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2014年 10月 09日
産経新聞のソウル支局長が、8月3日に掲載された朴大統領に関する記事が、名誉毀損に当たるとしてソウル中央地検に在宅起訴された。(@@)
この問題になった産経新聞の記事『朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた?』は、後半にアップするが。
朴大統領が、4月16日に客船事故が起きた当日に、7時間、所在不明になっていたことを指摘した上で、朝鮮日報の記者コラムを引用する形で、「大統領とオトコ」を巡るウワサを紹介。朴大統領が、この空白の7時間に、既婚男性と会っていたことを示唆するものだった。(~_~;)
この記事に関して、保守系の市民団体がソウル中央地検に名誉毀損の疑いがあると告発。同地検が、記事を書いた記者(ソウル支局長・当時)を出国停止にして3回の事情聴取を行なった後、昨日、在宅起訴の処分を下したという。(・・)
『産経新聞の加藤達也前ソウル支局長(48)が書いた朴(パク)槿恵(クネ)韓国大統領に関するコラムをめぐる問題で、ソウル中央地検は8日、加藤前支局長を「情報通信網利用促進および情報保護などに関する法律」(情報通信網法)における名誉毀損(きそん)で在宅起訴した。外国の記者に同法を適用して起訴するのは極めて異例だ。
起訴状によると、「(加藤前支局長は)情報通信網を通して虚偽の事実を際立たせて名誉を毀損した」などとしている。これに対し、韓国の外国メディアで構成する「ソウル外信記者クラブ」は8日夜、「メディアの自由な取材の権利を著しく侵害する余地がある点に深い憂慮を表する」などとする声明を発表した。
加藤前支局長は8月18、20日、10月2日の計3回、地検に出頭した。地検は情報通信網法違反の疑いで、地検側の通訳を介し、記事の作成経緯などについて聴取した。
加藤前支局長は「朴槿恵政権を揺るがした(4月16日の)韓国旅客船の沈没事故当日、朴大統領がどこでどう対処したかを伝えるのは、公益にかなうニュースだと考えた」と説明した。(産経新聞14年10月8日)』
* * * * *
ちなみに、この情報通信網法における名誉毀損とは、このようなものらしい。
『情報通信網利用促進および情報保護などに関する法律(情報通信網法)は「人を誹謗(ひぼう)する目的で情報通信網を通じ、公然と偽りの事実により、他人の名誉を傷つけた者は7年以下の懲役、10年以下の資格停止または5000万ウォン(約495万円)以下の罰金に処する」と規定している。
刑法をはじめとする各法に定められた名誉毀損の処罰規定のうち、法定刑が最も重い。だが、「誹謗する目的」があったのかについては、取材の動機と報道の経緯、記事の具体的表現などに基づき、検察が立証しなければならない。
加藤支局長は朝鮮日報のコラムを引用したと主張している。だが検察は該当コラムについて、国政運営の乱れを指摘したもので、同紙の記事とは主題が異なるとみている。家宅捜索などの強制捜査は外交問題などを勘案して検討していない。
検察は加藤支局長を出国禁止とし、12日に出頭するよう求めた。だが加藤支局長は弁護人選任などの問題のため、調査を先送りするよう要請した。これに伴い、検察は支局長側と出頭日を再調整する。
検察は加藤支局長から報道の根拠や取材の経緯を説明するための資料を提出させる方針。青瓦台(大統領府)でも関連資料を入手して調べるという。検察関係者は「報道の根拠がどの程度信じられるものであったのかが核心」とコメントした。(聯合ニュース14年8月12日)』
* * * * *
また、この記事には、韓国の大統領府も怒りを示していたことから、検察の捜査、判断に影響した可能性がある。(-_-;)
『韓国青瓦台(大統領府)の尹斗鉉(ユン・ドゥヒョン)広報首席秘書官は7日、「朴槿恵(パク・クネ)大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた?」と題する記事を掲載した日本の産経新聞に対し、民事・刑事上の責任を問う方針を示した。
