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“政権の広報機関”NHKが歪める世論 番組内容の国会議員への事前説明は「通常業務」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140906-00010002-bjournal-ent
Business Journal 9月6日(土)6時0分配信
8月、朝日新聞が32年前の「従軍慰安婦強制連行」記事を取り消すと報じ、テレビや新聞、週刊誌がこぞって取り上げ波紋が広がっている。知人の中には朝日の購読を止めた人も少なくない。波紋の大きさは、2005年1月に朝日が、NHK番組『ETV2000』への政治介入問題を報じた際に匹敵するほどであり、その波紋は政界にまで及んでいる。
朝日は05年のこの報道をめぐり、決定的証拠を出さなかったが、その証拠とは、安倍晋三首相、中川昭一元財務相へのインタビュー取材の録音だった。朝日には「取材にあたって録音の許諾がない限り録音はしない」との内規があったため、その証拠を出せなかった。
改竄されたとされる『ETV2000』放送時の01年も、朝日が報じた05年も、安倍氏と中川氏は政権政党自民党の中枢にいた。その両氏をはじめ国会議員たちに向け、NHKの予算審議を前にNHK幹部が事前説明を行うことが通例となっていた。その際に話題となっている番組、放送されていない番組を含めて、NHK側が説明することもよくあったことから、朝日が両氏を通じて改竄疑惑を突きとめるに至ったのではないかとの見方もあった。
NHKは疑惑が持ち上がった当時、「番組の(国会議員への)事前説明は通常業務」との姿勢を明確に示した。放送前の特定番組に関してNHK幹部が説明を行い、国会議員が密室で説明を受け、意見を述べる状況は不健康きわまりないことだが、NHK側は「通常業務」との認識を示した。本来は受信料を支払っている市民視聴者にまずもって説明があるのが通常業務であることはいうまでもない。
中川氏と安倍氏は、事前に番組を見て「公正中立な立場でするべきだ」と圧力をかけたと朝日に報じられたが、中川氏は、NHK関係者に会ったのは当該番組の放送後であり「事前のやりとりはない」と表明。安倍氏も「政治的圧力をかけたこととは違う」と政治介入を否定した。放送されていない編集段階の番組について国会議員が口を挟むという行為により、その番組が政治的立場を色濃く反映したものになってしまうのは当然である。
その後、この朝日報道は「政治家によるNHK番組への介入」から「NHK対朝日」、あるいは「政治部対社会部」というメディア内の泥仕合の様相を呈し、論点のすりかえが展開されてしまった。
●デモに冷淡なメディア
以上みてきたように、NHKと政権の密接な関係、もしくはNHKの政権寄りの姿勢について、次のような調査がある。
12年度に筆者が担当するゼミ生(立教大学社会学部メディア社会学科3年生)10人は「脱原発デモ報道検証 平成デモクラシー―官邸前から変える日本社会―」という調査・分析結果をまとめた。
デモといえば、8月末、自民党がヘイトスピーチを規制する法案策定するとともに、国会周辺でのデモ活動規制強化を検討しはじめたことが明らかになった。東京電力福島第一原子力発電所事故による放射能汚染や、秘密保護法策定、集団的自衛権をめぐる閣議決定など、政府の不十分な説明や国会審議に対し、市民の強い抗議活動が続いた。しかし、メディアの報道は、国会や首相官邸前でのデモ・抗議活動に対し全体的に冷淡であった。
同調査は、各メディアのデモ報道を次のように分析している。
・読売新聞:原発推進の立場をとっているため、事実報道に徹している。
・朝日新聞:デモと政治をつなぐ回路、いわゆる“直接的手段”を重視。しかし、具体的行動は示唆せず、鳥瞰的報道が目立つ。またデモに実効性がないことを暗に認めている。
・東京新聞:市民の目線に立ってデモを報道。市民の不満を吸収し代弁する場としてデモを評価し、その社会的地位向上に努めている
・TBS:ニュース番組『NEWS23X』は、新しいデモの形とそれによる影響を伝えているが、その後は事実報道に徹している。
・テレビ朝日:同『報道ステーション』は、脱原発デモと政府の動きを重ね合わせて報道することが多く、市民側と政府側とのバランスをとった放送である。
・NHK:同『ニュースウオッチ9』は、デモに関する報道が少なく、脱原発デモの報道に前向きでない。
以上の分析から、同調査は「結果として、民主党政権に『原発ゼロ』を掲げさせた」としながも、「デモを民主主義社会における直接的政治参加の手段として扱ったのは東京新聞のみ。よってデモに対するマイナスイメージが払拭されないのは、報道の質的側面の問題がある」と結論づけた。分析対象の調査期間は、新聞が11年3月から12年年末まで、テレビは12年7月16日からほぼ1カ月間。不十分な調査分析であるものの、同調査の指摘は間違っていないと思われる。
●NHK経営委員会に問われる役割
最近NHKでは、籾井勝人会長や一部経営委員の発言をめぐり問題が指摘されることが多いが、05年の政治介入問題同様、うやむやのままで済まされている。04年9月30日に制定され、その後幾度か改正されている「NHK倫理・行動憲章」には、次のように明記されている。
「NHKの全役職員は、本憲章を順守し、その徹底を図ります。会長・役員および各組織の長は、本憲章に反する事態が発生したときは、迅速に調査と原因究明にあたり、再発防止に努めるとともに、社会への説明責任を果たします」
しかし、今年2月、自身の発言が問題視され連日国会の委員会に出席を求められた籾井会長からは、明確な説明がなされることはなかった。さらに安倍首相の政治姿勢のコピーを繰り返す姿に、受信料を支払う国民の不満がいつか爆発する可能性もある。それは、受信料で成り立つ事業者の将来に暗い影を落とすことになるだろう。
NHK経営委員会の役割は近年ますます大きくなっているが、会長の問題発言等を指摘するだけでなく、任免権を持つ組織として独立した判断を社会に示すことが、今こそ求められている。
服部孝章/立教大学社会学部教授
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