これが　小選挙区の機能だ

【秘密保護法】大幅見直しすべき（１０月１１日）

　国の機密漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法は１２月１０日に施行される。自民党は１０日の総務会で、施行日などに関する政令と運用基準を了承した。政府は１４日にも閣議決定する。政府による恣意［しい］的な秘密指定や国民の「知る権利」の侵害が懸念される。国家安全保障会議（ＮＳＣ）の議事内容が隠され、集団的自衛権の名の下、米国と一緒に戦争への道を進む恐れさえ懸念される。

　施行前に、情報公開法や公文書管理法を改正して、特定秘密保護法による権力の暴走を止める必要がある。同法の秘密の範囲限定、第三者機関による監視の仕組みなども大幅に見直すべきだ。

　同法は防衛、外交、スパイ防止、テロ防止の４分野に関する事項のうち「国の安全保障に著しい支障を与える恐れがあり、特に秘匿が必要である」情報を特定秘密に指定し、漏えいに最高で懲役１０年を科す。公務員が秘密を扱えるかどうか判断する「適性評価」も課す。

　秘密指定する際の運用基準を議論する「情報保全諮問会議」（座長・渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長・主筆）で、政府は法施行５年後の運用基準再検討など２７カ所の修正案を示したが、抜本的修正はない。運用基準案に対するパブリックコメント（意見公募）に２万３千件を超える意見が寄せられたが賛否の集計は見送られた。賛否を集計し、公開すべきだ。

　元経済産業省経済産業政策課長の古賀茂明氏は著書「国家の暴走　安倍政権の世論操作術」で、秘密保護によりＮＳＣの議事が隠されれば、メンバーが自由気ままに戦争を決めやすくすると警告する。

　東京電力福島第一原発事故の官邸対応について会議の議事録がないため、どこに問題があり誰に責任があるか曖昧なままである点も指摘する。米国では原発事故直後に得た官邸の対応など大量の情報が２年後に秘密指定解除され、公開されているという。情報公開や議事録義務付けは、権力の暴走に歯止めをかける。

　安倍政権は「国民の生活や国の安全を守る」との方針を掲げ、特定秘密保護法や集団的自衛権行使容認の閣議決定など外交・防衛分野で「国益優先」が鮮明だ。政府は、殺人など重要犯罪で実行行為がなくても謀議に加われば処罰対象となる「共謀罪」新設へ法整備を検討してきた。ただ、世論の反発を懸念し国会提出を当面、見送る方針だ。
　秘密を隠し人々を監視するのが「美しい国」や「新しい国」か。国民主権を忘れてはならない。（小池　公祐）

（ 2014/10/11 08:40 カテゴリー：論説 ）

http://www.minpo.jp/news/detail/2014101118578

　自民党は十日の総務会で、七日の前回会合から継続審査になっていた特定秘密保護法の施行令案と運用基準案を了承した。十日午後に自民、公明両党の政策責任者会議も了承した。これを受け、政府は十四日にも閣議決定する方針。施行令案は同法の施行日を十二月十日と定める内容。

　この日の審査は五十分に及び、罰則を大幅に強化することへの疑問や、政府が国民に知られたくない情報を意のままに指定できるといった懸念が相次いで示された。説明者が答弁に詰まる場面もあった。出席者からは「質問に答えられないということは、中身が詰め切れていないということだ」「問題を残しているので、しっかり改善してほしい」などの指摘も出た。

　二階俊博総務会長が採決を求めた際、反対する村上誠一郎衆院議員は退席した。村上氏は記者団に「きちんと内容を精査しないで、国会議員と言えるのか」と述べた。
　秘密保護法は国民の「知る権利」を侵害するとの懸念が根強い。運用基準案に対するパブリックコメント（意見公募）でも、約二万四千件の半数超が法律の廃止や条文の見直しを求めていた。

　しかし、政府は運用基準案を二十七カ所修正しただけで、与党に閣議決定前の審査を要請。自民党は七日の総務会で、同法施行令案とあわせて議題にしたが、異論が噴出したため、了承を見合わせていた。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014101002000246.html