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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141029-00000003-wordleaf-pol
THE PAGE 10月29日(水)8時0分配信
■朝日の世論調査で微増した内閣支持率
小渕優子経済産業相と松島みどり法相が10月20日、「政治とカネ」の問題でそれぞれ辞任した。その後、小渕氏の後任になった宮沢洋一経産相をめぐって、秘書が「SMバー」に約1万8000円の政治活動費を支出し、宮沢氏が広島県の外国人企業から寄付を受けていたことが明らかになった。
ほかにも有村治子女性活躍担当相の政治団体が、脱税で罰金の判決を受けた鹿児島市の企業から寄付を受けていたことが発覚。望月義夫環境相の後援会の政治資金報告書においては、「賀詞交換会」などの支出の記載はあったが、収入の記載がないことが分かった。閣僚の不祥事のオンパレードである。
リベラル系の朝日、毎日、東京新聞は10月28日朝刊のそれぞれ1面カタで望月氏の不記載問題を大きく報じ、保守系の読売、産経は2社面で控えめに報じた。日経は1社面トップにしたので、中間的といったところか。
在京各紙の記事の扱いから安倍政権に対する立ち位置がよくみえてくる。リベラル系の3紙を読むと、政権の「政治とカネ」の問題が燎原の火のごとく広がっていることが伝わってくる。
それでは「ダブル辞任」後の各紙の世論調査から、内閣支持率をみてみる。
朝日の調査が支持49%、不支持30%となり、「ダブル辞任」前の調査より、意外にも支持率が3%微増した(10月27日朝刊)。読売は支持53%、不支持37%で、前回より支持率が9ポイント下落した(同26日朝刊)。日経は支持48%、不支持36%で前回より支持率が5%下がっている(同27日朝刊)。
これらの調査結果を受けて、読売は28日朝刊で「内閣支持 急落は回避」との見出しにし、「内閣支持率が50%前後を維持し、政府・与党内では『政権へのダメージは最小限に収まった』と安堵感が広がっている」と政権の後押しをし、「国民には『経済を何とかしてくれ』という期待感があるのではないか」という菅義偉官房長官のコメントを載せた。
産経も28日朝刊で「政府高官は『国民は審議を望んでいる』とし、『世論は野党の国会でのスキャンダル追及にうんざりしているとの見方を示した』」と野党を牽制した。
■解散論を唱える毎日と産経
主要報道機関の内閣支持率が急落していないことから、早期の「ダブル辞任」によるダメージコントロールは奏功したいえる。しかし、ほかの複数の閣僚の不祥事が相次いで浮上、民主党をはじめとする野党は追及の手を緩めそうにない。12月には国民に慎重論がある消費増税の判断や、来年には集団的自衛権の行使容認をめぐる法整備も控えており、このままで乗り切れるのだろうかという危惧もある。
毎日と産経新聞はこのような状況に注目し、年内解散論を唱えた。
毎日は10月28日朝刊で「じわり解散ムード」との見出しをとり、「政府・与党の一部には『負け幅が少ないうちに』と早期解散を求める意見がくすぶり始めている」とし、「自民党執行部に近い中堅議員は『再増税の判断を保留し、12月解散に踏み切ってはどうか』とつぶやく。なお堅調な内閣支持率を踏まえ……衆院選で政権が信任を得て、改めて重要政策に着手するシナリオだ」と読み解いた。
産経28日朝刊も「年内解散論が急浮上」との見出しで、「来年10月の消費増税の10%への引き上げを先送りし、『経済再生』を争点に掲げて一気に反転攻勢に出るというシナリオが浮上しているのだ」と伝えている。
早期解散にリスクがないわけではない。この点について同じ記事のなかで毎日は「ただ消費増税の延期や中止は……国際市場から日本の財政再建への姿勢も問われかねない。安倍政権が閣僚の不祥事どころではないリスクを抱え込む懸念もはらんでいる」とし、産経は「自民党の勢力が現在の294から減らし、公明党と合わせた獲得議席は、衆院での再議決や憲法改正の発議に必要な3分の2以上が困難になる可能性が高い」と押さえていた。
師走にむけてどのように展開していくのか、気になるところだ。(2014年10月28日)
※この批評は東京本社発行の最終版をもとにしています。
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徳山喜雄(とくやま・よしお) 新聞記者。近著に『安倍官邸と報道―「二極化する報道」の危機』(集英社新書)。
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