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日本経済「隠された真実」ゴマかす、誇張する、知らんぷりする 安倍官邸と大新聞「景気は順調」詐欺の全手口
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40906
2014年10月28日(火) 週刊現代 :現代ビジネス
「消費税10%」のために、そこまでやるか!
日々、買い物をしていれば、誰もが感じるだろう。景気回復なんて大嘘で、むしろ悪くなっているのではないか、と。だが、政府と大手紙は「景気は順調」と強弁する。国家的詐欺の内実を暴く。
■どこの国の話ですか?
〈失業率改善3・5% 雇用は底堅く〉(9月30日夕刊)〈景況感小幅な改善 大企業製造業プラス13〉(10月1日夕刊)〈機械受注8月4・7%増 投資「緩やかな持ち直し」判断上方修正〉(10月9日夕刊)〈高島屋、営業益10%増 今期 高額品好調、外国客も増加〉(10月11日朝刊)
ここ1ヵ月、日経新聞の1面あるいは経済面に躍った見出しだ。日経新聞は、読者にこう思ってほしいのかもしれない。今月に入ってから、日本の景気は緩やかながらも確実に回復している。事実、失業率は低下し、高額商品の売れ行きも堅調ではないか。だから日本経済の見通しは明るいのだ、と—。
この論調、どこかで聞いたことはないだろうか。そう、これらは安倍官邸がアナウンスする経済見通しと完全に一致するのだ。甘利明経済再生担当相は10月14日の会見でこう述べた。
「世界経済に不確実性が広がり、日本経済はこのあおりを受けている。ただ、個人消費は弱含んでいるが、企業収益は過去最高で雇用情勢の改善は堅調、設備投資意欲も旺盛。個々の要素はいい」
だが、世界経済はそんな楽観論の入る余地がないほど、危機的状況を迎えている。10月15日、先行きへの不透明感からNYダウ平均株価が一時460jも暴落。それを受けて翌16日の日経平均株価も335円安となり、1万5000円台をいとも簡単に割り込んだ。
大新聞と安倍官邸が熱心に吹聴する「楽観論」は、世界経済の実態や我々の生活実感から、あまりにもかけ離れている。
たとえば、こんな記事がある。日経新聞10月10日夕刊は、10月20日に発表される9月の全国百貨店売上高の低迷が予想される原因をこう書いた。
〈昨年9月に比べ休日が1日少なかったことなどを受け、売り上げは前年同月を下回った可能性が高い。(中略)9月は休日減に加え、下旬に首都圏で気温が下がらず、秋冬衣料品の販売が伸び悩んだことも響いたとみられる。消費増税前の駆け込み需要の反動減については「特に都市部でほぼなくなってきている」(大手百貨店)との見方が多い〉
景気の不調は、アベノミクスの失敗が原因ではなく、天候や休日の数の問題だというのだ。そして9月以降、消費増税の悪影響は都市部で解消されていく、との見立てを示している。
だが、消費税アップによって物やサービスの値段が強制的に3%も上がり、しかも円安効果によってガソリンや食料品の値段も上がっている。気候や休日の影響ではなく、全般的な値上がりによって買い控えが生じ、それが今も続いていると考えるのが当然ではないのか。
経済評論家の山崎元氏も「大手紙の態度は誠実ではない」と批判する。
「天気や休日の数も影響がないとは言えませんが、それだけでは説明できない落ち込みなので、まずは景気の悪さを率直に伝えるべきでしょう。むしろ、そうした細かい原因を持ち出して説明せざるを得ないこと自体が事態の深刻さを物語ります。景気が悪くなったために経済指標も悪くなっているわけですから、新聞にはそれを素直に受け入れる真摯さがほしい」
また、9月30日には読売、毎日、日経の各紙夕刊が、総務省の発表を受けて〈失業率は改善〉〈8月失業率0・3ポイントの低下 女性の改善進む〉〈雇用は底堅く〉などと報じた。
しかし、実態は「改善」とは程遠いものだ。若者が正社員として就職することは依然として厳しく、就職先は非正規の職場ばかり。彼らの労働環境が「いかにブラックか」という話はいくらでも出てくるが、給料が上がったなどという話は聞いたことがない。
