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『パチンコがなくなる日 警察、民族、犯罪、業界が抱える闇と未来』(主婦の友新書)
カジノ法案とセット「パチンコ換金合法化」に警察が反対する“黒い理由”
http://lite-ra.com/2014/09/post-499.html
2014.09.27. リテラ
先の国会で審議入りした「統合型リゾート推進法案(カジノ法案)」。早ければ今秋の臨時国会で成立すると見られており、ついにこの日本でもカジノが解禁となりそうだ。ところで、そのカジノ解禁とセットで語られることが多いのが、パチンコの換金合法化だ。
パチンコは現在、風営法で取り締まられており、特別法で認められた公営ギャンブルではない。従って、金銭を賭けることは禁じられており、現金や有価証券を賞品として提供することはできない。しかし、実際には出玉を“特殊景品”と交換し、それをパチンコ店の近くにある景品交換所で買い取ってもらうという換金行為が可能となっている。この換金方法は「三店方式」と呼ばれており、いわゆるグレーゾーンとして警察も黙認している状態だ。
カジノ法案を提出した超党派の「国際観光産業振興議員連盟(カジノ議連)」は、パチンコの合法化も目指しており、カジノが解禁となれば、パチンコ合法化の動きも加速すると思われる。しかし、パチンコ業界の方はというと、実は合法化を必ずしも歓迎していないという。
全国のほとんどのパチンコ店が加盟している業界団体「全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連)」は7月23日に全国理事会を開催したが、そこで阿部恭久理事長は「我々はあくまでも風営法下で営業していく」と発言。少なくとも特別法を制定してのパチンコ合法化は望んでいないことがわかる。
また、同じくパチンコ店による業界団体である日本遊技関連事業協会(日遊協)も7月17日に行われた理事会後の記者会見で、「風営法の精神のもとで健全に成長させていくことが使命である」との見解を示し、換金合法化が団体の向かうべき道ではないという姿勢を見せている。
これまでグレーゾーンだった換金が合法化されれば、パチンコ業界も健全化するように思えるのだが、どうしてパチンコ店はそれを望まないのだろうか。
2011年3月に出版された“ぱちんこジャーナリスト”のPOKKA吉田氏の著書『パチンコがなくなる日』(主婦の友新書)によると、換金の合法化は「ぱちんこ企業の上場を可能にする」から、多くのパチンコ店が反対しているのだという。(註:法律用語では「ぱちんこ」と平仮名で表記されるため、引用部分では「ぱちんこ」となっている)
実は、すでにパチンコ店全体の店舗数は減少傾向にある。しかし一方で、いち店舗あたりの遊技機設置台数は右肩あがり。これが意味するのは、大手の大型店舗が新規出店し、中小店舗が淘汰されているという事実だ。著者はこれを、大手家電量販店の台頭が町の電気店を壊滅させた現状に喩え、業界内で換金合法化に反対意見が多いことの論拠する。
「つまり『換金合法化となって大手ぱちんこ企業が上場していけば、さらに優勝劣敗が加速して、中小ぱちんこ企業は生き残れない』という懸念が強くあるのだ」(同書)
全日遊連や日遊協は、古くからのパチンコ店が多く加盟する保守的な団体であり、小規模なパチンコ店も多い。もしも換金の合法化によって大規模なパチンコチェーンが上場すれば、小規模店はあっという間に過当競争に破れ、潰れてしまうことだろう。
ただでさえ、パチンコ人口が減り、厳しい状況となっている小規模店にとって、換金合法化は死を意味する。全日遊連や日遊協に加盟するパチンコ店にしてみれば、商売を続けていくためには、あくまでもグレーゾーンであってくれないと困るのだ。
また、賭博を取り締まる立場である警察庁としても、パチンコの合法化はあまりうれしいものではないようだ。前出の『パチンコがなくなる日』から再度引用する。
「警察庁にしてみれば、ぱちんこ所管は『巨大利権』といってもいい。警察のぱちんこ利権としては『CR化(プリペイドカード方式)』『天下り』『型式試験(保通協そのものが警察庁の外郭団体)』など多数あるわけで、それを手放せという法律案に反対するのは、庁益に基づく一般的な役所の反応である」(註:「保通協」とは「保安通信協会」のこと。パチンコ機やパチスロ機が規定上の条件を満たしているか型式試験を行う機関)
