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http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20141025/dms1410251000003-n1.htm
2014.10.25
英フィナンシャル・タイムズ紙に掲載された安倍晋三首相のインタビュー記事が「増税延期も示唆」と報じられた。中身は、増税するともしないとも言っていないが、国内のメディアでは消費再増税が既定路線のように書かれるので、あえて外国メディアを使って、ニュートラル(中立)なスタンスを強調したのだろう。
こうした報道が話題となるのも、再増税に対する安倍首相の判断が注目を集めているためだ。2閣僚の辞任によって、そう簡単には再増税できないという雰囲気が盛り上がっているのは事実だ。
党内の増税派急先鋒(せんぽう)である元財務官僚の宮沢洋一氏を閣内に取り込んだのも、谷垣禎一氏の幹事長起用と同じ手法で、党内の増税派を分断している。安倍首相の意向を通りやすくしており、増税延期派からみれば勇気づけられることだろう。
既に法律がある消費税の再増税を止めるには、新たな凍結法案か延期法案が必要だ。その際には、今の増税法案の「付則」で、経済状況を好転させることを条件とすることなどを盛り込んだ「経済条項」を根拠とすればいい。凍結法案の形式は簡単なので、首相の政治的な意志と党内の増税派を押さえ込めるだけの政治パワーがあればできる。
思い起こすと、筆者が大蔵省(現財務省)に入省した1980年4月は、直前の3月に所得税法の改正案が国会で成立して、グリーン・カード制度(少額貯蓄等利用者カード)がスタートする時だった。その後、政省令の作成作業の手伝いをしていたら、事態は急変した。
グリーン・カードは、納税者番号を付与して利子・配当所得を課税するためのものであったが、課税逃れのために、郵貯・銀行から預貯金の海外などへの流出が起こり、郵貯・銀行業界が猛反対に転じた。
そして、導入一歩手前の83年に法の実施が延期され、85年に法律自体も廃案になってしまった。政省令も廃止され、執行部隊の国税庁では、計算センターも既に設立していたが、それらはすべてなしになった。
政治判断による導入中止には、どのような準備をしていても官僚が従うのは当然だ。筆者は、政治の一寸先は闇であることの例として、この経験を鮮明に覚えている。おそらく、筆者と同世代である今の財務省幹部には、税法成立後の廃案はトラウマとなっていることだろう。
当時、300万円以下の郵貯と預金は利子非課税であり、グリーン・カードの交付で脱税を防ぐという趣旨だったが、あまりに貯金・預金の資金シフトが激しく、取りやめざるを得なかった。
大蔵省が資金シフトを過小評価していたために、そんなはずではなかったと信用を失ったことも一因だ。要するに、事前の説明とはほど遠いひどい現実があれば、たとえ成立した税法であっても、政治的なパワーで執行を停止し廃案に持ってゆくことができる。
当時の政治の中心だったのは、自民党の田中派と郵政族議員だった。今から見れば、良くも悪くも、政治パワーの象徴であったといえよう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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