http://www.asyura2.com/14/senkyo171/msg/800.html
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「税金を払わない巨大企業」(富岡幸雄・文春新書)はお勧め。「日本の大企業にとっては税制の欠陥に加えて、政府が打ち出した優遇税制によって、税金を低く抑えられた状態が続いています。こうした大企業の”尻ぬぐい”をさせられているのが、私たち国民なのです」
― 弁護士川口創 (@kahajime) 2014, 9月 24
【自著を語る】
あの大企業も1%以下の負担率
消費税を上げる前に/法人税制のゆがみを正せ!
『税金を払わない巨大企業』 (富岡幸雄 著)
富岡 幸雄 Yukio Tomioka
http://hon.bunshun.jp/articles/-/2725
http://hon.bunshun.jp/articles/-/2725?page=2
国にとって稼ぎ頭である巨大企業がグローバル化し、無国籍化して税制の抜け穴を巧みに利用し、課税逃れをしています。このため日本の税制は空洞化し、財政赤字の原因になっています。私はこの事実を、公開されている有価証券報告書や、企業・IR情報、新聞に掲載されたデータ、そして、必要に応じて研究所のスタッフによる直接取材によって、突き止めました。
個別企業の経営情報は、有価証券報告書で開示することが義務付けられていますが、情報は不統一で、不透明な部分が多くあります。納税は、企業による自主申告が原則で、申告の基礎となる決算については、企業側が会計方法を選択することができます。そのため、利益を大幅に操作することが可能なのです。加えて、2006年に「法人企業の申告所得金額の公示制度」(企業長者番付)が、個人情報保護法を口実になくされた高額納税者番付とともに廃止されたこともあり、個別企業の納税情報を分析するのは、時間と労力と高度な専門知識が必要とされる困難な作業の連続でした。
苦難の末に割り出した結果は、驚くべきものでした。2013年3月期、税法で定められた法定正味税率は38.01%でしたが、なんと、1%以下の負担しかしていない巨大企業が4社、10%以下が3社、20%以下は10社、20%台、30%台と続き、本書では、「2013年3月期 実効税負担率の低い大企業35社」として、実名を挙げることに踏み切りました。
これらはすべて、税引前純利益が1期で600億円以上の日本経済をけん引する巨大企業ばかりです。中には、経済誌「フォーブス」の2013年度版「世界長者番付」に名を連ねながら、率いる企業の納税負担率が0.006%、6.92%といったケースもあるのです。
次に、データをマクロ的に見てみると、納税負担率が極端に低いのが、資本金100億円超の巨大企業であることがわかります。これは、「隠れた補助金」といわれる租税特別措置による政策減税の恩恵が、圧倒的に巨大企業に集中しているためだと考えられます。
また、企業のグローバル化で、タックス・ヘイブンを迂回して、どの国にも納税しないスキルが進化しています。グーグルやアマゾンに代表されるアメリカIT企業が、ヨーロッパの議会などで追及された事例をご存じの方も多いでしょう。日本企業も、アメリカ企業の後を追うように、こういった手法をわが物にしていると思われます。
これらの背景には、企業がアメリカナイズし、短期間で大きな利益を得ようとする風潮があります。もはや、大企業にとって税は、「コスト」という感覚なのでしょう。日本の法人税が高すぎるから、海外と競争できないといって、法人税の法定正味税率を、「数年以内に20%台まで引き下げる」と、政府に公約させることに成功しました。
この法人税の引き下げで、財務省は代替財源について、頭を悩ませていますが、結局は、消費税のさらなる引き上げに加えて、国民に負担を強いるような増税策しかないようです。
財界や政府は、庶民が納める消費税を増税して、グローバル競争をしている巨大企業に対する法人税を減税しようと計画しているように私には思えてなりません。それというのも、消費税引き上げと、法人税の引き下げには、過去に次のような関係がみられるからです。
1989年に3%で創設された消費税は、1997年には5%、そして今年2014年4月からは8%になりました。さらに来年2015年10月には、10%の大台へとアップさせようと、安倍政権は目論んでいます。
それに対して法人税率は、1984年に43.3%だったものが、1987年には42.0%に下げられ、消費税が導入された1989年には40.0%、1990年には37.5%、その後、1998年、99年と下げられ、2012年には25.5%まで引き下げられてきました。そして、いよいよ来年2015年からさらなる引き下げを始めようとしているのです。法人3税の1989年度から25年間の累計減収額は、255兆円。同時期の消費税収の累計は、282兆円です。
この事実は、消費税増税が、社会保障の充実のためでも、財政再建のためでもなかったことを立証しているのではないでしょうか。これまでの巨額の消費税収のほとんどが、法人税の減収の穴埋めに消えてしまっているようなものです。
税制に潜在している伏魔殿のベールを暴き、欠陥税制を正すために、税金を払っていない著名企業の実名を明かすという「禁じ手」まで私が冒したのは、税に70年以上携わってきた者としての使命感からでもあります。来年10月の消費税再増税にストップをかけ、法人税の税率引き下げではなく、「再建」を、これからも主張していきます。
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