グレーゾーンであったからこそ成立していたパチンコ利権は、合法化されることで消滅するかもしれない。あるいは、特別法を制定したうえで換金が合法化されるのであれば、所管が警察庁から別の省庁に移動する可能性も出てくるのだ。警察庁が巨大な利権を安々と誰かに受け渡すことなど、考えにくい。合法化に反対するのは当然のことなのだ。
さらにPOKKA吉田氏が2011年11月に上梓した『パチンコ業界タブーな人々』(宝島SUGOI文庫)には、こんな記述もある。
「刑法の違法性を阻却することには、社会全体が慎重でなくてはならない。
ゆえに、カジノの国会議論は刑法185条と刑法35条の議論の場である。ここで必ず浮上するのが『ぱちんこの換金行為』。そのココロは『あれはなんでセーフなんだ?』というものだ。
これに回答する立場なのは警察庁である。
まさか『合法です』とは言えない。言えるなら『ただちに違法ではない』などの禅問答のような見解を発することはないからだ。しかし同時に警察庁は『あれはアウトです』とも言えない。言えば、歴代の警察庁長官以下自身の大先輩方の『不作為責任』を認めることになるからだ。『違法だと知りながら何十年も放置してきたのか?』と言われるわけにはいかない」
パチンコの合法化はつまり、“警察がこれまで違法行為を黙認し続けていた”という事実を公式に認めることと同義だというのだ。
今年8月、警察庁の担当官が「パチンコで換金が行われていることは、まったく知らなかった」と発言したと報じられた。これは、パチンコの合法化やパチンコ税導入を進めている自民党の「時代に適した風営法を求める議員連盟」の質問に対する回答なのだが、警察庁の立場としては当然の答えだったということなのだろう。もし「知っている」と言ってしまえば、それは「我々は違法行為を見逃す集団です」と宣言しているのと同じなのだから。
パチンコ業界も、それを取り締まる警察庁も歓迎していないとなれば、一体誰がパチンコの合法化を望んでいるのだろうか。それは、上場を目指す一部のパチンコ企業と「カジノ議連」や「時代に適した風営法を求める議員連盟」に所属する国会議員たちだ。
中小のパチンコ店が多く加盟する全日遊連や日遊協とは異なり、主にチェーン展開するパチンコ企業による団体「パチンコ・チェーンストア協会(PCSA)」は、パチンコの合法化を目指している。
PCSAの公式サイトには、実現すべき目標として、「パチンコを大衆消費者の立場で合法化し、他産業と同等のビジネスとして社会的貢献を果たし、信用と地位の向上を果たす」と明確に記されている。さらに、「パチンコを国民大衆娯楽として産業化し、参加企業の株式公開を目指す」という目標も掲げており、パチンコの合法化とパチンコ企業の上場がセットになっていることが分かる。
そして、この団体の政治分野のアドバイザーとして、「カジノ議連」や「時代に適した風営法を求める議員連盟」のメンバーたちが名を連ねているのだ。言ってしまえば、パチンコの合法化は、パチンコ業界全体のためでも、国民の為でもなく、PCSAに加盟する企業のような、一部の大手パチンコチェーンの利益のために進められているのだ。
そういう意味では、外国人観光客を誘致するという目的で進められているカジノ解禁も、実際にはその先にあるパチンコの合法化こそが本来の目的だということになるのかもしれない。そうなると、そもそもカジノを解禁する必要性にも、大きな疑問が湧いてくる。
そして、新たな財源として浮上した「パチンコ税構想」もまた、パチンコ合法化を正当化するためのギミックにしか思えなくなってくるのだ。
パチンコ業界、警察、政治家の足並みが揃っているとは思えない現状を見ると、仮にカジノ法案が成立したとしても、パチンコの換金合法化はそう簡単なことではなさそうだが、いずれにしろ、カジノ解禁もパチンコの合法化も、決して国民のためではないことだけは間違いなさそうだ。
(金子ひかる)
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