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カジノ推進派はどれだけ実態を把握しているのか?
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20141019/dms1410190830001-n1.htm
2014.10.19 大前研一のニュース時評
カジノを中心とした統合型リゾート推進派の国会議員でつくる超党派の「国際観光産業振興議員連盟」(通称カジノ議連)は10日に幹部会を開いた。会合では、すでに提出したカジノ推進法案について、いったんは決まっていた「カジノ利用者を外国人に限定する規定」は盛り込まず、一定の要件を満たせば日本人も利用できるよう修正した。
今回の臨時国会の焦点のひとつになっているカジノ推進法案について、日本はギャンブル依存症者の割合が高く、多重債務者の増加など悪影響も心配されている。つまり、日本人をカジノに行かせたら大変なことになる、というわけだ。
たしかに、パチンコで生活を乱す人は多数いる。炎天下、赤ちゃんをクルマに閉じ込めたままパチンコを続けて死なせた事件もあった。このため、法案を通したいカジノ議連は「日本人にはやらせない」と言い出した。
これに対し、積極派の首相官邸は「カジノは成長戦略の柱のひとつ。外国人限定は望ましくない」と懸念を示した。本音は、「では、何のために日本でやるの?」というわけだ。
ということで、ギャンブル依存症の問題も考慮し、日本人については「カジノ施設への入場者の範囲の設定、入場料徴収など必要な措置を講ずる」という文言を法案に盛り込んだ。
2010年に合法カジノを含む大型リゾート施設が開業したシンガポールでは外国人以外、つまり国民はカネを払わないと施設に入れない。ここを視察した人たちが、日本もそうしようと言い出したわけだ。
しかし、自分の国のカジノに行くのにカネを払わせるのはいかがなものか、外国人をカモにしているようで逆に印象が悪い、という意見もあって迷走している。
以前から何度も指摘しているが、カジノは日本ではうまくいかない。経済効果があるのは、シンガポールや米ラスベガスのように周りに何もないところだ。
中国のマカオ特別行政区のカジノは一時、大きな経済効果があったが、これは中国富裕層や汚職官僚の海外へのマネーロンダリング(資金洗浄)に使われたからだ。習近平体制で“虎”の取り締まりが厳しくなって以降、マカオのカジノは急失速している。中国本土から大口顧客が押し寄せてこないと、一気にカジノは斜陽産業に陥るのだ。遅ればせながらマカオはラスベガスに見習ってショッピングや国際会議もできる、と広告宣伝を打っているが、「それなら香港でいい」という冷たい反応がほとんどだ。
米国の観光都市アトランティックシティーもカジノの破綻が続き、潰れるホテルが相次いでいる。オーストラリアのケアンズやタウンズビル、ゴールドコースト、メルボルン、パースなどのカジノも中国人が来なくなって一斉に斜陽化している。
ここ20年、年末になると日本の有名な芸能人がオーストラリアに行く。昼間はゴルフをして、夜はカジノ。たぶん彼らは多大なカネを注ぎ込んでいるのだろう。そういうハイローラーと呼ばれる人たちが多くいない限り、カジノは成功しない。
カジノ推進派は、前提条件として「カジノは儲かる」「地域経済を活性化させる起爆剤になる」と思い込んでいるのではないか。政府も東京五輪開催に向け、カジノを成長戦略の目玉にしたい考えだ。しかし、世界中を調べてみれば、これほど実態とかけ離れた“期待”は間違っていることがわかるだろう。
■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。
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