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インタビューに応じる女優の黒田福美さん=11日午後、東京・西新宿(栗橋隆悦撮影)
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20141013/frn1410131042003-n1.htm
2014.10.13
加藤達也前ソウル支局長(現東京本社社会部編集委員)が在宅起訴されたことを聞き、ここまでやったかと唖然(あぜん)とした。
昭和59年に初めて韓国を訪れて以来30年、日韓両国の番組のリポーターを務めるなど日韓の懸け橋になれればと活動してきた。その間、日韓の衝突は幾度もあったが、報道で伝えられる過激な内容と実際の国民感情にはかなりの温度差があることを実感し、実情を伝えようと努力してきた。
だが、今回ばかりは事情が違う。これまでの政権は一部の過激な市民団体の示威行動を「民意」として反日を展開してきたが、今は朴槿恵(パク・クネ)大統領自らが反日的姿勢をあらわにしている。
振り返れば日韓関係も良好な時期があった。日本文化開放、W杯共催、そして韓流ブーム。韓国の経済が好調だったことも手伝って、日本を寛容に受け入れる余裕も生まれ、「日流」という日本文化が韓国でもブームになるという流れさえ生じた。
先日、韓国でタクシーに乗ったときにも、運転手さんが「私たちは仲良くしたいのにトップがね…」って話していた。もちろん互いにすべてを良しとすることはできないだろうが、互いに長所短所を認めあえる冷静さは備わったと思う。
国民レベルでは両国とも経済的、文化的に活発に交流をして、互いに豊かになりたいと願っている。しかし、政府の打ち上げた反日の方針に韓国国民も疑問符が浮かんでいるようだ。
韓国では一度、「親日派」のレッテルを貼られると社会的に抹殺しようという圧力がかかる。だが、このような風潮におびえすくんでいたのでは、韓国に自由な言論や歴史に対する多様な見解も出てこない。
これからどんな社会にしていくかは韓国の若者にかかっている。保身ばかりを考えていれば自由な言論を勝ち取ることはできない。勇気をもって立ち上がってほしいと願う。
産経新聞の紙面に出ることに正直なところ躊躇(ちゅうちょ)もあった。女優として、政治的発言をすることはリスキーだ。でも、自分が保身を考えている場合ではないと思った。日韓友好を願うからだ。(談)
◇
くろだ・ふくみ 昭和31年、東京都生まれ。桐朋学園芸術短期大学演劇学科を卒業後、52年にTBS系のポーラテレビ小説『夫婦ようそろ』でデビュー。女優として活躍する一方、芸能界きっての“韓国通”として知られ、韓国観光名誉広報大使などを務めた。著書に『ソウルマイハート』『となりの韓国人』『黒田福美の韓国ぐるぐる〜ソウル近郊6つの旅』など多数。
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