この記事は朝鮮日報のコラムと証券街の情報などを引用し、朴大統領の私生活に関するうわさを報じており、外国のマスコミが他国の首脳を侮辱したと物議を醸していた。
尹秘書官は「口にするのも恥ずかしいことを記事にした。うそを書いて読者を増やせるのかもしれないが、とことんまで厳しく対処していく」と述べた。また、市民団体がすでに産経を告発したことも明らかにした。(聯合ニュース14年8月7日)』
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
この件に関しては、産経新聞は抗議を行なっていたし。日本政府も様々な機会を通じて、報道の自由の侵害するような捜査や処分を行なわないようにと要請。
また、近時は、日本だけでばく海外のメディア、諸団体なども、韓国政府や検察の対応を問題視して、けん制するメッセージを発信していた。(・・)
『今回の問題をめぐっては、報道の自由への侵害を懸念する声が国内外の多くの報道機関や関係団体から上がっていた。日本新聞協会編集委員会は「報道機関の取材・報道活動の自由、表現の自由が脅かされることを強く懸念する」との談話を発表。国際ジャーナリスト組織、国境なき記者団(パリ)も韓国側に加藤前支局長を起訴しないよう求める声明を発表していた。(産経新聞14年10月8日)』
* * * * *
昨日の在宅起訴の報を受けて、菅官房長官は、韓国の対応を批判し、改めて懸念を伝達する意向を表明したという。
『菅義偉官房長官は9日午前の記者会見で、産経新聞の前ソウル支局長が朴槿恵韓国大統領らの名誉を傷つけたとして在宅起訴されたことについて、「報道の自由、日韓関係の観点から極めて遺憾だ」と批判、同日中に韓国側に詳しい事実関係の説明を求め、懸念を伝える考えを明らかにした。
菅長官は「民主国家において最大限尊重されるべき報道の自由との関係で、法執行は抑制的でなければならない」と強調。韓国の対応は「国際社会の常識とは大きく懸け離れている」と指摘した。
岸田文雄外相も外務省で記者団に「報道の自由、日韓関係にも関わる問題で、大変遺憾だ。憂慮している」と語った。(産経新聞14年10月9日)』
また、海外の政府からも、今回の韓国検察の対応を問題視する声が出始めている。(・・)
* * * * *
ちなみにmewは8月に既にこの記事を読んでいて。韓国側の反応や捜査などの過程も、ちょこまか追いかけていたんだけど・・・。
とりあえず、皆さんに記事の内容を知っていただくためにも、また参考資料としてキープするためにも、ここにその問題になった記事を、ここにアップしておきたいと思う。(**)
<省略した部分は、*1にアップしておくです。>
『朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた?』
産経新聞14年8月3日
『調査機関「韓国ギャラップ」によると、7月最終週の朴槿恵大統領の支持率は前週に続いての40%となった。わずか3カ月半前には6割前後で推移していただけに、大統領の権威はいまや見る影もないことを物語る結果となった。こうなると吹き出してくるのが大統領など権力中枢に対する真偽不明のウワサだ。こうした中、旅客船沈没事故発生当日の4月16日、朴大統領が日中、7時間にわたって所在不明となっていたとする「ファクト」が飛び出し、政権の混迷ぶりが際立つ事態となっている。(ソウル 加藤達也)』
<で、『7月7日の国会運営委員会に、大統領側近である金淇春青瓦台(大統領府)秘書室長の姿があった。まず、質問者である左派系野党、新政治民主連合の朴映宣院内代表と金室長との問答を紹介する』として、そのやりとりが載っていた。(*1)>
* * * * *
おそらく名誉毀損に問われたのは、この後半部分なのではないかと思われる。(・・)
『一連の問答は朴大統領の不通ぶり、青瓦台内での風通しの悪さを示すエピソードともいえるが、それにしても政府が国会で大惨事当日の大統領の所在や行動を尋ねられて答えられないとは…。韓国の権力中枢とはかくも不透明なのか。
こうしたことに対する不満は、あるウワサの拡散へとつながっていった。代表例は韓国最大部数の日刊紙、朝鮮日報の記者コラムである。それは「大統領をめぐるウワサ」と題され、7月18日に掲載された。
