25. 2014年10月29日 19:24:19
: uBCj3qdZqQ
拉致問題は外交問題ではない2014年9月13日、東京で今年2度目の拉致被害者を救うための国民大集会を開催した。安倍晋三総理、山谷えり子担当大臣をはじめ、与野党代表のほか多数の国会議員、全国知事代表、多数の地方議員のほか、全国から拉致被害者家族と特定失踪者家族が集まった。集会のテーマは、拉致問題は外交問題ではないということだった。 現在、北朝鮮との間で行われている交渉は、被害者を助けるための、犯罪者との交渉なのだ。想像してみてほしい。犯人が人質を取って立て籠もっている。12年前、アメリカという強い国が、「このままでは爆撃するぞ」と言ったら、犯人が恐れて交渉が始まった。アメリカの圧力が去った後、10年間何も起きなかった。 日本は異常な国だった。日本独自の判断で経済制裁をする法律がなかった。国連の決議があったら制裁はできた。しかし、日本の安全保障のために制裁する法律をまず作り、第一次安倍政権以降それを発動し、朝鮮総連の送金を止めた。国際社会の連携も作った。そうしたら、犯人がまた交渉しようと言ってきた。 我々の主張は1つ「被害者を全員返せ!」だ。ただ、残念なことに、全員の人数を我々は知らない。安倍政権は、古屋圭司担当大臣のもと、「認定の有無に関わらず全ての被害者の安全を確保し、助け出す」という方針を決めた。 そこで特定失踪者問題調査会は認定を求める運動を止めて、救出運動をすることになった。しかし、人質全員を助ける時に、こちらにリストがないというのは、大変困難なことだ。認定のない人も助けると安倍政権は言ったのだが、言うは易く行うは難し、だ。ある政権を倒す方がもしかしたら簡単かもしれない。 私は国会で呼ばれた時に、拉致被害者奪還交渉では、「申告→検証、申告→検証」のサイクルを何回でも繰り返す枠組みを作るしかない。絶対に北朝鮮との「合同調査委員会」を作ってはならないと申し上げた。犯人に全ての被害者のリストを申告させる。それをこちらがそれまで収集分析した情報をもとに検証する。不十分だと判断すれば、再申告を求める。犯人の側がこれで全員だということを我々に納得させる責任がある。 安倍晋三政権は北朝鮮との交渉に当たり、 @拉致問題最優先 A被害者の安全確保 B拉致問題の一括解決 の3方針を定めたという。当然のこととしてオールジャパンで支持したい。北朝鮮が行うという特別委員会による調査は、2002年に金正日が行った「日本政府認定拉致被害者のうち、8人は死亡、4人は未入国」という嘘説明を覆す手段としてだけ意味がある。なぜなら、拉致被害者の名簿はすでに金正恩の手中にあるからだ。 ところが、北朝鮮は最初の調査結果通報の時期をずるずる引き延ばし、「調査は1年かかる。まだ初期段階だ」と通報してきた。水面下の折衝で、1回目の調査結果報告の前に、万景峰号入港を認めよなどという理不尽な要求をしているという情報もある。報告の時期が決まらないのは、、安倍政権が先の3方針、特に「B拉致問題の一括解決」を堅持する中、金正恩がまだ、最終的にどこまで折れるかの方針を決めかねているからだろう。 原則を崩して譲歩してはならぬ 2014年9月10日、交渉当事者の宋日昊が平壌で、調査結果はすでにあるが、それが欲しければ追加の制裁解除をせよとの会見を開いた。拉致は犯罪であり、北朝鮮は犯人だ。今回の再調査は、拉致という重大な犯罪を行った北朝鮮が全ての被害者を返すために行うものだ。北朝鮮は今すぐ、全ての被害者リストを出し、生存者を返さなければならない。その一部を小出しにして制裁解除などの見返りを期待するなどあり得ない。 宋日昊が、平壌で行った記者会見のほぼ全文を読んだが、「合同調査委員会」を作りたくてしょうがないということが分かった。 「特別調査委員会が組織されているため、日本側からも当然、特別調査委員会に対応するそのような団体から提起されるべきだと思います」 「日本は『生きている』と言っているけれども我々には分からない。生きている情報を出してほしい。情報を共有しましょう」 などと言っている。日本にも特別調査委員会に相当する組織ができ、生存情報を共有するということになれば、「合同調査委員会」になってしまう。 犯人なのだから、北朝鮮が全員について調査をして、結果を申告する義務がある。それを我々が独自に検証する。その原則を崩してはならない。日本政府は北朝鮮に拉致の可能性がある失踪事件、警察には883人のリストがあるが、その情報を北朝鮮に渡していない。それは正しい判断だ。 警察のリストは家族などが拉致の疑いがあるから捜査して欲しいと届け出たもので、そのリストに入っていない被害者が存在する可能性が高い。