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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 専業主婦イジメが始まった
http://wjn.jp/article/detail/3177625/
週刊実話 2014年11月13日 特大号
10月21日に政府が経済財政諮問会議を開き、女性の活躍推進のための税制に関する議論に着手した。
会合では、伊藤元重東大大学院教授らの民間議員が、専業主婦やパートタイムで働く妻がいる世帯に適用されている「配偶者控除」を廃止する方向の見直しを提案した。
配偶者控除がある場合、妻の年収が103万円を超えると夫の税負担が増えるため、女性の労働時間を抑制する効果を持っているというのが、民間議員たちの主張だ。しかし、ここには重大な論理のすり替えがある。
そもそも安倍総理の指示は、「女性の就労に中立的な税制を考えてほしい」というものだった。ところが、配偶者控除の廃止は、それに逆行するのだ。
女性の就労に中立的な税制というのは、夫婦がどのような働き方の分担をしても、世帯の税負担が変わらない税制だ。
例えば、世帯で1000万円の年収が必要だとすると、夫が1000万円+妻が0円、夫が800万円+妻200万円、夫500万円+妻500万円のような組み合わせは、すべて世帯年収が同じになるから、同じ税負担でなければならない。そうしないと、税制が夫婦の労働分担を誘導することになってしまうからだ。
そこで、現在の税制に従って、所得税の負担が働き方によってどう変わるのか試算してみよう。
まず、夫が1000万円+妻が0円の場合、世帯としての年間の所得税負担は69万6000円となる。次に夫が800万円+妻200万円の場合は、49万7000円、夫が500万円+妻が500万円の場合は、27万8000円となる。
現行税制では、夫婦間の所得差が大きいほうが、所得税負担が重くなっている。逆に、税負担が最も小さくなるのが、夫婦で半分ずつ稼ぐ場合なのだ。専業主婦世帯は、半分ずつ稼ぐ共稼ぎ世帯と比べると、2.5倍もの所得税を納めている。なぜこのようなことが起きるのかというと、所得税が累進課税になっていて、片稼ぎだと高い税率が適用されてしまうからだ。
もちろん、配偶者控除が専業主婦世帯に、一定の減税効果をもたらしていることは事実だ。だから配偶者控除を廃止すると、夫が1000万円+妻が0円世帯の場合、所得税負担が7万6000円の増税になる。
もともと、専業主婦世帯は高額の税負担をしているのに、さらに負担が拡大することになるのだ。
私自身は、「女性は働くべきだ」と思っている。働いた方がより豊かに生きられると思うからだ。ただ、だからといって、私は専業主婦世帯を殲滅しようとは思わない。どんな分担の仕方をしても、世帯の所得が同一である限り税負担は同じにする。それが女性の就労に中立な税制なのだ。
そうした税制は、現に存在する。それが「二分の二乗課税」と呼ばれるものだ。二分の二乗課税では、まず夫婦の所得を合算して、それを二分の一にする。つまり夫婦の所得を平均して、そこに税率表を当てはめて、所得税を計算する。そして、出てきた税額を二倍にする。この方式だと、世帯年収が同じであれば、労働の分配をどう変えても税額が同じになる。政府がこの税制を採用しようとしない理由は、単に増税をしたいからではないのだろうか。
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