシー運転手さんが「昔は競争相手は北海道だけだったけど、今はグアムやハワイにお客さんが行ってしまう」と嘆いていました。しかし、弱い円ではハワイ旅行は高すぎるから沖縄へ戻ってくる。つまり、円で売っているもの、サービス、労働力と、全て魅力的になるわけです。
――今は円安が中途半端だということですか?
めちゃくちゃ円高ですよ。日本の国力は1ドル=180円、200円のレベルだと思っています。日本の問題は「通貨」を国力レベルに合わせる努力をしてこなかったことです。これだけお金をジャブジャブにしていたら、普通は20年もGDPが伸びていない国に投資なんかしないで海外へ行く。そうすると円安ドル高が進み、日本経済は良くなる。ところが日本には、郵貯みたいな国有企業がたくさんあって、量的緩和のジャブジャブのお金で国債を買ってきたんです。郵貯の経営者は儲けることを考えていないからです。これが米国の銀行だったら即座に経営者はクビですよ。日本には市場原理が働いていない。“社会主義国”だったんですよ。それに、こんなに累積赤字が大きくなれば、普通なら長期金利が上がる。市場が、「政治家さんよ、橋なんか造って財政出動したら長期金利が上がっちゃいますよ。だからやめなさい」ってセーブをかけるのです。ところがこの国では、政府機関が市場原理と関係なく国債を買うから、長期金利は上がらない。で、政治家はカネを使いまくる。それで歪みが大きくなって借金が膨らみ、いつ破裂してもおかしくない状況になってしまったのです。
――ここまで来ると、もう日本経済はクラッシュするしかない、とみているわけですね。
僕は政治家だから、「だったらなんとかしろ」とみなさんから怒られますよ。だけど、1945年の7月に「米国に勝て」「政治家だから、陸軍大将だったら、何とかなるだろう」と言われたって、無理なものは無理。だけど、クラッシュしても円安で日本経済は復活する。ハイパーインフレで実質的に借金ゼロになり、財政赤字も解消される。ゼロからスタートできるわけです。そういう筋書きを分かっていれば、ハードランディングしても自暴自棄にならないでしょう。もうひとつは自助努力。だから僕はドルを買え、と言っているんです。ハイパーインフレにクラッシュという不幸中の不幸を、不幸中の幸いにするのが、私の役目だと思っています。
▽ふじまき・たけし 1950年東京都生まれ。一橋大卒。モルガン銀行東京支店長時代に「伝説のディーラー」と呼ばれ、独立後、ジョージ・ソロス氏の投資アドバイザーなどを務めた。13年7月の参院選(比例)で初当選。維新の党所属。
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