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田原総一朗「出口なきアベノミクスが向かう『財政敗戦』の危機」〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141017-00000014-sasahi-bus_all
週刊朝日 2014年10月24日号
ジャーナリストの田原総一朗氏は、専門家も指摘しない日本が進む財政危機について、ある本にはきちんと書かれているとこういう。
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現在、国債などの日本の借金の合計は1千兆円を超えている。借金は国債の償還や利払いのために雪だるま式で増えており、このままだとそう遠くない未来に国債の買い手がいなくなり、国債価格が下がる。すると金利が上昇し、金融危機が起きて大不況になる。こんなことは、中学生でもわかる単純な理屈だ。だが、多くの専門家はそのことを口にしない。なぜなのか。
専門家が黙っている理由は、「大増税をやるしかない」とわかっているのに、「できっこない」と思っているからだ。やるしかないのに、できっこないのは矛盾していて苦しい。そこで問題から目を背け、考えないことにする。これがおそらく、日本の専門家が何も言わない理由だ。
専門家が黙っているのなら、誰かが声を上げなければならない。橋爪大三郎氏はこんな強い危機意識に駆られ、経済の専門家である小林慶一郎・慶応大学教授と共に『ジャパン・クライシス』(筑摩書房)という本を出版する。怖いほどリアリティーのある本だ。
例えば、日本の国債発行残高はGDPの220%にもなっている。ちなみに、米国は60%、ドイツは80%、日本を除く先進国で最悪のイタリアでさえ、120%である。
さらに小林氏は、「隠れ負債」なる借金について指摘している。これは公的年金と高齢者医療の支払いだが、向こう50〜60年間で必要になる金額は、現在価値に直すとなんと700兆円にもなるという。
小林氏は、さらに特別会計の問題点を指摘している。歳出、つまり一般会計の支出は97兆円(歳入は約50兆円)だが、特別会計は、社会保障給付費と国債償還費等を含めると、合計額が約195兆円になる。一般会計の2倍もあるわけだ。しかも、一般会計は衆議院と参議院で予算審議が行われるのだが、特別会計の場合はそうしたチェックがほとんどなされていないのだという。同書はこう指摘する。
<いまマーケットでは、日本は調子がよくなり始めたという見方が広がっていますが、長い目で見ればアベノミクスはまさに真珠湾攻撃のようなもので、「財政敗戦」に向かっている過程ではないのでしょうか。
財政問題に関して、これまで抜本的な解決策が打ち出されたことはなく、おそらく今後もそうでしょう。増税と歳出削減という厳しい改革を遂行する以外に出口はありません。しかし、それしかないとわかっていても、それが実行できない。まるで戦前に、中国から撤退すべきだとわかっていたのに、それができなかったのと同型です>
銀行や証券会社は、それぞれ経済問題を研究するシンクタンクを持っている。そして、数多くのシンクタンクが毎年、経済予測を出しているのだが、小林氏によれば、長期的な日本の財政について論及することはやめてしまっているのだという。せいぜい予測しているのは2020年までで、2030年、2050年の予測はやっていない。小林氏は、政府に対する遠慮が働いているためだと指摘する。
そしてこの書は、日本がクライシス、つまり国債が売りに出されて国債価格が下落し、日経平均株価が下落して日本経済に対する市場の信頼が失われるので、円も売られて安くなるという悪循環、つまり債券、株、通貨のトリプル安の実態を克明に描き出しているのである。
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