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2014年9月24日
日本株価はドル円相場との連動性を維持している。
ドル高の局面で株価が上昇し、ドル安の局面で株価が下落する。
2012年11月から2013年5月までの半年間に日経平均株価は8割の上昇を示したが、その背景はドル高の進行だった。
1ドル=78円のドル円相場が1ドル=103円にまでドル高・円安に振れた。
この為替変動を背景に日本株価が急上昇したのである。
そのドル高・円安に振れた背景にあったのは米国長期金利の上昇だった。
米国10年国債利回りは2012年7月に1.38%で最低値を記録したのち、2013年9月には3%にまで上昇した。
この米国長期金利上昇がドル高・円安の主因だった。
2012年12月に発足した安倍晋三政権は、政権発足のタイミングでドル高・円安=日本株高の環境に恵まれた。
このために安倍政権の支持率が上昇し、2013年7月参院選での自民党勝利がもたらされた。
この参院選が衆参のねじれを解消させる結果をもたらしたが、そのために「暴政」がもたらされてしまった。
「ねじれ」は政治決定の遅れをもたらすとの批判があるが、他方で、政権の暴走を防ぐ防波堤の役割を果たしてきた。
参議院は「ねじれ」の状況下で大きな存在意義を発揮する。
これが「ねじれの効用」である。
ドル高・円安=日本株高の発生が、安倍政権による衆参両院支配をもたらしたことは、日本国民にとっての悲劇であり、そのためにいま、暴政=苛政が日本を襲っている。
会員制レポート『金利・為替・株価特報』
http://www.uekusa-tri.co.jp/report/index.html
では、2013年11月に次の見通しを示した。
「年内は掉尾の一振で株価が上昇する。しかし、年明け後は消費税大増税の影響を織り込む形で日本株価は下落トレンドに転ずる」
世の大半のエコノミストは株価上昇の持続を予測していた。
また、日経新聞を中心に「消費税増税の影響は軽微」との大キャンペーンが展開されていた。
しかし、私は完全なる少数意見として、年明け後の日本株価下落と消費税増税による日本経済撃墜のリスクを警告し続けた。
結果は、株価の下落と消費税増税による日本経済崩落だった。
日経平均株価は4月に14000円を割り込んだ。年初来、日本株価は下落の波動を描いたのである。
2014年4−6月期の実質GDP成長率は、表向き年率7.1%のマイナス成長となっているが、実態はこの数値よりもはるかに深刻である。
数値は、外需と売れ残りの大量発生(在庫投資)によって大幅にかさ上げされており、この影響を取り除くと、経済成長率はなんと年率ー17.1%だったのである。
文字通り、日本経済は撃墜されたのである。
このなかで、『金利・為替・株価特報』は5月12日号で、日本株価のトレンドが下落から上昇に転換するとの見通しを示した。
その根拠は、株式市場が増税の影響を織り込んだと考えられること、ならびに、日本株価が企業利益と長期金利から算出される理論的適正値から下方に大幅乖離していることであった。
実際に日本株価は5月19日の14006円を転換点に上昇に転じた。
7月から8月にかけて、『金利・為替・株価特報』では、目先株価調整が生じるが、調整後は再び上昇波動に回帰すると予測した。
そのなかで、日経平均株価は9月19日に16321円まで上昇し、昨年12月30日の16291円を上回った。
しかしながら、先行きについては手放しの楽観が許されない。
二つの問題を指摘しておきたい。
第一は、2015年10月に予定されている消費税率の10%への引き上げである。
消費税8%で日本経済はノックアウト寸前の状況に追い込まれている。
ここで税率を10%に引き上げることは、まさにKOパンチになる。
2014年、「消費税増税の影響軽微」キャンペーンが破たんして、「日本経済が撃墜された」教訓を謙虚に受け止めるべきである。
第二は、日銀の黒田東彦総裁が、危険な行動を強めていることである。
9月に入っての円安の進行の主因は米国長期金利の上昇にあるが、副次的な要因として、日銀が円安誘導を強めたことを指摘できる。
日銀はマイナス金利を発生させるとともに、円安誘導の口先介入を行った。
円安・株高で日本経済を支えようとも意図もあると考えられるが、もう一つの意図として、増税推進があると考えられる。
円安は日本のインフレ率上昇をもたらす。
インフレ率上昇は日本の長期金利上昇要因となる。
12月の消費税増税判断の時期に合わせて、日本の長期金利上昇を誘導しようとの意図が透けて見える。
長期金利上昇を誘導するのは、増税決定を促すためである。
「増税を決定しないと日本国債相場が暴落する」とブラフをかけることが予定されているのではないか。
これが真実だとすると、極めて歪んだ政策対応であると言わざるを得ない。
消費税増税を凍結し、弊害の多いインフレ誘導政策を中止するべきである。
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