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日中首脳会談をめぐる報道から読み取れるもの
http://www.amakiblog.com/archives/2014/11/08/#002983
2014年11月08日 天木直人のブログ
きょう11月8日の各紙が、昨晩テレビが報じた日中首脳会談合意について、一斉に報じている。
その記事から見えてきた事を以下の通り順不同に列挙してみたい。
1.どの記事もテレビの報道の域を出ないつまらないものばかりだった。本件についての安倍政権の報道規制が徹底しているか、メディアがその取材力を失い、政府ブリーフを垂れ流すだけになってしまったか、どちらかだ。
2.発表された合意文書は典型的な官僚文書だ。その意味するところは作成した当事者しかわからない。いや、日中双方の当事者さえも解釈が異なる同床異夢の文章だから、厳密な意味で合意ではない。このような文章は、急に出来たのではなく日時をかけた日中双方の官僚たちの交渉があったはずだ。谷内局長はセレモニーとして訪中したということだ。
3.私の最大の関心は、はたして谷内局長は楊ケッチ国務委員と直接に交渉したのかということである。報道によれば会談し、協議したことになっている。しかし、その映像や写真は一切流されない。
たとえそうだったとしても、それは谷内局長による楊ケッチ表敬訪問のようなもので、実質的な協議は中国側の実務者と行われたのではないか。岸田外相は王毅外相とこれから会談することになっている。その前に、王毅外相より格の高い楊ケッチ国務委員が、岸田外相より格の低い谷内局長と首脳会談の実質的協議をすることに中国側が応じるだろうか。ありえないことだ。
4.ここまで詳しくかつ玉虫色の周到な文書が事前に発表されたということは、たとえ日中首脳会談が行われても、これ以上の合意がなされることはないということだ。 つまり実質的な首脳会談はすでに首脳同士の会談前に行われ、その結果がこの発表された合意文書なのだ。 言い換えれば、行われるであろう日中首脳会談は、たとえ立ち話ではなく席についたものになったとしても、そしてそれを日本側が公式会談と強弁しようとも、握手するだけの形式的なものだ。もしそこで今回の合意文書以上の協議が両首脳間で行われたり、玉虫色の合意文書の解釈を巡って意見が交わされることになれば、大問題になる。官僚たちがつくった巧妙な合意文書がぶち壊しになる。そんなことはあり得ないのだ。
これを要するに、この玉虫色の合意文書の公表によってすべてが終わり、これまでと何も回らない日中関係がAPEC後に続くことになる。
そしてそれは何もこれまでどおり何も進展しないまま、来年の日中戦争終結70周年を迎えることになる。
来年こそが日中関係の正念場の年となる(了)
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