「確かに建設業や介護の分野は人手不足で雇用が増えていますが、大半は非正規社員の求人です。正社員だけ取ってみると、有効求人倍率は0・68倍と1倍を大きく割り込んでいます。しかし、この点については言及がなかった。意図的に無視をしていると指摘されても仕方がないでしょう」(全国紙経済部キャップ)
政権に対して最も距離を置く朝日新聞ですら、こんな記事を載せている。同紙は内閣府が発表した9月の景気ウォッチャー調査の発表を受け、10月9日付朝刊でこう書いた。
〈大雨や低温の影響は一段落したようだ。夏物商品が売れなかったコンビニや家電量販店では、景気の見方が好転した〉
実際は家電量販店大手4社の9月の売上高はすべて前年同期比割れ。ローソンの玉塚元一社長が「消費が好転するような材料は今のところない」と述べるなど、コンビニ業界も先行きは暗い。
本当は景気が良くないとわかっているのに、紙面ではゴマかす、誇張する、知らんぷりをする—。これではもはや、安倍官邸と大新聞による「景気は順調」詐欺ではないか。
日本総研副理事長の湯元健治氏は「景気は悪くなっている」と喝破する。
「たとえば今年上半期の新車販売台数は前年同期比2・8%減で、10月に入ってもプラス転化はできそうもありません。家電販売も9月前半まで2桁のマイナスが続きました。百貨店やスーパーなどの売上高も、前年割れを脱することができません。自動車や電機、IT機器を中心に在庫の積み上がりが見られるため、今後は生産調整によって在庫を減らす『在庫調整局面』に入ります。要するに景気は少しも良くないのです」
にもかかわらず、政府と大新聞が景気後退に警鐘を鳴らすことができないのはなぜか。湯元氏が続ける。
「そう言ってしまうと、年末に決定する来年10月からの消費再増税ができなくなってしまうからです。さらに今回延期すると、将来的にも『景気が悪いので難しい』という状況が続いて、いつまでも再増税できない可能性もあります。そういう事情もあって、『景気は弱含みで推移』と報じられるのでしょう」
■失敗を認めたくないだけ
官邸と大新聞がやっていることを「詐欺」だと我々が感じる理由は、今の日本経済が置かれた状況が、彼らがアナウンスするよりも深刻だと見抜いているからだ。消費増税や円安で物価がどんどん上がっているのに、実質賃金が上がっていないことがその主因だ。東短リサーチ・チーフエコノミストの加藤出氏が言う。
「『インフレにすれば消費が高まる』というのがアベノミクス支持者の主張でしたが、その論理はすでに破綻しています。
現実に起きていることは、インフレになると多くの家庭では消費を絞るということ。名目賃金からインフレ率を差し引いた実質賃金は、一部の大企業を除けば、去年の秋以降、ずっとマイナスになっています。消費の現場でも、高額商品は一部復調しているようですが、日用品は低迷が続いていますからね。給料が増えないのですから、消費が上向くはずがありません」
消費税10%で日本経済は崩壊するのではないか。そんな危惧は安倍官邸の足元、自民党内からも上がり始めている。
「自民党内では増税の時期をずらせないかという意見が多数を占めている。所属議員の6割はそうじゃないか。その裏には、ある不安がある。来年4月の統一地方選だ。安倍総理が12月に来年度の増税を決断したら、統一地方選は絶対に勝てないと言っている。
うちの先生も、地元の商店主から『1年半で消費税が2倍になったら商売にならない。ただでさえ客足が鈍っているんだから』と泣きつかれて困っているよ。景気が惨憺たる状況の中、増税に舵を切られたら、地方から崩れていく」(自民党代議士のベテラン秘書)
そんな党内の不安にもかかわらず、安倍官邸は消費再増税を断行すると見て間違いない。というのも、仮に再増税を延期するとなると、来年の通常国会の冒頭から安倍総理は「アベノミクスの失敗」を自ら認めることになり、その責任を厳しく問われるからだ。
安倍総理は現在、12月8日に公表が予定されている7-9月期のGDP二次速報値を見て、消費再増税を実行するかどうか決断するとしている。ただ、この数値は「相当良い数字になる」との見方が有力だ。全国紙経済部デスクが解説する。
