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スクープ!! 名古屋刑務所虐待死 河村名古屋市長が暴いた“新証拠”〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141015-00000003-sasahi-soci
週刊朝日 2014年10月24日号
名古屋市の河村たかし市長(65)に、ある「情報」がもたらされた。
「内容は、ある冤罪を晴らす極秘文書が名古屋市役所に隠ぺいされているというものだがや。それを聞き、ピンポイントで市の担当者のところに行き、『すぐに文書を出せ』と迫りました」(河村市長)
いきなり、市長がやってきたものだから、市の担当者はびっくり。問題の文書は市の公文書だったという。
「市の担当者は『いくら市長でも実物を持っていかれるのは困る。コピーもダメだ』と言う。そこで手書きで写すのならという条件で見せてもらったら、仰天するような中身にどえりゃぁ、驚いたがや」(同)
河村市長がその時、手書きで写したメモ(4月7日作成)を本誌は入手した。
なんと、名古屋市職員が名古屋地検から供述を押し付けられ、「強要」されたと訴える内容が報告されていたのである。
供述を強要されたというのは2003年2月、名古屋刑務所の元刑務官、元看守部長が特別公務員暴行陵虐致死罪などで名古屋地検に逮捕された事件についてだった。2人の罪状は01年12月に収容者(当時43)をうつぶせにし、消防用ホースで肛門に放水し、死に至らしめたというもの。
裁判で無罪を主張したが、11年6月に有罪判決が確定。その後、2人は12年に再審請求したが、14年3月に請求は棄却され、現在は異議申し立て中だ。
国会議員時代から支援している河村市長らは元刑務官2人の有罪判決が確定する直前の08年6月、検事らを証拠偽造などの容疑で刑事告発。
検察が03年2月8日に豚を人間に見立てて行った放水実験にねつ造があると訴えたのだ。
その捜査で名古屋地検は放水実験に協力した名古屋市消防局の署員に事情聴取。消防署員らはその模様を名古屋市に報告した。その記録を公文書として残していたのを河村市長が執念で見つけたのである。
問題の放水実験が実施された理由は、収容者の肛門に元刑務官が消防用ホースで放水し、肛門が裂傷し、大量の水が直腸に進入して破裂、腹膜炎を起こしたのが死因という「検察ストーリー」の立証のためだ。
だが、刑務官の弁護にあたる北口雅章弁護士はこの実験について疑問を語る。
「検察は裁判で60キロパスカルの水圧で放水したと主張。この数値はシャワーの水圧程度で、とうてい肛門を裂傷させ直腸に多量の水が進入することはない。検察の実験に大いなる疑念をもっていました」
放水実験は有罪立証の重要な柱になる。名古屋地検は検察ストーリーどおり、放水実験に瑕疵(かし)はないことを立証すべく、消防局の署員らに話を聞いた。
中でも、重視されたのが、水圧を計測する役目だったX氏の事情聴取内容だ。河村市長の“ブツ”によると、X氏が当時、上司に検察の取り調べ状況を報告している内部文書にはこう記されていた。
<08年6月21日午前から夕方にかけて事情聴取を実施。VTRを見ながら記憶を辿ってのやりとり。副検事から「こうだから、こうだったんですよね?」という誘導的な聞かれ方があった>
<(消防用ホースからの)圧力が60キロパスカルだったのかは、自分自身の中ではっきりしていない中で、副検事が調書に60キロパスカルと記載することに抵抗があったので、副検事に「数値は記憶があいまいなので記載をやめてほしい」と言った。副検事と数値を事情聴取に載せる、載せないで何度か押し問答になった。副検事はピトーゲージが60キロパスカルを示した拡大写真を見せて「この写真に写っているから60キロパスカルなんですよ」と当方の申し出を拒んだ>
検察ストーリーを押し付けようとする様子が記されていた。
X氏は<放水実験では60キロパスカルという低圧放水なのに、高圧で使用する放水銃を使用するのはおかしい>などの疑問を副検事に訴えていた。
しかし、報告書にはこう記されている。
<「それを言ったら崩れてしまうんですよ」と。言葉を勝手にまとめられてしまった>と検察から不本意な調書にサインをさせられたと訴えているのだ。
そして、X氏はさらにこうも訴えていた。
<聴取内容を消防局へ報告するのは控えてほしいと地検にいわれた>
名古屋市消防局幹部によると、
「十分な記憶がないところも検察の都合のいい調書にされ、サインを強要されたようなものと、Xさんは今も憤慨している。調書を押し付けるわ、配慮はないわと激怒していた」
河村市長はこう訴える。
「客観的にもおかしいことばかりで、事件にワシは今も疑問を持っとる。ブツが真相解明への一歩になることを期待したい」
近く弁護団は、新証拠として問題の文書を再審に向け提出する。
名古屋地検は本誌の取材に対し、「刑事訴訟法第47条の趣旨にのっとり、お答えできません」とコメントを寄せている。
(今西憲之)
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