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円安値上げ続々 物価上昇率を歪める「帰属家賃」のカラクリ(日刊ゲンダイ)
http://www.asyura2.com/14/senkyo172/msg/893.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 10 月 17 日 07:14:12: igsppGRN/E9PQ
 

     写真はイメージ/(C)日刊ゲンダイ


円安値上げ続々 物価上昇率を歪める「帰属家賃」のカラクリ
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/154153
2014年10月17日 日刊ゲンダイ


 またしても値上げラッシュが襲ってくる。UCC上島珈琲は11月から家庭用レギュラーコーヒーを平均25%値上げし、日清食品は来年1月に「カップヌードル」や「チキンラーメン」の価格を5〜8%引き上げる。すでにバターや小麦粉など輸入品を中心に値上がり続きだが、流れは止まりそうにない。

 値上げの最大要因は、円安による輸入物価の上昇だ。今月14日に公表された9月企業物価指数(速報値)の輸入物価は前年同月比でプラス4・4%だった。項目別で見ると、食料品・飼料が7・7%上昇とダントツ。家計を直撃するはずだ。
 ところが、総務省が毎月発表している消費者物価指数は、前年同月比3・3%アップ(8月)に過ぎなかった。庶民感覚とは大きくズレている。

「実は消費者物価指数にはカラクリがあります。物価上昇率は低く抑えられているのです」(市場関係者)

 メディアが取り上げる消費者物価指数は「総合指数」と「生鮮食品を除くコア指数」が中心だが、この2つだけでは真の物価は見えてこない。

■庶民感覚ではすでに超インフレ

「統計資料には『持ち家の帰属家賃を除く総合指数』という分類があります。7月は4・1%上昇、8月も4・0%アップでした」(第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏)

 帰属家賃とは、持ち家の人が実際には家賃を払っていないのに、支払った(消費した)とみなして統計を取る方法だ。

「このところ家賃は下落しています。その効果で、全体の物価上昇率は押し下げられ、物価の実態が見えにくくなっています。そんなことから、消費者物価指数に帰属家賃を含めるべきか、それとも外すべきか。専門家の間でも見解の分かれるところです」(熊野英生氏)

 要は、統計上のカラクリで本来の物価上昇率が見えにくくなっているのだ。政府発表の数値と、庶民感覚がかけ離れる理由が、ここにある。

 もはや庶民生活はギリギリなのに、政府・日銀は「2%の物価上昇」(消費増税分を含めると4%)を掲げ続け、弱者イジメをやめようとしない。サラリーマンの実質賃金は、物価上昇のあおりで8月まで14カ月連続のマイナスに陥っている。実質賃金を一段と低下させる消費税率の再引き上げなど論外だ。


 

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コメント
 
01. 2014年10月17日 07:41:11 : jXbiWWJBCA

日銀の異次元緩和は全く効果を上げていない

『アベノミクスの終焉』の著者、服部茂幸氏に聞く

2014年10月17日(金)  石黒 千賀子

 日銀が異次元緩和に乗り出して1年半。目標である物価上昇率約2%の実現に向けた道筋は必ずしも黒田東彦総裁のもくろみ通りには展開していない。一部の大企業でこそ賃上げの動きが見られるが、大きな流れにはなっていない。4月の消費増税で鈍化した消費の回復の足取りも重い。8月下旬から10月上旬にかけて円安が一時、大幅に進むなど、輸入インフレの懸念も強まっている。
 近著『アベノミクスの終焉」で、「異次元緩和は全く効果を上げていない」と厳しく指摘する福井県立大学経済学部の服部茂幸教授に今の日本経済をどう見ているか聞いた。
(聞き手は石黒 千賀子)
このほど出版された『アベノミクスの終焉』で、日銀の黒田東彦総裁による異次元緩和は全く効果を上げていない、と厳しく指摘されています。改めてご説明いただけますか。


1964年生まれ。88年京都大学経済学部経済学科卒業。96年京都大学博士(経済学)、2001年福井県立大学経済学部助教授、2007年より福井県立大学経済学部教授。専門は理論経済学(金融政策)。
『新自由主義の帰結 ―なぜ世界経済は停滞するのか』、『危機・不安定性・資本主義 ―ハイマン・ミンスキーの経済学』『金融政策の誤算 ―日本の経験とサブプライムの問題』『貨幣と銀行 ―貨幣理論の再検討』など著書多数。(写真:達川 要二)
服部氏:9月8日に政府は今年4〜6月期の実質GDP(国内総生産)をマイナス7.1%(年率換算)に下方修正しました。今年1〜3月期のGDPがプラス6%(同)と非常に高かったのは、消費増税をにらんだ駆け込み需要が大きかったからで、4〜6月期にその反動減が生じるのは当然ですが、その落ち込みは政府の想定以上に大きい。この落ち込みが4〜6月期だけで終わって、再び回復すれば問題はありませんが、消費の回復はやはり非常に遅い。