コラムは、7月7日の青瓦台秘書室の国会運営委員会での業務報告で、セウォル号の事故の当日、朴大統領が午前10時ごろに書面報告を受けたのを最後に、中央災害対策本部を訪問するまで7時間、会った者がいないことがわかった」と指摘。さらに大統領をめぐる、ある疑惑を提示した。コラムはこう続く。』
(下につづく)
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『「金室長が『私は分からない』といったのは大統領を守るためだっただろう。しかし、これは、隠すべき大統領のスケジュールがあったものと解釈されている。世間では『大統領は当日、あるところで“秘線”とともにいた』というウワサが作られた」。
「秘線」とはわかりにくい表現だ。韓国語の辞書にも見つけにくい言葉だが、おそらくは「秘密に接触する人物」を示す。コラムを書いた記者は明らかに、具体的な人物を念頭に置いていることがうかがえる。コラムの続きはこうなっている。
「大統領をめぐるウワサは少し前、証券街の情報誌やタブロイド版の週刊誌に登場した」
そのウワサは「良識のある人」は、「口に出すことすら自らの品格を下げることになってしまうと考える」というほど低俗なものだったという。ウワサとはなにか。
証券街の関係筋によれば、それは朴大統領と男性の関係に関するものだ。相手は、大統領の母体、セヌリ党の元側近で当時は妻帯者だったという。だが、この証券筋は、それ以上具体的なことになると口が重くなる。さらに「ウワサはすでに韓国のインターネットなどからは消え、読むことができない」ともいう。一種の都市伝説化しているのだ。
コラムでも、ウワサが朴大統領をめぐる男女関係に関することだと、はっきりと書かれてはいない。コラムの記者はただ、「そんな感じで(低俗なものとして)扱われてきたウワサが、私的な席でも単なる雑談ではない“ニュース格”で扱われているのである」と明かしている。おそらく、“大統領とオトコ”の話は、韓国社会のすみの方で、あちらこちらで持ちきりとなっていただろう。
このコラム、ウワサがなんであるかに言及しないまま終わるのかと思わせたが途中で突然、具体的な氏名を出した“実名報道”に切り替わった。
「ちょうどよく、ウワサの人物であるチョン・ユンフェ氏の離婚の事実までが確認され、ウワサはさらにドラマティックになった」
チョン氏が離婚することになった女性は、チェ・テミンという牧師の娘だ。チョン氏自身は、大統領になる前の朴槿恵氏に7年間、秘書室長として使えた人物である
コラムによると、チョン氏は離婚にあたり妻に対して自ら、財産分割及び慰謝料を請求しない条件を提示したうえで、結婚している間に見聞きしたことに関しての「秘密保持」を求めたという。
証券筋が言うところでは、朴大統領の“秘線”はチョン氏を念頭に置いたものとみられている。だが、「朴氏との緊密な関係がウワサになったのは、チョン氏ではなく、その岳父のチェ牧師の方だ」と明かす政界筋もいて、話は単純ではない。
さらに朝鮮日報のコラムは、こんな謎めいたことも書いている。
チョン氏が最近応じたメディアのインタビューで、「『政府が公式に私の利権に介入したこと、(朴槿恵大統領の実弟の)朴志晩(パク・チマン)氏を尾行した疑惑、(朴大統領の)秘線活動など、全てを調査しろ』と大声で叫んだ」
具体的には何のことだか全く分からないのだが、それでも、韓国の権力中枢とその周辺で、なにやら不穏な動きがあることが伝わってくる書きぶりだ。
ウワサの真偽の追及は現在途上だが、コラムは、朴政権をめぐって「下品な」ウワサが取り沙汰された背景を分析している。
「世間の人々は真偽のほどはさておき、このような状況を大統領と関連付けて考えている。過去であれば、大統領の支持勢力が烈火のごとく激怒していただろう。支持者以外も『言及する価値すらない』と見向きもしなかった。しかし、現在はそんな理性的な判断が崩れ落ちたようだ。国政運営で高い支持を維持しているのであれば、ウワサが立つこともないだろう。大統領個人への信頼が崩れ、あらゆるウワサが出てきているのである」
朴政権のレームダック(死に体)化は、着実に進んでいるようだ。』 以上、引用終わり
* * * * *
