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「小渕氏と同じ日に辞任を」 菅官房長官、松島氏に打診
http://www.asahi.com/articles/ASGBW51QYGBWUTFK00J.html
2014年10月28日07時59分 朝日新聞
19日朝、朝刊を手にした法相・松島みどりの頭に浮かんだのは、自らの「辞任」の2文字だった。各紙が不透明な政治資金問題を抱えた経済産業相・小渕優子を「辞任不可避」などと報道。選挙区内でうちわを配ったと追及された松島を、野党が次の標的にすると指摘していたからだ。
携帯電話を手に取ると、着信履歴に官房長官・菅義偉の名があった。折り返すと、菅は「会えませんか」。
東京都内で松島に会った菅は切り出した。
「自分から辞職するお気持ちはありませんか。総理から聞いて欲しいと頼まれました」
首相官邸は当初、松島の辞任までは想定せず、首相の安倍晋三は「『うちわ』で辞めさせていいのか」と考えていた。だが、小渕の辞任が既定路線になると状況は一変した。勢いづいた野党の矛先が松島に向くと予想され、国会運営や内閣支持率への影響が必至だったからだ。
18日に安倍が外遊から帰国すると、菅と首相秘書官の今井尚哉は「小渕さんと松島さんの一緒の辞任がいい」と進言。安倍も腹を決め、事態は急展開した。
菅から辞任を示唆された松島は「政権がもたない。私は辞めるしかありません」と言葉を振り絞った。菅は冷静に続けた。
「できれば小渕氏と同じ日に辞任してほしい。政権は2人の辞職でもちます」
1993年以来という異例の閣僚ダブル辞任から1週間。朝日新聞の25、26日の世論調査で内閣支持率は微増し、一見、政権の思惑通りのようには思える。(肩書は当時、敬称略)
■首相決断、支持率急落が教訓
将来の首相候補と目された経済産業相・小渕優子の政治資金問題が、15日に週刊新潮などの報道で発覚すると、永田町は大騒ぎとなった。
小渕は16日の参院経済産業委員会で「安倍内閣の一員として責任を感じる」と発言。早々に辞任の意思を固め、官邸に伝えた。19日に続投するよう電話で激励した先輩議員には、「ごめんなさい」と応じ、辞意が変わることはなかった。
小渕の問題発覚で、首相官邸は一気に緊迫した。首相の安倍晋三は15日から外遊に出発したが、官房長官の菅義偉に加え、首相秘書官の今井尚哉が外遊の同行を取りやめて対応に当たった。不可避になった小渕の辞任への対応だけでなく、法相・松島みどりの問題がクローズアップされてきたためだ。
■松島氏の言動に不信感
官邸内では、松島の「うちわ」問題について「長引く話ではない」と楽観ムードもあった。
だが、松島は10日の記者会見で、野党の追及を「雑音」と断じた、と受け取られる発言をしてしまう。法務省の秘書課員が松島に「雑音発言は訂正を」という趣旨のメモを渡したが、松島は訂正しなかった。発言を問題視した野党は、謝罪・撤回を求めるなど国会での追及の手を強めていった。
当初、「頑張って欲しい」と松島を励ましていた官邸幹部らの目にも、次第に不信の色が浮かんでいった。「あの感じで答弁していてもつかなあ」。安倍も松島の答弁ぶりに不安を持ち始める。
前任の法相だった自民党幹事長・谷垣禎一も、松島の言動に疑問を抱いていた。谷垣が17日夕、菅に「2人とも続投は難しいですね」と伝えると、菅も「ドミノ辞任は避けなければなりませんね」と応じた。菅はダブル辞任を視野に入れ始めていた。
「女性活躍」の象徴でもあっただけに、小渕と松島の処遇は難しかった。小渕を先に辞任させれば、松島に野党の攻撃が集中し、ドミノ辞任につながる恐れがある。
一方、2閣僚が同時辞任すればスピード決着となるが、支持率低下などの形で政権の体力がそがれるリスクをはらむ。さらに、うちわ問題での松島の辞任は、閣僚辞任のハードルを下げることにもつながり、閣僚に新たな問題が出れば、辞任ドミノになりかねない。
小渕、松島の辞任は避けられないという菅、今井からの進言を受けた安倍はダブル辞任を選んだ。第1次安倍政権で閣僚の政治資金問題が相次ぎ、対応が遅れて支持率が急落した教訓からの判断だった。当時、総務相だった菅には、後手に回る官邸に素早い対応を求めて談判したが、聞き入れられなかったという苦い経験があった。
■続く政治資金問題、誤算
19日、菅に辞意を伝えた松島は直接、安倍の携帯を鳴らし、辞意を伝えた。安倍は「新しい気持ちでやり直すのもいいかもしれない。まだチャンスはあるから」とねぎらった。
その後、安倍は都内のホテルで菅と会い、20日のダブル辞任の手順を詰めた。安倍は松島に対し、小渕とできるだけ間を空けず、官邸に辞表を持ってくるよう求めた。翌20日、小渕、松島は相次いで辞表を提出した。
その夜、安倍の口をついたのは松島への気遣いだった。「かわいそうだけど、野党の標的になるのが目に見えていたからなあ」。一方、菅が周囲に見せた反応は違った。「政権はこれでなんとか反転攻勢できる」。長期政権の実現を狙う菅にとって最優先は、2閣僚の事情ではなく政権の立て直しだった。
しかし、そうした思惑とは裏腹に、小渕の後任の宮沢洋一にも政治資金をめぐる問題が浮上。野党の攻勢が収まる気配はない。重要閣僚の一人は「あと1人辞めることになれば厳しい」と漏らす。年内に迫る消費税率10%への引き上げ判断に、十分な体力を持って臨むつもりだった政権の戦略に狂いが生じつつある。
閣僚のダブル辞任という荒業で、政権は狙い通りに安定軌道に戻れるのかどうか。答えは、まだみえない。(肩書は当時、敬称略)
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