 10月1日に発表された日銀の短観(全国企業短期経済観測調査)を見ても、大手製造業は円安効果で多少よくなっていますが、特に小売り、消費の伸びが悪いことがはっきりしてきたわけで、日本の景気の足取りはかなり危うい。私が指摘したような方向に進んでいる、ということです。

2013年上期の成長率、アベノミクス効果か疑問

つまり、異次元緩和が全く効果を上げていない証拠だと…

服部氏:そうです。安倍晋三首相が政権を取ったのは2012年12月。日本経済はその直後の2013年上期に4%超の高い経済成長率を記録しました。しかし、私はそもそもこれがアベノミクスによる効果だったのかという点を疑問視しています。

 というのも政府は暫定的な認定ながら、景気の下降から上昇への反転の時期である景気の谷を2012年11月としています。2012年5月に始まった景気後退がわずか7カ月で底入れしたわけで、安倍政権が発足した時には既に景気回復が始まっていたということです。

 だいたい政権を取って政策を実行しても、効果が出るのには当然、時間がかかります。ですから2012年終わりから景気がよくなったといっても、それがアベノミクス効果であるかどうかは甚だ疑問と言わざるを得ません。

しかし、安倍氏は政権を奪還する前の2012年11月から講演などで「政権を取ったら日本のデフレを解決するために、日銀による無制限の金融緩和に踏み切る」と発言していました。このことによる偽薬効果(プラシーボ効果)はあったと本で指摘していますね。

服部氏:はい、「すごい規模の金融緩和を実施するらしい」と期待させたという点で異次元緩和のプラシーボ効果はある程度あったと思います。株式や外貨の投機によって利益を得ようと考える投資家たちは、アベノミクスに本当に効果があるのかどうかによってではなく、ほかの人たちがアベノミクスに対してどう考え、行動するかを考えて投資スタンスを決めます。従って、多くの人が「効果がある」と期待して一気に行動を起こしそうだとなれば、あえてそれに合わせた投資行動を取ることはあるわけで、それによって株価上昇と円安が生じることは十分あり得ます。

 安倍政権初期段階の円安と大幅な株価上昇は、それ以前からの景気回復傾向に、そうした偽薬効果が加わったという部分が大きかったというのが実態でしょう。

アベノミクスは昨年前半で終わっている

服部氏:黒田総裁は2013年3月に総裁に就任し、さっそく翌4月から量的・質的緩和に乗り出しましたが、翌5月に株価は1143円と大きく暴落しました。1日の下げ幅としては、これは2008年の金融危機の際にも経験しなかった大きさです。以来、基本的には円安と株価上昇の進行は止まったといっていい。今年8月以降、政府サイドも動揺するほど円安が一時進みましたが、この円安は異次元緩和とは異なる要因による円安ですから。

 つまり、円安と株価上昇が進んだのは、ほとんどが異次元緩和を開始する前で、異次元緩和後は1カ月半しか続かなかったということです。

つまり、景気回復は以来、持続していない、ということですね。

服部氏:そうです。確かに2013年上期は景気回復局面にあったことから、結構な経済成長を実現しました。しかし、2013年下期の成長率は、アベノミクスの「第2の矢」である景気刺激策による政府支出の拡大と、消費税増税をにらんだ民間住宅投資と耐久財消費の拡大分を除くとゼロ成長かマイナス成長です。

 2013年下期に日本経済は失速したわけで、あの5月の株価急落時点で異次元緩和は既に失敗したと私は見ています。今年1〜3月期のGDP伸び率が大きかったのは、最初にも話したように消費増税の駆け込み需要のおかげで、政府は駆け込み需要の規模は小さいと言っていましたが、そんなことはなかった。だから、その反動は非常に大きく、今年4〜6月の成長率が大きく落ち込んで今に至っているということです。

 アベノミクスと言うけれど、2013年前半で終わっているということです。ですから政府はまず、現状が非常によくないという現実を認識する必要があります。

起きなかったトリクルダウン

従って、安倍政権が主張してきた「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が浸透する」トリクルダウンは起きていない…

服部氏:一時的な株高によって資産効果は一部の裕福な人たちにはもたらされたかもしれませんが、それが波及していくという効果は起きていません。名目でこそ賃金は伸びていると言うけれど、いわゆる輸入インフレが生じており、名目賃金から物価上昇分を差し引いた「実質賃金」となると、前に消費税を上げた1997年の時よりも大きく下がっている。その下がり方は2008年の金融危機発生による世界同時不況の時以来です。

 円安もごく一部の大手製造業にとってはプラスになっていますが、日本経済全体では輸入インフレというマイナス効果の方が大きくなっているのが現状だと思います。8月中旬から10月上旬に進んだような1ドル=110円に近い円安が進めば、輸入インフレはさらに進み、実質賃金が一層下がっていくことになる。そうなれば消費回復はどんどん遅れていく。

 実際、米連邦準備理事会(FRB)はこの10月を持ってQE(量的緩和)を終了し、来年は利上げすることを視野に入れています。最近の円安は、米国の金融引き締めを前提にしたドル高によってもたらされている円安ですから、さらなる円安が今後進む可能性は十分にあります。そうなれば、輸入インフレによるマイナス面が一層顕在化して、消費は冷え込むでしょう。