この件に関して、色々と思うこと、考えることはあるのだけど。<「一般紙の報道のあり方」「報道の自由と名誉毀損の兼ね合い」とか、「政府の検察への影響力」「政府や司法機関による報道機関への圧力」など、日本の政府、司法、メディアにとっても重要な問題がたくさん含まれていると思うし。韓国側が(これまでの)日本政府やメディアをどのようにとらえているのかとか、韓国の内政状況の影響、今後の日韓関係への影響などなども考えるべきではないかと思うです。>
こういう時こそ、できるだけ冷静かつ客観的に、今後の韓国側の対応や問題の本質を見て行きたいと思うし。この件を「他山の石」として、日本のメディアの「報道のあり方」や、権力機関から「報道の自由」を守る必要性などについて、日本の国民がもう一度、しっかりと考え直すいい機会になるのではないかとも考えているmewなのだった。(@@)
THANKS
*1 本記事で省略した部分
朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた? (産経14.8,3)
調査機関「韓国ギャラップ」によると、7月最終週の朴槿恵大統領の支持率は前週に続いての40%となった。わずか3カ月半前には6割前後で推移していただけに、大統領の権威はいまや見る影もないことを物語る結果となった。こうなると吹き出してくるのが大統領など権力中枢に対する真偽不明のウワサだ。こうした中、旅客船沈没事故発生当日の4月16日、朴大統領が日中、7時間にわたって所在不明となっていたとする「ファクト」が飛び出し、政権の混迷ぶりが際立つ事態となっている。(ソウル 加藤達也)
7月7日の国会運営委員会に、大統領側近である金淇春青瓦台(大統領府)秘書室長の姿があった。まず、質問者である左派系野党、新政治民主連合の朴映宣院内代表と金室長との問答を紹介する。
朴代表「キム室長。セウォル号の事故当日、朴大統領に書面報告を10時にしたという答弁がありましたね」
金室長「はい」
朴代表「その際、大統領はどこにいましたか」
金室長「私は、はっきりと分かりませんが、国家安保室で報告をしたと聞いています」
朴代表「大統領がどこにいたら書面報告(をすることになるの)ですか」
金室長「大統領に書面報告をするケースは多いです」
朴代表「『多いです』…? 状態が緊迫していることを青瓦台が認識できていなかったのですか」
金室長「違います」
朴代表「ではなぜ、書面報告なんですか」
金室長「正確な状況が…。そうしたと…」
《朴大統領は側近や閣僚らの多くとの意思疎通ができない“不通(プルトン)大統領”だと批判されている。大統領への報告はメールやファクスによる「書面報告」がほとんどだとされ、この日の質疑でも野党側は書面報告について、他人の意をくみ取れない朴大統領の不通政治の本質だとして問題視。その後、質問は4月16日当時の大統領の所在に及んだ》
朴代表「大統領は執務室にいましたか」
金室長「位置に関しては、私は分かりません」
朴代表「秘書室長が知らなければ、誰が知っているのですか」
金室長「秘書室長が大統領の動きをひとつひとつ知っているわけではありません」
朴代表「(当日、日中の)大統領のスケジュールはなかったと聞いていますが。執務室にいなかったということですか」
金室長「違います」
朴代表「では、なぜ分からないのですか」
金室長「執務室が遠いので、書面での報告をよく行います」
朴代表「答えが明確ではありませんよね。納得し難いです。なぜなら大統領の書面報告が色々問題となっています」
《朴代表はここで、国会との連絡調整を担当する趙允旋政務首席秘書官(前女性家族相)に答弁を求めた》
朴代表「趙政務首席秘書官、マイクの前に来てください。女性家族部相のときも、主に書面報告だったと聞いています。直接対面して大統領に報告したことがありますか」
趙秘書官「はい、あります」
朴代表「いつですか」
趙秘書官「対面報告する必要があるときに」
朴代表「何のときですか」
趙秘書官「案件を記憶していません」
朴代表「では、調べて後で書面で提出してください」
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