http://www.asyura2.com/14/senkyo173/msg/176.html
Tweet |
http://blog.livedoor.jp/bilderberg54/archives/41420168.html
ジャパン・ハンドラーズと国際金融情報
日本政治、国際政治、国際企業の活動を合理的選択論の立場で評論、妄想します
中田安彦 (twitter:@bilderberg54)
2014年10月18日20:31
アルルの男・ヒロシです。今日は2014年10月18日です。
安倍内閣の若手女性閣僚、小渕優子経済産業大臣が辞任するという流れになっている。後援会の女性会員に対し、一般客よりも格安の価格で明治座の天童よしみコンサートを鑑賞させたことが、公選法で禁止されている「買収」行為に該当するという疑いが発覚したためだ。この行為は政治資金収支報告書の収支(収入と支出)をチェックして分かったものだ。これ以外にも「贈答品」として小渕大臣の地元の名産品である下仁田ネギを数十万円分購入していたことや、ブランド品のスーツやベビー用品を購入していたことが判明している。
投票や集票の見返りに有権者に安価で観劇や食事を提供していた場合、買収を禁じた公職選挙法に抵触する可能性があるわけだが、割引対象がバスツアーに参 加した後援会員であることから、この条項に引っかかるだろう。ブランド品のスーツは政治家にとっては必要経費のようなものだから、問題無いとして、ベビー 用品や下仁田ネギは私的流用や、同じような買収と取られても仕方ない。
その意味で小渕大臣が出処進退を自らで決断して辞任する(実際は辞任に追 い込まれる)というのは致し方ないことだろう。これは政局的に見て、近年珍しいほどの露骨な巨額の買収行為(額の問題)を放置しては、安倍政権の屋台骨を 揺るがすことになるし、政治資金規正法の趣旨にももとる。
しかし、法的には小渕大臣は辞任しなくてもいいのである。それはまず現段階では小渕大 臣は政治資金規正法違反で告発も受けていないし、ましてや裁判の結果有罪にもなっていないからである。それは推定無罪という原則があるからだ。政治資金を めぐる議員のスキャンダルは政局的には政治闘争の道具として利用されるものだが、だからといって規正法違反がとりざたされたら辞任しなければならない、と いう法律があるわけではない。ここは極めて重要なところだ。
だから仮に万が一、小渕大臣が納得行く形で収支報告書を修正できれば、それは問題ないということである。ただし、今回は修正しようがない「買収」の事実があるようだから、この点は考えなくてもいいのである。つまり、辞任はやむなし、ということである。
同じように、地元の祭りで自分の名前入りの「うちわ」を配った松島みどり法務大臣の問題も政局的な分析とは別の視点で考えてみたい。
松島法務大臣がうちわを配ったことが公選法における有権者への利益供与となるというのが野党の追及の論点である。民主党はなんとこの件で松島大臣を刑事告発までした。階猛衆議院議員がそのように発表していたのを見た。
公選法には次のように書かれている。
< (公職の候補者等の関係会社等の寄附の禁止)
第 199条の3 公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。)がその役職員又は構成員である会社その他の法人又は団体は、当該選 挙区(選挙区がないときは選挙の行われる区域)内にある者に対し、いかなる名義をもつてするを問わず、これらの者の氏名を表示し又はこれらの者の氏名が類 推されるような方法で寄附をしてはならない。ただし、政党その他の政治団体又はその支部に対し寄附をする場合は、この限りでない。>
この中の寄 付というのは「有価物の提供」ということであるという。また埼玉県選挙管理委員会では、「うちわやカレンダーの配布」は寄付に該当すると書いてあるよう だ。ここは重要で、そういう選管の判断が出ていないのであれば、解釈の余地はあるとも言えるが、判断があるのでここはそれに従う。
ということは 選管の判断があるので、うちわの配布は寄付に該当するということのようだ。したがって、松島大臣の配ったうちわが違法であるということになる。そこを踏ま えて民主党も刑事告発まで踏み切った(おそらくパフォーマンスで、検察も捜査まではしないだろう)ということなのだろう。
