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日本・ウクライナ両“政変”と米・露の“出動” 成瀬裕史
2014-09-07 JanJanの復活を待つ〜市民記者のページ
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■冷戦時、キューバがソ連と軍事同盟を結ぶのを米国は許したか?
9月5日、ウクライナと親ロシア派は停戦に合意した。
「不戦・平和」を希求する日本国憲法を誇りとする日本国民の人の一人として、この停戦合意が実行・継続されることを望んでやまない…。
この「ウクライナ危機」について、『フォーリン・アフェアーズ・リポート』に掲載されたシカゴ大・ジョン・ミアシャイマー教授の示唆に富む論考がネットで紹介されていた。
曰く、「仮に中国が見事な軍事同盟を組織し、これにカナダとメキシコを加盟させようとすれば、ワシントンはどう反応するだろうか。怒り狂うのは目に見えている」
「キューバにはソビエトとの軍事同盟を形成する権利があるとアメリカが冷戦期に考えただろうか。
無論、そうは考えなかったし、現在のロシアも、ウクライナが欧米との同盟関係に参加する権利があるとは考えていない」
■クリミア半島はロシアの「沖縄」!?
世界地図を見るとクリミア半島は黒海の北側中央に位置し、対岸のトルコと接している。かつてのロシア・オスマントルコ両帝国が対峙する軍事的要衝である。
このため、旧ソ連時代にロシアからウクライナ移管されたといえ、旧ロシア帝国がオスマン帝国から奪取した軍事的要衝・クリミア半島を、欧州・NATO入りを標榜するポロシェンコ政権樹立のウクライナから、プーチン政権のロシアが「奪い返した」のも頷ける。
先の大戦で、大日本帝国に勝利したアメリカが、“戦利品”たる不沈空母・沖縄を決して手放さないのと「全く同じ」論理であろう…。
また、ロシアと平野部で長大な国境を接するウクライナが、欧州・NATO入りをするとしたら、ロシアにとっては国防上「最悪の事態」となるであろう。
このため、ロシアと国境を接するウクライナ東部での「親ロシア派」による武力蜂起・実効支配に、ロシアが関与しているとの報道も頷ける…。
そう考えた際、私は、かつて我国で「政権交代」により民主党・鳩山政権が樹立され、件の鳩山氏が「東アジア共同体」や「普天間基地の県外移転」を打ち上げた時、
当時のアメリカは、現在のプーチン・ロシアと同じ「危機感」を覚えたのではないか? との思いに及んだ…。
■日本・ウクライナ両政変での米・露両大国の行動
今回のウクライナ危機の発端は、欧州連合協定の調印を見送る姿勢を示したヤヌコビッチ大統領に対し野党派勢力が猛反発し、EU派市民による大規模デモなどでヤヌコビッチ氏が2月に国外脱出し、議会が大統領を解任するという「政変」による。
これを受けロシアはすかさず3月にクリミア半島を編入し、軍事的要衝を堅守するとともに、「天然ガス」や「親ロ派」を手駒としながら、ウクライナ政権が再びロシア側になびくよう、工作を強めている。
この動きを、「政権交代」が実現した2009年の我が国・日本に置き換えて見てみると…。
2009年2月、政権交代が確実と目されていた当時の民主党・
小沢一郎代表が在日米軍再編に関連し「第7艦隊がいれば十分だ」と発言。
占領期から米軍との関係が深いとされる特捜検察は同3月、小沢氏の公設秘書を西松建設関係者とともに政治資金規正法違反で逮捕。
この事件により代わって代表に立った鳩山由紀夫氏は8月の総選挙の際、マニュフェストで「対等な日米同盟関係」「東アジア共同体の構築」を打ち上げるとともに、沖縄では「普天間基地の県外移設」を訴えながら、政権交代という「政変」を実現させた。
選挙後、特捜検察はすかさず鳩山氏の「個人献金」や「母親献金」を捜査。鳩山事務所の会計担当秘書が起訴された。
その後、鳩山氏は米側メディアなどからも「オバマ米大統領に冷遇」「ルーピー」など報じられ、また国内では、検察と同様に占領期から米軍との関係が深いとされる我が国マスコミ諸氏からも、小沢氏とともにメディアスクラムによる執拗な「バッシング」を受け、翌年6月「W辞任」により、政権を追われることとなる…。
(なお、ウィキリークにより、当時、韓国高官と会談したャンベル米国務次官補が、「民主党政権は自民党政権とは全く違う、やりにくい政権で、菅や岡田など次の世代と交渉すべき」としていたことが明らかになっている…。)
現在、我が国の政界で、「対等な日米同盟」や「東アジア共同体」などを口にする者は誰もいなくなってしまった…。
それどころか、安倍・自民政権に時計の針は戻り、「TPP交渉参加」や「集団的自衛権行使容認」、はたまた年末の「日米ガイドライン改定」と、中国との関係悪化と対照的に、米国との経済的・軍事的親密度は「政権交代」以前にも増して、強固なものになろうとしている…。
「民主化という名の政変」により、欧米寄りに舵を切ろうとしたウクライナから、軍事的要衝のクリミアを奪取したロシアと、
我が国の「政権交代」後の米国の“行動”は、
両大国の「地政学的リスク」回避策として、「至極全う」かつ「共通した」行動であると、
私には思われるのであるが…。
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