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規制委員会の田中俊一委員長/(C)日刊ゲンダイ
御嶽山噴火を無視 政府追認する「原子力規制委」の存在意義
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/153804
2014年10月2日 日刊ゲンダイ
川内原発再稼働に突き進む安倍政権。原子力規制委員会は“最後のとりで”との期待もあったが、ダメだった。政府方針の“追認機関”にすぎないことがハッキリした。
今回の御嶽山の噴火について菅義偉官房長官は、29日の記者会見で「川内原発再稼働への影響を与えないと思う」と早々と宣言。今回の噴火事故を受けて再稼働を見直すことを否定したが、1日の会見で原子力規制委員会の田中俊一委員長も「(今回の噴火が川内原発再稼働に影響を与えるのかについて)再検証するべきことではない」と菅官房長官に同調したのである。
今回、御嶽山の噴火でわかったのは日本の火山学者の予知・予測のつたなさと、想定をはるかに上回る噴火が起きて、しかも、何の警告も出されていなかったことから多くの犠牲者を出したという事実である。
日本の火山学者の予知レベル、危機管理態勢の不備など検証すべきことは山ほどある。実際、一部の火山学者からは「地震動が始まっていたのに登山者に警告を発したり、登山自粛を求めなかったのは問題だった。地元観光業への打撃を気にしすぎたのではないか」という声が上がっている。
■「現象が全然違う」
そこで田中委員長に、「日本の火山学者は国際レベルに達しているのか、危機管理態勢が整っているかも含めて再検証するべきではないか」と聞いてみたのだが、その答えにはガックシだ。
「火山学者のレベルについて私が申し上げる資格もないし、知識もありませんし、<社会的対応がどうこう>というべきことではない。御嶽山の水蒸気爆発による噴火と、(川内原発で問題になっている)超巨大噴火は、起こる現象が全然違う」とか言って、見直すそぶりもないのである。
異なる噴火現象といっても、同じ日本の火山学者の知見を基に予測や対応を考えているのだから、その学者が信用できなければ、議論の前提が崩れてしまう。まして、議論しているのは原発の安全性や避難計画なのである。国内外の専門家や危機管理のエキスパートに相談すらしないのは異常に見える。
政府の言い分にお墨付きを与えるだけの規制委であれば必要ないし、田中委員長の適性も問われる。
(取材協力=ジャーナリスト・横田一)
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