ただ、正直なところ 「有価物と言えるかどうかは、一見しては疑問であるうちわを配っただけで大臣辞任」という前例を作ることが良いのかどうかは疑問が残る。
「有価物」というのは、実際に金を払って買うものを想定しているのではないかとも思うからだ。問題があるというなら、指摘された以降、以後配布しなければ良いのではないか。 わざわざ刑事告発までするほどの話か、と思う。要するに松島大臣に対して怒っている議員たちは、「私たちはやりたくてもやっていないのに、堂々とやられた ら腹が立つ」という考えであるのだろう。つまり、嫉妬だ。
また、他にも自民党の政治家がうちわを配っていたという報道もあった。こちらは後援会費に含まれるとい う解釈で配っていたようだが、こちらが良くて、松島大臣の方が悪いというのは釈然としない。また、舛添要一都知事が都知事選の時に、五輪オリジナルバッジ を決起集会に参加した有権者に配っていたことがあった。こちらは討議資料とは言い逃れできない有価物である。
これも刑事告発されたようだが、結局音沙汰なしである。結局い、「有権者への寄付」や「買収」というのはそれなりの額がなければ立件されたりはしないのである。公選法の規定は他にも曖昧な部分があるので全面的に禁止事項を明確にする改正を行った方がいい。わかりにくい法律は個人の政治活動への参入を難しくしている。
もっと言えば、公職選挙法は自由な政治活動を規制する法律ではないかというのが私の疑念だ。そういうふう に警察官僚が政治家の手足を縛っているのだ。仮にこのうちわ配布が裁判になって結果的に松島大臣側に罰金判決でも出た日には、政治資金規正法は守られるか もしれないが、国民の自由な政治活動は制限されることになる。
もともと、効果的に政治的主張を伝えるための手段がうちわに政策を記載することだったのだろう。それは選管が認めたうちわ型のチラシを発案した人のアイデアだったからだ。松島のうちわには「討議資料」との記載はある。
チラシと大して原価が変わらない、うちわ程度の配布で野党第一党が刑事告発までやったりするのはみっ ともない。歴然たる買収である小渕大臣の事例とは違う。
確かに、告発することは法律に基づいた行為かも知れないが、私見を言わせてもらえば、これは日本の議会政治の品位を下げる行為だ。もっと重要なことがあるだろう。
というのも、「うちわ問答」よりも、実は松島大臣は辞職に値する重大な発言を、この国会審議で行っているからだ。これは次のような発言である。報道を引く。
(引用開始)
野党質問を「雑音」 松島法相が謝罪
東京新聞(2014年10月15日 朝刊)
野党は14日午前の参院法務委員会理事会で、松島みどり法相が選挙区内でのうちわ配布問題などをめぐる野党側の国会質問を「雑音」と記者会見で表現したとして、謝罪を求めた。与野党の協議が長引き、予定されていた午前の審議は行われなかった。
これを受け自民、民主両党の参院国対委員長が国会内で会談し、松島氏が午後の法務委で謝ることで決着。松島氏は「私への指摘や報道を、あたかも雑音である かのように受け取られる発言をしたことを陳謝する」と述べた。松島氏は10日の閣議後記者会見で、うちわ配布問題などに関し「いろいろな雑音で迷惑を掛け て残念だ」と述べた。
特定秘密保護法に関する国会答弁を担当する松島氏は14日、参院内閣委員会でうちわ配布問題などを念頭に「先日からの私の言動で各方面に迷惑を掛け、誠に申し訳ない」と謝罪した。
(引用終わり)
このように松島大臣が議会における野党との質疑を「雑音」と表現して、議会における自由な討論を軽視したことが極めて問題なのだ。東京新聞は、いみじくも 松島法務大臣が、特定秘密保護法の担当閣僚であることを書いている。野党は松島みどり法務大臣の不信任決議案、問責決議案を出すべきである。
だから、野党民主党は、憲法違反の疑いがある秘密法の真偽に「野党の質疑を雑音だと言ってのけるような大臣が 的確かどうか。その資質を問う」と有楽町で街頭演説会でも開いて、同時に国会内でも追及していけばいいのであって、「うちわ問題」で刑事告発してしまったのはやはり 蛇足だったと思うのである。
うちわはたかだか単価は数十円
議会における闊達なる討論の価値はプライスレス。
小室直樹先生ならそのように喝破せられるだろう。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK173掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。