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2014年10月 1日
国会は国権の最高機関であるけれども、主権者である国民の意思を正確に反映する場であるとは限らない。
現在の国会では安倍晋三政権の与党が衆参両院で過半数議席を確保している。
衆参の過半数勢力が異なる状況を「ねじれ」と呼ぶが、「ねじれ」が生じている場合には、政権の暴走は防がれる。
2013年7月に実施された参院選の際に、メディアは「ねじれ解消が最大の焦点」と喧伝したが、2010年7月の参院選に際しては、この言葉を聞かなかった。
2010年の参院選で民主党が勝利すれば「ねじれ」が解消されたが、このときはメディアが「ねじれ解消」を促進しなかった。
ところが、2013年の参院選ではメディアが連日連夜、「ねじれ解消が参院選最大の焦点」と発信し続けた。
要するに、この国のメディアは、自民党の広報機関と化してしまっているのだ。
「ねじれ」は解消したが、その結果もたらされているのは、政権の暴走である。
衆参両院で安倍政権与党は過半数議席を確保しているのだが、選挙の際に得た投票は、全有権者のおよそ4分の1に過ぎない。
投票率が約5割で、投票した有権者の約半分が自公の与党に投票したのである。
つまり、4分の1の民意で、国権の最高機関である国会を支配してしまっているのである。
この現実を踏まえると、日本の主権者は、すべての政治決定を国会に丸投げするわけにはいかない。
主権者の多数意見に反する政策が次々と実行されてしまう恐れが生じているからである。
なにしろ、これから来年にかけて、政治は五つの重大問題を処理してゆくことになる。
その五大問題とは、日本の命運を分けるものであると言って過言でない。
日本の命運を分ける。そして、日本の主権者の命運を分ける問題なのだ。
五つの問題とは、言うまでもない。
原発、憲法、TPP、消費税、沖縄米軍基地
の各問題だ。
それぞれの問題の「核心」を確実に掴まえて対処することが必要だ。
国会で多数議席を占有しているからといって、安倍政権に丸投げしてはならない。
安倍政権は主権者全体の過半数意見に反する方向に政策を遂行しているのである。
これは、本来的には民主主義の原理に反することなのだ。
沖縄の基地問題では、安倍政権の官房長官を務める菅義偉氏が、問題の「核心」を明示した。
菅氏によれば、沖縄県知事による「埋立申請承認」がすべてなのだという。
したがって、辺野古に米軍基地を造らせないことを求める沖縄の有権者は、「埋立申請承認撤回」を前面に掲げて選挙戦を戦う必要がある。
辺野古米軍基地建設阻止の旗の下に、翁長雄志氏が「オール沖縄」の支持を受けているということであるので、この支持勢力は、力づくでも、翁長氏から「埋立申請承認撤回」の確約を取るべきである。
翁長氏は「埋立申請承認撤回・取消」を視野に入れて対応することを明言し始めているが、これでは不十分である。
選挙の投票日までに、必ず「埋立申請承認撤回」の確約を取り付けるべきである。
こうした、「核心」を衝く「確実な証し」、「ペテンの余地が生じない対応」が、政治に対する信頼を回復するためには、どうしても不可欠なのである。
沖縄県民の意地と誇りを鮮明に打ち出していただきたいと思う。
国政で、当面、最重要問題に浮上するのは消費税増税問題である。
安倍政権は11月17日の7−9月期GDP統計発表を踏まえて判断するとしていたが、菅義偉官房長官が、この日程を1ヵ月先送りした。
12月8日に7−9月期GDP統計の改定値が発表される。
この数値を見て判断すると、前言を翻した。
その裏側には、12月7日までに総選挙を実施する可能性をゼロにはしたくないとの思惑があると見る。
安倍政権の本音は年内の解散・総選挙である。
五つの問題処理を総選挙の後に持って行きたいのである。
この問題はさておき、焦点は消費税再増税問題だが、結論から言えば、適正な対応は先送りである。本来は中止であるが、安倍政権は中止を選択肢に入れていない。
選択肢は2015年10月実施と先送りの二つだ。
前者の決定を示せば、安倍政権は2015年に終焉する。と私は確信している。
後者の決定を示す場合には、望ましくはないが、長期政権になる可能性が浮上する。
それでも、この問題の決着に際しては、増税実施を絶対に決定するべきでない。
それは、国民の幸福追求の視点から導かれる、当然の結論である。
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