 国内の需要が盛り上がらなければ、企業は輸出や海外でお金を儲けても国内で設備投資などしません。安倍首相は「円安になって、製造業の大企業が稼いで、それが賃金に波及して経済の好循環が始まる」と言っていますが、実際に起きているのは逆で、輸入インフレによって日本経済が悪循環に陥っていく可能性が高い。

まず政府、日銀の状況認識がおかしい

さっきも指摘されましたが、今回の本では、政府及び日銀の状況認識そのものがおかしい、間違っているのが問題だと、何度も書いています、、、、

服部氏:冒頭で言ったように、政府が当初、消費税の駆け込み需要が小さいと判断したこともそうですし、今の消費の冷え込みもあくまでも「一時的なもの」というスタンスです。状況認識を間違えば、当然、打つ手もおかしくなるわけで、そこを私は強調したい。

 例えば、黒田総裁はこの10月9〜10日に米ワシントンで開催された20カ国・地域(G20 )財務相・中央銀総裁会議に出席する前の8日、ニューヨーク市内で講演しましたね。そこでも「日本経済は、消費税率引き上げによる一時的な減速を乗り越えて回復を続けていく」と話しています。日本が今、直面しているのは、「一時的減速」などではありません。

 このように実態を正しく捉えていないところが現在の最大の問題ではないでしょうか。

しかし、GDPが伸びず、目標のインフレ率もなかなか実現しない中、さらなる異次元緩和実施への期待が高まってきそうです。

服部氏: 今の政権の政策フレームワークで考えれば、経済が悪くなれば、もっと緩和しろということになるのは当然の帰結でしょう。従って、やる可能性は高い。しかし、問題は異次元緩和をしても理論的には効果など何も期待できない、ということです。

 普通の人は、日銀が異次元緩和をやるというと、お札を刷りまくって、世の中のお札が増えてじゃぶじゃぶになっていると思っている節がありますが、それは誤解で、実際にはそんなことは起きていない。日銀は何をやっているのかというと、銀行から国債を買い上げて、その代金を各銀行が日銀に持っている当座預金口座に振り込んでいるだけ。当座預金口座の残高が増えているだけです。

 本来ならば設備投資をしたいと考えている企業に銀行が貸し出せば、設備投資によって雇用も増え、経済が回り出す。しかし、現状では企業は海外生産を増やすことはあっても、国内での需要拡大が見込めないだけに、国内での投資対象がない。従って、各銀行にしてみたら使い道がないから、ただそれをデッドストックみたいな形で日銀の口座預金に貯めているだけ。異次元緩和をしてもほぼ何の効果も発揮していないことは日銀の資金循環統計を見れば明らかです。

いざなみ景気から日本の実質賃金は上がらなくなった

服部氏:やはり、何より目をむけるべきは実質賃金が上がっていないという点です。その意味で、安倍首相が「賃金を上げなければならない」と言っているのは正しい。しかし、今、言ったように設備投資の需要がない中でこれを今の日本で実現させるのは容易ではありません。

本で、いざなみ景気以降、日本の賃金が上がらなくなった点においては、米国と同じ道を歩んでいると指摘された点は重要だと思いました。米経済学者のジョセフ・スティグリッツ氏も、米国では所得(インフレ調整済み)の中央値が4半世紀前の1989年よりも低く、男性労働者に限れば、40年前に比べても低く、こうしたいわゆる中間層が圧縮され、疲弊していることが米国経済の健全性低下の根底にあると様々なところで指摘しています。

 周知の通り、2002年1月を底に2007年2月まで73カ月続いたいざなみ景気は、好景気としては戦後最長を記録したわけですが、景気回復局面にありながら賃金の伸びは停滞、もしくは低下しました。こんなことが起きたのは日本では戦後初めての事態だったわけです。

 米国も確かに、既に企業の業績が回復しても、賃金の上昇に結びつくとは限らないということを示しています。それが中間層を痛めているのは事実でしょう。しかし、日本の場合、より深刻なのは、人口が増え続けている米国とは異なり、成長余力そのものがなくなってきている、という事実です。

 大きなフレームワークで日本の将来を見ると、人口が減っていく。しかも、ただ減るのではなく、老人が増えていく。働く人たちが減っていく。現在、経済はそんなによくないにもかかわらず、失業率は下がってきています。金融危機の時は上がりましたが、今年8月も3.5%という低さです。これは成長の余力がなくなってきていることの証左です。

 そもそも、こういう状況の中で経済がどんどん成長することを前提に物事を考えていくのがいいのか――。経済構造そのものを変えなければならないわけですが、どうすればよいのかとなると、これは極めて難しい問題で、私にも明快な解答はありません。ただ、少なくとも現実をまず、正しく認識する――。何よりもそれが不可欠であることだけは確かです。

このコラムについて
キーパーソンに聞く

日経ビジネスのデスクが、話題の人、旬の人にインタビューします。このコラムを開けば毎日1人、新しいキーパーソンに出会えます。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20141016/272628/?ST=print


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