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日本共産党の「赤旗まつり」の野外コンサートに出演する八代亜紀(写真:産経新聞)
八代亜紀を「赤旗まつり」に迎える共産党の胸算用
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140915-00000505-san-pol
産経新聞 9月15日(月)11時10分配信
日本共産党が11月1〜3日に東京都江東区の夢の島公園で開く「第40回赤旗まつり」に、『なみだ恋』や『舟唄』『雨の慕情』などの大ヒット曲で知られる大物演歌歌手、八代亜紀が“出演”することになった。機関紙「しんぶん赤旗」読者と党員を増やせ−と党勢拡大に躍起の同党には、「演歌の女王」を“客寄せパンダ”にして無党派層を取り込む戦略があるようだ。成算は果たして…。
赤旗まつりは全国の共産党員らが集結する同党恒例の行事だが、党員以外にも広く参加を呼びかけており、党勢拡大に向けての大イベントである。
通常「文化の日」(11月3日)前後に開かれているが、平成23年3月の東日本大震災とその後の国政選挙などを受け、この3年間は自粛してきたため、4年ぶりの開催となる。昨年の参院選で3議席から8議席に「躍進」して意気上がるなか、来春には統一地方選を控えている。共産党が赤旗まつりに力を入れるのも当然である。
赤旗まつりでは、志位和夫委員長ら党幹部の記念講演のほか、スポーツ教室や全国の名産品が集まる物産模擬店、“第一級”の文化人や芸能人による催し物もあるが、今回の「目玉」に共産党が据えたのがほかならぬ、紅白歌合戦出場15回を数える日本レコード大賞歌手、八代亜紀による野外コンサートなのである。
過去に赤旗まつりに出演した“第一級”のタレントは、上條恒彦やペギー葉山らがいるが、共産党関係者は「失礼を承知で言えば赤旗まつりに招いた芸能人の『格』では八代さんが過去最高の大物」と胸を張る。
前出の共産党関係者によれば、抜群の歌唱力と知名度に加え、最近世界にも進出した話題性から、八代亜紀に白羽の矢を立て出演を依頼し応じてもらったという。同党幹部の鼻息は荒い。
「入場者数も相当期待できる。4年前の前回(2日間)で、のべ約20万人だった。今年は4年ぶりの開催だし、3日間ある。八代さんが来るから特に高齢者がどっと押しかけてくれるのではないか。来年の地方選があるから、みんな気合いが入っている。入場者数は、のべ30万人は下らないだろう」
八代亜紀は2日目の11月2日午後に約2万人収容可能の野外ステージで約1時間、マイクを握るが、「客が入りきれないほどの大混雑が予想される。うれしい悲鳴だ」(同党幹部)という。党としては、八代亜紀ショーはいわば“独参湯(どくじんとう)”と確信しているのだ。
これまで八代亜紀と共産党との接点はなかった。八代サイドは政治信条や思想と関係なく、純粋に「営業」として赤旗まつりへの出演を決めたようだ。
ちなみに八代亜紀といえば20年6月、サッカーW杯のパブリックビューイングにサプライズで登場し国歌を独唱した。対する共産党は「君が代」反対の立場を貫いている。いずれにしても両者ともに“ビジネスライク”な付き合いに徹しているということらしい。
とはいえ八代亜紀ほどの超大物を招くとなると、経費もばかにならない。ささやくのは共産党関係者だ。
「具体的なギャラの額は極秘だが数百万円といったところ。最初は『ひと桁小さい額』(つまり数十万円)を提示し断られたが、結局断腸の思いで支出することになった」
一説には「ギャラは500万円」とされているが、共産党は出費に見合うだけの効果があると判断したのだろう。
党員以外にはあまり知られていないが、赤旗まつりは障害者と小学生以下を除いて「有料」である。日頃党費を払い「赤旗」を購読している党員であろうがなかろうが、入場料が原則要るのである。
3日間通しで使える一般券は前売りで2500円。当日券は2700円だが、4年前より200円も値上げした。学生や70歳以上の高齢者を対象にした割引券は2000円(前売り)だが、500円も値上げした。「八代亜紀の高額なギャラを捻出するために値上げしたのではないか」(共産党ウオッチャー)という観測もまんざら的外れではないかもしれない。
いずれにしても党財政の基盤である「赤旗」の部数の落ち込みで台所事情は火の車であり、赤旗まつりのチケット販売で得る事業収入は党にとっては貴重な臨時収入になる。入場料2500円として20万人来たら、ざっと5億円の収入になる。赤旗が膨らませ続けている「赤字」を多少なりとも埋め合わせができるのだ。
ゆえに準備には余念がない。12日に党本部で開いた赤旗まつりの第5回実行委員会では、小木曽陽司実行委員長(赤旗編集局長)が「政治プログラムや各企画、一つひとつの魅力、楽しさを知らせ、安倍政権打倒を掲げた一大政治集会として、内容の上でも規模の上でも成功させるために取り組みを一気に加速させよう」と、こぶしを振り上げた。
入場券販売を統括する太田善作参加券普及委員会責任者も「赤旗まつりの意義と魅力を知らせ、この9月に参加券普及の取り組みを本格的に推進させていこう」と訴えた。
「暴走政権ストップ! 日本の未来ひらこう!」−。赤旗まつり実行委員会は、そんな文字が躍るカラー刷りのチラシを作成し、無党派層を含めた幅広い層のまつりへの参加勧誘を全党に指揮している。赤旗まつりは党勢拡大への格好の舞台装置なのである。
共産党は「(赤旗まつりで)党幹部が出演する政治プログラムは、世界と日本が直面している問題を解明し、進路を示すことを伝統にしてきた」というが、志位氏の記念演説がセットされた日時も党の周到な計算、戦略に基づくようだ。
志位氏の記念演説は赤旗まつり2日目の11月2日午後に行われるが、それは八代亜紀の歌謡ショーの直前、舞台も同じ野外ステージである。
「八代亜紀のショーを目当てに多くの人々が『場所とり』のために早い時間から野外ステージ前に集まることは間違いない。党が動員をかけなくても、志位委員長の演説を聞く人も2万人という空前の数となる」
共産党関係者は舞台裏をそう打ち明ける。つまり志位氏は自身の演説を「大盛況」にすべく、あえて八代亜紀の“前座”を務めるわけだ。しかし八代亜紀のショーのためにやってきた「非党員」の人々は好むと好まざると、志位氏の演説を聞かなければならず、まったく関心も興味もない人にとっては「酷な1時間」となるかもしれない。
ある古参党員はこうもつぶやく。
「八代亜紀が目玉といっても、党がターゲットにする無党派の若年層がどれだけ振り向いてくれるのか…。指導部が弾くソロバン通りにいくか疑問だね」
共産党内にくすぶる“一抹の不安”はそれだけではない。
永田町では安倍晋三首相が衆院を電撃解散し、「11月9日総選挙」という憶測も一部で広がっている。筆者は否定的だが、解散権を握る安倍晋三首相の胸の内は読めない。11・9総選挙の可能性は限りなく低いだろうが、仮に選挙となれば赤旗まつりは一気にぶっ飛ぶ。先行投資はすべて水泡に帰し、厳しい党の懐を直撃しかねない。
八代亜紀は代表作『雨の慕情』のサビで♪雨雨ふれふれ もっとふれ〜 私のいい人つれて来い〜と歌った。赤旗まつり当日、不運にも土砂降りとなれば、客足が大きく遠のく事態も予想される。
ともあれ、共産党が「統一地方選に向けた決起大会」に位置づける赤旗まつりの行方をとくと見守ることにしよう。(政治部編集委員)
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