原敕晁さんのケースのように身分を偽装するため、いわゆる背乗り目的に拉致の場合は、家族がいない人を狙うからだ。883人のリストを北朝鮮に渡すと、そのリストだけを調べればよいという誤ったメッセージが発信されてしまう。 【工作員「辛光洙」】原敕晁さん拉致の全容 http://nyt.trycomp.com/nenpyo/siryo03.html あなたたちが拉致したのだからどこに誰がいるのか、あなたたちの機関に記録がある。全員返すという決断をして早く全ての記録を公開せよと要求し続けるべきだ。日本側が持つ情報はあくまでも、北朝鮮が出してくる調査結果を検証するために使うという原則を崩してはならない。 中山恭子元担当大臣は2014年5月の日朝合意文を見て、「これでは被害者を取り戻せない可能性がある」と非常に厳しいことをおっしゃっているいるが、私は1回だけ申告、検証のプロセスができたことだけは評価している。北朝鮮が認定被害者全員について再度調査すると約束した。微妙な表現だが、特定失踪者など認定以外の人についても「行方不明者」として調査することも約束した。その結果を日本に通報し、それを日本が確認すると合意した。しかし、2回目以降の申告検証については書いていない。1回目の調査報告が満足できないものだった場合、調査やり直しをするのかという問題は合意に明示されていない。 そして彼らは、「最終的」、「最終的」という言葉を使っている。2回目以降をしない腹づもりかもしれない。我々は繰り返し、繰り返し、「あなたたちが犯人なのだから調査を続ける責任がある。これが拉致した全員だと、日本側が納得できるまであなたたちの調査は続く」と言わなければならない。 「申告→検証、申告→検証」という枠組みを維持できるかどうか。宋日昊の会見を見ても、今準備されている調査結果に、全ての被害者のリストは出ていないと思う。最初は、そういういい加減なものが出てくる可能性が高い。 その時、調査結果に拉致被害者の名前1人か2人入っているか、あるいはそれさえなくて残留孤児の家族との再会など北朝鮮がそれなりに人道的措置を取っただけで、制裁の一部を解除しましょう、そうしないと特別調査委員会の活動がストップするなど、脅してくるだろうし、日本国内でもまずこちらが譲歩すべしという議論が巻き上がるはずだ。 絶対それに乗ってはだめだ。困っているのは彼らなのだ。困っている理由がなくなったら特別調査委員会はストップする。困っている理由がある間だけ委員会は動く。それなのに交渉のパイプを維持するためなどという理由で日本がカードを切ったら動かなくなる。 通常の外交交渉ではないのだ。拉致は犯罪、犯人との交渉だ。今警官が取り囲んでいる。電話がつながった。「全員被害者を返しなさい、1人でも傷つけたら絶対許しませんよ」と伝えている段階だ。 北朝鮮内部からの情報では、「生きている人を殺して遺骨を作ろうという計画さえある」という。日本の技術では、その遺骨が誰かだけでなく、いつ死んだのかだいたい分かる。ところが「何度で焼いたら、いつ死んだのか分からないのかを知るための実験をしている」という恐ろしい情報が北朝鮮の内部から入ってきた。 そこで私は古屋議員(前国家公安委員長)に、「日本のDNA技術はどうなんですか」と聞いた。すると「世界一の技術がある。いくら日本以外の国で実験しても、日本の技術でいつ死んだのか暴くことができる」という答えが返ってきて安心した。 今回出てくるものが、もしかしたら生きている人を殺して「遺骨」が出てくるかもしれない。それくらい厳しい状況だ。まだ名前の分かっていない人を含めて、安全を確保して取り戻すという困難な課題のうち、今はやっと犯人と電話がつながっただけだ。 本当に胸突き八丁だと思うが、次に何か出てきた時に、これで終わりだと絶対言わせない。これが一定の進展だから制裁を解除しよう、人道支援をしようと絶対言わせない。全ての被害者が帰ってくるまで一切の制裁解除はないという原則を貫くことが絶対必要だ。 逆に、少しでも嘘をついたら今解除している制裁も、再制裁する。再入国許可を取り消すことだ。向こうに許宗萬(ホ・ジョンマン、朝鮮総連議長)らがいようと、取り消すことは法的に可能だ。なぜなら、彼らが調査すると言ったから制裁を一部解除した。その調査が出鱈目だったら、堂々と再入国許可を取り消すことは、主権国家としてできる。再入国許可は法務大臣の裁量で出すものだからだ。 今、北朝鮮にいる人たちが助けを待っている。一番苦しいのは、横田めぐみさんや、田口八重子さんや、増元るみ子さんたちなのだ。あるいは私たちが名前も知らない被害者なのだ。その人たちを助けるのは私たち日本人の力でしかない。本当にオールジャパンの力で日本人を助け出して、お祝いをしたいと思う。
|