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潮流
「しんぶん赤旗」 2014/10/23
フランスのサルコジ前大統領が就任直後に国民を騒然とさせたことがあります。先の大戦中にナチス・ドイツの占領下で銃殺された17歳の“最後の手紙”を全国の高校で朗読させるよう指示したのです
▼愛国主義の強制や政治利用だとの声が高まり、批判がひろがりました。しかし、大統領の強引な手法は改めて史実を呼び覚まします。自主的な朗読や授業が行われ、戦争の罪が語り継がれているといいます
▼ナチスに命を奪われた少年の名はギィ・モケ。共産党のレジスタンス(抵抗運動)に参加し逮捕され、仏西部にあるシャトーブリアンの収容所に。1944年10月22日、ある事件をきっかけに多くの共産党員とともに殺されました
▼始まりは占領下での1人のドイツ軍将校の暗殺でした。怒ったヒトラーは、報復としてフランス人の人質150人の処刑を要求。モケを含む27人の共産党員たちは名前を呼ばれてから、わずか数時間後に銃殺刑に処されました
▼レジスタンスの象徴ともなった悲劇を、ドイツ人監督が描いた映画「シャトーブリアンからの手紙」が今週末から公開されます。シュレンドルフ監督は、戦後、独仏の和解が進んだからこそ、この映画は撮れたと
▼「もちろん ぼくは生きたい。でも心から願っていることは、ぼくの死が何かの役に立ってくれること。17歳と半年の短い人生。なにも悔いはありません」。モケが両親に宛てた最後の手紙。歴史を記憶し、過去を乗り越え、手を携える―。日本が見習うべき道があります。
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<参照>
ギイ・モケの最期―「愛と死の肖像」(ルイ・アラゴン著・青木文庫)から
呼び出し(青木文庫35nから抜粋)
「第10号バラックの扉が開かれると、トンガ中尉が、ひきつったような微笑をうかべ、ためらわずに、ただ1つの名前だけを呼んだ、『ギイ・モケー。』その名は私たち1人ひとりに落ちてくる断頭台の刃、私たちの心臓の1つひとつを貫く弾丸だ。彼はただひとこと答える、『はい!』そして何の躊躇もなく、まっすぐに、いつもより大きく見える私たちのギイは、確かな早い足どりで進み出る。17歳の、生命に満ち、無邪気そのもののギイ! 愛の最初の夢に眼を開いたばかりの年頃だのに、私たちのギイは、おとなにしても恥ずかしくない自若さで、出かけていった」
失神したまま銃殺されたギイ・モケー(青木文庫41nから抜粋)
憲兵の1人から処刑の詳細が伝えられた。27人の犠牲者が示した勇気は、消すことのできない印象を植えつけたのであった。
出発の際気が沈んでいたギイ・モケーは、ほかの同志と同じように元気を回復していたが、採石場で失神し、失神したまま銃殺された。
ルイ・アラゴンの「愛と死の肖像」には、処刑される夫に別れを告げに来た夫人が、少年ギイ・モケーを見て、思わず身代わりを申し出たという挿話も描かれている。それほどこのギイ・モケーの純真な姿は夫人の心をうったのだ。ああ!
ギィ・モケの別れの手紙(イル・サンジェルマンの散歩道)
http://billancourt.blog50.fc2.com/blog-entry-135.html
サルコジ大統領の最初のつまずき(パリ・飛幡祐規)
http://www.labornetjp.org/news/2007/1193281264047staff01
http://www.asyura2.com/07/kokusai1/msg/359.html
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シャトーブリアンからの手紙
劇場公開日 2014年10月25日
http://eiga.com/movie/80545/
<解説>
ドイツの巨匠フォルカー・シュレンドルフが、第2次大戦時、ナチス占領下のフランスで、1人のドイツ人将校が暗殺されたことから、ヒトラーが150人のフランス人の銃殺を命じたという史実を映画化した人間ドラマ。1941年10月20日、ナチス占領下のフランスで1人のドイツ人将校が暗殺される。ヒトラーは報復として収容所のフランス人150人の銃殺を命令。過度な報復に危険を感じたパリ司令部のドイツ軍人たちは、なんとかヒトラーの命令を回避しようとするが、即日50人、さらに1日ごとに50人と3回にわけての刑執行にするのが精いっぱいだった。政治犯が多数収容されているシャトーブリアン郡のシュワゼル収容所では、銃殺されるフランス人のリストが作られていくが、その中には、映画館でドイツ占領に反対するビラをまいたために収容された、まだ17歳の少年ギィ・モケも含まれていた。ギィは、塀を隔てた女子収容所にいる同い年の少女オデットに恋をしていたが……。
映画『シャトーブリアンからの手紙』公式サイト
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