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日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』著者・矢部宏治氏
すごい内容だ。
<http://www.shueisha-int.co.jp/pdfdata/0236/nihonhanaze.pdf>
内容紹介
なぜ戦後70年たっても、米軍が首都圏上空を支配しているのか。
なぜ人類史上最悪の事故を起こした日本が、原発を止められないのか。
なぜ被曝した子どもたちの健康被害が、見て見ぬふりされてしまうのか。
だれもがおかしいと思いながら、止められない。
日本の戦後史に隠された「最大の秘密」とは?
大ヒットシリーズ「〈戦後再発見〉双書」の企画&編集総責任者が放つ、「戦後日本」の真実の歴史。
公文書によって次々と明らかになる、驚くべき日本の歪んだ現状。
精緻な構造分析によって、その原因を探り、解決策を明らかにする!
<目次>
PART1 沖縄の謎――基地と憲法
PART2 福島の謎――日本はなぜ、原発を止められないのか
PART3 安保村の謎(1)――昭和天皇と日本国憲法
PART4 安保村の謎(2)――国連憲章と第2次大戦後の世界
PART5 最後の謎――自発的隷従とその歴史的起源
日本が在日米軍基地と原発を「止められない」理由
ベストセラーとなった孫崎享氏の『戦後史の正体』をはじめ、「戦後再発見双書」シリーズをプロデュースした編集者の矢部宏治氏の新刊が本書です。インタビューに依ると矢部さんは、孫崎さんに習い禁忌を全く無視して自由に記述されたそうです。
矢部:「孫崎享さんをみならって、ノーガードです。全部書きました。」
本書の原点は、矢部さんによるとカメラマンの須田慎太郎さんと沖縄巡りをした『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること』という最初の本です。
本書のの要諦は四つに総括できます。
1、東アジア大震災を契機に日本が基地や原発問題を再考する様になった流れが今も続いており、沖縄に始まる日本の基地問題の研究は、原発問題へと不可分に繋がっているという研究上の発見。
矢部:「沖縄の米軍基地の問題は研究が蓄積されています。これをきっかけに、原発の問題にアプローチすると、謎が解けるのではないか。そう思ったのです。」
2、日本の暗黒社会の心臓部である日米合同委員会の決定は、日本国憲法に優先するという主権侵害の永続状態への批判。
矢部:「ここで決められたことが、日本国憲法を超えてしまうんです。在日米軍との委員会なので、外務省や防衛省の官僚が入っているのは分かるのですが、法務省、財務省、農林水産省などの官僚も入っています。米側の代表は、基本的に軍人です。」
3、砂川裁判における米国の司法介入が、米軍駐留違憲を断じた伊達判決を駐日大使のダグラス・マッカーサー2世が、藤山外相に命令し、跳躍上告という形で、安保は違憲審査の対象外とする最高裁判決で覆した事件。
矢部:「日米地位協定の上に日米安保条約、サンフランシスコ講和条約があります。さらにその上に、国連憲章があります。国連憲章については、これまでほとんど考えられてきませんでした。そして、この仕組が最も露骨に表れるのが、原発の問題です。」
4、日米安保と日米原子力協定は、基地問題と原発問題をつなぐ。脱原発は、脱対米従属なしには達せられないことが詳細に分析されています。
矢部「福井地裁により、大飯原発の運転差止判決が出ましたね。しかし、関西電力は何も動揺していません。それは、システムとして、判決が最高裁で覆るのだということを、みんな暗黙のうちに知っているからなんですね。日米原子力協定を見てみます。条文に『いかなる理由による(中略)協力の停止の後も、(中略)引き続き効力を有する』とあります。終了の後も効力を有する、本当に意味が分からない。徹底管理、ということです。」
例えば、脱原発連合は、うちは原発一本でシングルイシューでいくという誤りを是正するべきである。日米地位協定と日米原子力協定は、基地問題全体と原発問題全体だけでなく、日本の司法問題でもあり、人権/民生問題でもあり、他の社会問題の構造的矛盾にもなっているので、各中間団体は問題の形式的な領域を超越して、領域横断的に団結しなくては、この巨大な敵にはいつ迄も敵わないのは至極当然です。社会問題領域も単に形式的にシングルイシューでいくのではなく、今は体系知が必須なのです。前者は、実践においても抽象的で全体として一領域に過ぎず孤立したものです。
本書は全日本国民必読の書です。
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