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田原総一朗:「イスラム国」は「世界の全共闘」である
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140925-00000003-fukkou-bus_all
nikkei BPnet 9月25日(木)23時28分配信
米軍は中東の過激派組織「イスラム国」に対するシリア空爆を9月23日午前3時半(シリア時間)に開始した。イラク国内でイスラム国への限定的な空爆を始めたのは8月8日で、それ以降続く米軍の空爆はシリアへと広がった。
■理想を突き詰め、国家に闘いを挑んだ全共闘
イスラム国というわかりにくい存在を相手に米軍は空爆を強めているわけだが、オバマ大統領は24日に国連総会で演説し、イスラム国の壊滅に向けて世界各国がそれぞれの役割を果たすよう求めた。今回のシリア空爆の軍事作戦には、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、ヨルダン、バーレーン、カタールの5カ国も参加したという。
だが、こうした空爆によって何かがすぐに解決するとはとても思えない。
イスラム国とは、いったい何か。彼らは何を目指しているのか。一言でいえば、イスラム国は「世界の全共闘」である。そうたとえて考えてみれば、比較的理解しやすいように思える。
日本にはかつて全共闘運動があった。1960年代末に各大学の学生たちが実力闘争を前面に押し出して機動隊と衝突し、「大学解体」「安保反対」を叫びながら国家への闘いを挑んだ。彼らはもともと組織の中にあった共産党や日本社会党とも決別し、非常にラジカルな考えを持ち、ロシアの革命家トロッキーの思想に共鳴するトロツキストでもあった。純粋に理想だけを突き詰めていった運動だったともいえる。
■イラク戦争の3カ月前に直撃インタビューを試みる
「世界の全共闘」にたとえたのは、欧米主要国を中心とするキリスト教支配の世界に対して、イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」が武力によるイスラム世界統一というラジカルな闘いを挑むという対立構造があるからだ。
米国はエジプト、リビア、チュニジアなどの中東諸国を分断支配しようとし、それに抵抗するイラクのサダム・フセイン大統領(当時)をつぶそうと考えた。そして2003年3月にイラクへ侵攻し、イラク戦争を仕掛けた。
私はイラク戦争の始まる3カ月ほど前、フセイン大統領にインタビューするため大統領側近の了解を取り付けてバグダッッドを訪れた。ところが、「あなた方の行動はすべてCIAがキャッチしている。もしあなたが大統領に会えば、大統領の居場所がわかってしまい、その瞬間に米国に空爆される。残念ながら会っていただくわけにはいかない」と言われた。
かわりに、ラマダン副大統領(当時)とアジズ副首相(当時)への直撃インタビューを許可してくれた。そのときラマダン副大統領が言ったことを、私は今でもよく覚えている。
「米国は、イラクが核の大量破壊兵器を持ち、国際テロ組織アルカイダと密接な関係にあるから危険だとしてイラクを攻撃しようとしている。しかし、我々は大量破壊兵器など持っていない。アルカイダとも関係がない」
■混乱の根源はフセイン大統領をつぶしたことにある
しかし米国は、イラクに大量破壊兵器がなく、アルカイダとも関係がないことを承知のうえで攻撃に踏み切った。フセイン大統領をつぶせば中東を支配できると考えたのだ。その背景には、イラクがパレスチナを支援し、イスラエルと対立していたということもあったと思われる。
ラマダン副大統領が言ったことは事実だった。大量破壊兵器もアルカイダとの関係も証拠は何も見つからなかったのである。今になってみれば、混乱する中東の諸悪の根源は、ブッシュ米大統領がフセイン大統領をつぶしたことにある。
フセイン大統領はスンニ派を支持しその人材を重用し、多数派のシーア派を弾圧した。内実はともかく、その構図によってイラクは治まっていた。ところがフセイン大統領が倒されると、イラクはシーア派の天下となり、スンニ派を弾圧し始めて内乱状態に陥る。
その一方で、スンニ派過激組織はアルカイダと組み、いっそう過激化してシリアのアサド大統領と対立する。アサド大統領はロシアの支持を受け、アサド大統領の反体制勢力は米国の支援を受けたのだが、ややこしいのはその反体制勢力にもスンニ派過激組織が入り込み、わけのわからない状態になったことだ。
■資金源は石油と世界の資産家からの寄付
イスラム国は何を求めているのか。シリア国内に5万人以上の戦闘員を抱え、今も新たな戦闘員の勧誘に成功しているという。しかも、フランスやイギリスをはじめヨーロッパの若者たちもイスラム国に参加しているとされ、外国人戦闘員約1万5000人のうちヨーロッパ人が少なくとも2000人はいるという。
イスラム国は「イスラムは一つだ。イラクやシリアなどの中東諸国は、欧米の都合で線引きされてつくられた」と主張する。ラジカルで純粋な思想のもとで、中東イスラム世界の統一を目標に掲げている。
そのため彼らは、米国と対立し、米国の支持で成立したイラク新政権とも対立する。さらに何と米国と敵対するアサド政権とも対立するという非常に複雑な関係になっている。
イスラム国は、シリアやイラクの支配地域に石油精製施設を保有しているため、資金も豊富だといわれる。そのため米軍はこれまでにシリア領内の石油精製施設を集中的に空爆している。
豊富な資金は、世界の資産家たちの寄付にも支えられているという指摘がある。イスラム国は、彼らにイスラム教に改宗するか資金を提供すれば命を救うと脅しをかけ、身の安全を確保したい資産家たちはどうやら寄付を選択しているらしいのだ。
■日本にとって対岸の火事ではない
オバマ大統領は当初、イスラム国への空爆を決断できずにいた。シリアのアサド政権が反体制派に対して化学兵器を使用したときも、米国内に反対の声が強く空爆を行わなかった。その結果、オバマ大統領の決断力に疑問が投げかけられ、支持率を落とした。
おそらく、イスラム国を空爆したところで何の解決にもならないことはオバマ大統領自身がよくわかっているだろう。オバマ大統領としては、国連安保理に諮って国連軍を結成したいはずだ。そして空爆ではなく、国連軍で陸路からイスラム国を攻撃したいと考えているのではないか。
ところが、これにロシアは賛成しない。ロシアの拒否権が発動されるから国連軍は結成できない。オバマ大統領は「有志連合」の結成を着々と進めており、すでに有志連合参加国は40カ国を超えたとされる。
問題は日本の対応だ。安倍内閣は米国などによるイスラム国との戦いに「支持」を表明している。集団的自衛権行使容認の閣議決定をした安倍内閣は、有志連合に参加するのかどうか。私が政府筋から得た情報では、「軍事攻撃には参加しないが、後方支援を含めさまざまな形で支援せざるを得ないのではないか」という。
米国主導の「有志連合」の結成、それに対するイスラム国の強い反発。その中で日本はどんな役割を担うことになるのか。シリア、イラクで起きている出来事は日本とは関係ないことのように思われるが、決して対岸の火事ではないのである。
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