「4-6月期のGDPは消費増税によって4月の消費が大きく落ち込んだため、マイナス7・1%と衝撃的な数字が出ました。逆に言えば、その反動で7-9月期の数字は4-6月期より良くなるに決まっています」
この7-9月期のGDPを見て、官邸と大手紙が「消費の落ち込みが解消され、景気回復が再開した」とから騒ぎをし、消費税10%へと突き進んでいくのは目に見えている。茶番としか言いようのない出来レースなのである。
7-9月期のGDPの一次速報値は、実は来月17日に発表される。この時点でも消費再増税の判断はできるはずなのに、安倍官邸は12月まで判断を保留しようとしている。なぜか。
「安倍総理はすでに再増税のハラは決めていて、官邸で悪影響を抑えるための具体策をまとめる時間がほしいからでしょう」(経済ジャーナリスト・須田慎一郎氏)
■「新聞だけは増税しないで」
この具体策を官邸に入れ知恵するのが、何が何でも消費税を2桁にもっていきたい財務官僚たちだ。たとえば、ある財務省幹部はこんなメニューを披露する。
「8%にしたとき、低所得者の負担軽減のために1万~1万5000円の給付金を支払った。これを中所得者にまで拡大するという手はある。アベノミクスの成果で給料が上がるまでにはタイムラグがあるため、その分を家庭向けのバラマキで補うという論理だ」
さらに「地方創生」に名を借りた、補正予算での5兆円規模の「バラマキ」も予定されている。統一地方選も控える中、自民党の有力議員たちは目の前にニンジンをぶら下げられて、消費再増税に賛成しつつあるというのだ。
「たとえば、『公共事業族のドン』として名高い二階俊博総務会長は、すでに消費税10%に賛成しています。『文藝春秋』11月号で二階氏は『国際的な政治公約でもある。私個人としては、引き上げざるを得ないと考えています』と発言。元々『財政再建派』でもなんでもない二階氏がこんな発言をする背景には、再増税が先送りされれば、補正予算によるバラマキの恩恵を受けられないという懸念があるからです」(前出・全国紙経済部デスク)
消費税10%のために税金をばらまく—。まさに本末転倒。本来は大新聞をはじめとした大手メディアが正面から批判するべき「亡国の政策」だが、彼らからそのような声は上がってこない。というのも、財務官僚が総出でマスコミ対策にあたっているからだ。
「新聞なら社説を書く論説委員、テレビなら解説委員に対して、佐藤慎一主税局長が中心となって『ご説明』にあがっています。経済部長やデスクには、主計局の新川浩嗣総務課長らが説明に回る。ちなみに、佐藤局長は『次の次の事務次官』候補で、新川課長は『将来の次官』と目されるエース。彼らは50ページ以上にも及ぶ資料を持参し、消費増税の必要性を丁寧にレクチャーしてくれます。その資料には、そのまま紙面に使える数字やグラフがふんだんに盛り込まれており、実際、原稿を作るときには重宝するんです」(前出・全国紙経済部キャップ)
こうして大メディアが懐柔され、消費税10%の片棒を担ぐ。そうせざるを得ない事情が、新聞の側にもある。「慰安婦問題」以降、部数減少に歯止めのかからない朝日新聞のみならず、新聞は近年、大幅に部数を減らしている。消費再増税が加われば、部数減に拍車がかかる。そこで、消費税が10%になったとしても、自分たちだけは「軽減税率」の対象にしてもらい恩恵を受けたいと、官邸に尻尾を振っているわけだ。
SBI証券投資調査部シニアマーケットアナリストの藤本誠之氏が指摘する。
「たとえば、読売新聞の社説(10月12日付)なんか、あからさまですよね。消費税率を10%に上げる場合、食料品に軽減税率を導入すれば、消費者心理の冷え込みを抑える効果が期待できる。ついては、新聞にも適用すべきだと論を展開しています。こういう狙いがあるため、再増税に真っ向から反対する内容の記事が新聞に見当たらないのです」
安倍総理が消費再増税を決断し、そしていざ来年10月に消費税が10%になったとき、日本経済の底が抜ける。そのとき、官邸と大新聞が責任を取ることなどあるはずもない。そんな彼らに簡単に騙されるわけにはいかないのである。
「週刊現代」2014年11月1日号より
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