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産経新聞ソウル支局内で資料を読む加藤達也前支局長 (桐山弘太撮影)
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20141010/frn1410101140004-n1.htm
2014.10.10
ソウル中央地検によって名誉毀損で在宅起訴された産経新聞の加藤達也前ソウル支局長が9日、現在の心境を手記で明らかにした。
9日のソウルはさわやかな秋晴れとなった。私の今の心のようだと思った。不思議に思われるかもしれないが、8月初めに私が書いた「追跡〜ソウル発」が韓国の朴槿恵政権から問題視され、今月8日に在宅起訴されるまで、ずっと同じ気持ちで過ごしてきた。朴政権の最大の問題である“言論の自由への狭量さ”を身をもって読者に伝えることができる機会と考えてきたからだ。
× × ×
8日夕、韓国のソウル中央地検は私を在宅起訴した。刑事処分決定に際しては事前に弁護士に通告するとしていたにもかかわらず、午後7時に韓国メディアに発表した。奇襲的な発表は韓国検察が一貫してとってきた態度の総仕上げだったといえる。
これまで2カ月以上にわたる出国禁止措置と、3度の取り調べを受けた。私に揺さぶりをかけ、心理的に圧迫し、産経新聞を屈服させる意図があったのは明らかだった。
検察は刑事処分について「(起訴の方針などの)予断はない」と、たびたび宣言してきたが、取り調べは明確に「起訴」を前提とし「有罪判決」を目的としていた。検事は、私が記事で用いた「混迷」「不穏」「レームダック化」などの言葉を取り上げ、その使い方から誹謗(ひぼう)の意図を導きだそうと必死だった。
たとえば、「被疑者の記事にある『レームダック』は政権交代期に、政治に一貫性がないことを意味する言葉だが、韓国の政治状況に対しふさわしいと思うか」の質問がそうだ。
私が「日本では『レームダック』の言葉は広義で影響力が徐々に低下している状況も示す」と応じると、検事は「政権初期の韓国の政治状況にそのような表現は無理ではないか」とし、「混迷、不穏、レームダック化の単語から、政権が揺れているのだと認識される。このような(単語を使った)記事を報道したのは、韓国政府や朴槿恵大統領を誹謗するためではないか」とたたみかけてきた。
10月2日の3回目の取り調べで、検事は「(セウォル号事故当日の)大統領の所在問題が(韓国内で)タブー視されているのに、それを書いたことをどう考えるか」と聞いてきた。
私はこの言葉に強い違和感を覚えた。日本では毎日、詳細に公開されている国家指導者の動静が“タブー”だというのだ。禁忌に触れた者は絶対に許さないという政権の意思を如実に示す発言だった。
× × ×
韓国大統領府(青瓦台)で海外メディアを担当する報道官から抗議の電話を受けたのは、8月5日の夕方だった。
報道官は機械的に抗議文を読み上げると刑事・民事での法的な対応を宣言。この直後、「市民団体」が私を告発、検察は待ち構えるかのように7日、出国禁止措置を出した。
報道官は「確認もせずに掲載した」とも言い放ったがそもそも青瓦台は7月、ソウル支局の名村隆寛編集委員が書いた次期駐日大使の内定人事を伝える記事に対して、「解禁指定日時を破った」として産経新聞に1年間の出入り禁止(取材拒否)を通告していた。
訴訟を乱発する朴政権に、韓国国内では既に萎縮、迎合しているかのような報道もみられる。朴政権はいったいいつまで、メディアへの弾圧的な姿勢を続けるのだろうか。(社会部編集委員 加藤達也)
◇
加藤前支局長は、今回の問題が起きる以前の8月1日に、10月1日付で東京本社社会部編集委員への異動が決まっていたが、出国禁止処分によって帰国できずにいる。
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