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10日公表のノーベル平和賞。ノルウェーの民間研究機関が3日付で公表した受賞予測で、戦争放棄をうたった憲法9条をもつ日本国民が278候補のトップに挙げられた。集団的自衛権の行使容認などをめぐって国内が揺れるなか、国際的に注目を集めることはどんな意味を持つのだろうか。
受賞予測をしたのは、オスロ国際平和研究所(PRIO)。ウェブサイトで9条について「日本国民の多くはこの非侵略の誓いが、1946年(の憲法公布)以来、戦争を避けることができた大きな理由だとみている」と指摘し、他国との武力衝突が一度もなかった戦後約70年間の歩みに果たした役割を評価している。
ハープウィケン所長は6日、朝日新聞の取材に応じた。1位の理由として、平和賞は「軍の廃止や縮小」などへの貢献者に贈られるとしたアルフレッド・ノーベルの遺志に合致している▽尖閣問題など東アジアで戦争リスクが高まっている――の二つに加え、安倍政権が9条の解釈を変え、集団的自衛権の行使を認める閣議決定をしたことで「9条が危機にある」ことを挙げた。
所長は「ノーベル委員会は、授賞が安倍政権批判と見られることを気にするかもしれないが、9条が危機にある今年こそインパクトがあるとも認識するだろう」と指摘。2010年に中国政府と対立する人権活動家の劉暁波氏が受賞したことも挙げ、「政治的な問題から委員会が逃げることはない」と述べた。
その上で、「東アジアの紛争の可能性は世界であまり注目されておらず、この地域に光を当てようとノーベル委員会が考えるかもしれない。原爆などで甚大な被害を受けながら、平和のうちに復興を遂げた日本の戦後約70年間の歩みに共感する人は世界に多い。平和賞の授与は世界から歓迎されるだろう」と話した。
■共感した署名、41万人超える
「9条の価値を世界に知ってもらえる絶好の機会。取り上げてもらえたことを感謝したい」
「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会(事務局・相模原市)共同代表の石垣義昭さん(73)は話す。平和賞に推薦する活動を始めた神奈川県座間市の主婦、鷹巣直美さん(37)に共感し、授賞を求める署名を昨秋から集めている。
協力する団体が全国に次々と増え、署名は2日時点で41万人を超えた。「こういう活動には参加してこなかった」と言う人やノルウェーや米国などの外国人もいるという。「今年受賞できなくても、今後もすばらしさを発信したい」
「(1位の予想に)正直びっくりしている」と言うのは、ネットなどで署名集めに協力する大阪弁護士会の弁護士、辻公雄さん(73)。代表を務める市民団体「市民の為(ため)の行政を求める会」で憲法の勉強会を開いてきた。実行委の活動を報道で知り、4月から署名を呼びかけて約5千人分を実行委に送った。
辻さんは「中東などで紛争が続き、国内では集団的自衛権の行使容認など武力で紛争を解決しようとしていると受け取られる動きがある。もし受賞できれば、武力に頼らない平和の大切さを国内外に発信できる」と力を込めた。
広島県尾道市の「ママ友」らが9条の解釈変更などに危機感を感じて作った市民団体「Peace from Mothers」も7月末までに246人の署名を集めた。メンバーの主婦向井真珠(まみ)さん(34)は「受賞すれば、国際社会の注目も集まり、戦争に向かう動きの歯止めになるかもしれない」と期待する。
広島県原爆被害者団体協議会(金子一士理事長)の事務局長、大越和郎(かずお)さん(74)は「核兵器の非人道性が国際的に注目される今、軍事力でなく、外交努力で紛争解決をめざす9条が世界から評価されるのは必然だ」と言う。
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〈憲法9条〉 @日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又(また)は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。A前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
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〈オスロ国際平和研究所(PRIO)〉 ノルウェーのオスロにある民間の研究機関。創設は1959年。国際紛争の平和的解決などに関する研究や情報発信をしている。創設者のヨハン・ガルトゥング氏は「平和学」の第一人者として知られる。同じオスロに拠点を置くノーベル財団との関係はないが、ノーベル平和賞の受賞予測は毎年、世界で注目されている。2007年にはゴア元米副大統領の受賞を的中させた。
■PRIOが予測する今年のノーベル平和賞受賞者・団体(2位以下)
Aエドワード・スノーデン氏
元米中央情報局職員で米政府による情報収集活動を暴露
Bノーバヤ・ガゼータ
記者が殺害されながらも、政権批判を続けるロシアの新聞
Cドニ・ムクウェゲ氏
紛争による性暴力被害者の治療にあたってきたコンゴ民主共和国の医師
Dマララ・ユスフザイ氏
イスラム過激派に襲撃されながらも女性の権利を訴えてきたパキスタン女性
■市民発の運動、評価できる
〈稲正樹・国際基督教大教授(憲法学)の話〉 9条については国内で意見が割れるなか、「日本国民」として受賞することが適当かどうかはわからないが、市民の立場で運動が始まったことは評価できる。国内だけではなく、東アジアの緊張の中において、9条がかかげる平和主義の意義を捉えれば、選ばれることもあるのではないか。受賞できれば、集団的自衛権の行使容認に舵(かじ)を切った安倍晋三政権に対し、党派を超えて「戦争しない国家づくり」を進める大きな力になる可能性がある。
■日本の現実と乖離した条文
〈高乗(たかのり)正臣・平成国際大教授(憲法学)の話〉 9条は画期的な条文だが、日本に軍事力が存在しなかった事実はなく、自衛隊も明らかに戦力だ。今の東アジアのパワーバランスの中では、戦力不保持を掲げる条文と日本の現実は乖離(かいり)しており、改憲すべきだ。国民の多数が支持する安倍政権が閣議決定で解釈を拡大し、集団的自衛権の行使を容認している現実があり、9条の理念とは逆行している。戦力としての自衛隊を持つ違憲状態が放置されたまま9条がノーベル賞を受賞すれば、欺瞞(ぎまん)と言われるだろう。
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