http://www.asyura2.com/14/senkyo170/msg/861.html
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※ 参照投稿
「中止はともかく延期は無意味だが延期は実質的に中止を意味:経団連だけでなく「軽減税率」期待のメディアも延期を黙認しない」
http://www.asyura2.com/14/hasan90/msg/220.html
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安倍政権第2章
(上)「経済最優先」信じたい
米大リーグの球団運営を描くノンフィクション「マネー・ボール」に、チーム編成を担うゼネラル・マネジャーが自らを戒める場面が出てくる。
「現状でうまくいっていても、てこ入れを怠ると、痛い目に遭う」
野球も政治もマネジメント術にさほどの違いはあるまい。新たな刺激を欠けば、組織は惰性に流れがちだ。
とはいえ、安倍晋三首相にとって今回の内閣改造・自民党役員人事は難しかったに違いない。戦後最も長く続いた顔ぶれを上回る評価を得るチーム編成ができるのか。首相自身が「本音では入れ替えたくない」と漏らしたと聞いた。
なぜ人事を断行するのか。そこからして国民には分かりにくかったはずだ。「入閣待望組の不満を解消する」「来年の自民党総裁選に向けて党内基盤を固める」。政治家の私利私欲の話題が先行したことは、国益第一を訴えてきた首相には本意ではなかったろう。
2年前に自民党総裁を争った首相と石破茂氏の確執の再燃は、弱い野党を脇に置き、党内抗争に明け暮れた「古い自民党」を思い起こさせた。
あえて悪材料を先に持ち出したが、かつての自民党にはそうした権力闘争さえ党の活力にするズル賢さもあった。石破氏が発奮して活躍し、地方経済が活気づけば安倍政権にも日本にもめでたしめでたしだ。そんな展開を迎えられるかどうかは首相の手綱さばき次第である。
安倍政権の安定の背景に「第1次政権と比べて首相は成長した」「民主党政権よりまし」という国民の思いがあったのは間違いない。これからの比較対象は改造前の内閣である。新閣僚にはハードルが随分と上がったことを自覚し、身を慎んでもらわねばならない。
掲げた政策に地道に取り組み、成果を上げる。評価を高めるには、この道しかない。一内閣一仕事とまではいわないが、あれもこれもと手を出す余裕はない。
失われた20年をすごしてきた日本の最重要課題が「国力の回復」なのは言をまたない。国政とはつまるところ国民生活に安定をもたらすことだ。
改造内閣は初閣議で、重視する7つの課題を決めた。東日本大震災からの「復興の加速化」に次いで打ち出したのが「経済の再生」、3番手が「地方の創生」なのは当然の判断だ。
「集団的自衛権に関する憲法解釈の変更の次はいよいよ憲法改正だ」。首相と近い保守派にはこんな期待もあると聞く。優先順位を間違えてはいけない。国のトップにはそのときどきで望むと望まざるとにかかわらず、取り組まざるを得ない歴史的使命がある。
首相は改造後の記者会見で「経済最優先」を明言した。その言葉を信じたい。
(編集委員 大石格)
[日経新聞9月5日朝刊P.1]
(下)成長の天井、改革で破れ
霞が関が空前の「地方創生」バブルに沸きたっている。
2015年度予算にむけた概算要求の特別枠では「地方航空ネットワークの活性化」(国土交通省)といった「地域」「地方」の名を冠した政策がずらりとならぶ。
なかには「里地・里山の保全」(環境省)といった便乗気味の要求もある。安倍晋三首相は地方創生相に石破茂氏を起用、地方創生は改造内閣の金看板となっている。
「政治はバラマキをしがちだが、企業の新陳代謝を進められるかがカギ」と経営共創基盤の冨山和彦最高経営責任者(CEO)は警鐘をならす。
生産性の低いサービス業の中堅・中小企業の退出を促し、人材を集約した競争力のある企業がさらに生産性を高め、賃金上昇につなげる――。そんな構造改革の視点が地方創生にも要る。
当面の経済政策の焦点は、首相が消費税を予定通り来年10月に再増税する決断をするか否かだ。国内総生産(GDP)の2倍を超える借金を抱える日本にとって、財政再建は避けられない道だ。
「2度目の増税ができなければ、市場におそろしいほどの衝撃を与えるだろう。たくさんの人間がこのメッセージを懸命に首相に伝えようとしている」。米ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長は米ゴールドマン・サックスのリポートで指摘する。
8%への消費増税後の反動減は大きく、日本経済は4〜6月期に年率6.8%のマイナス成長に陥った。先行きの景気下振れのリスクに目配りしつつ、10%への再増税ができる環境をいかにつくるかがポイントだ。
地方創生に名を借りた公共事業のバラマキは論外としても、15年度予算案でふだんより多めの予備費を積むといった転ばぬ先のつえは必要だろう。日銀も必要に応じて追加金融緩和でデフレ脱却を後押ししてほしい。そして日本経済の潜在成長率を引き上げるための成長戦略を速やかに再起動すべきだ。
「アベノミクスは失速している」とモルガン・スタンレーMUFG証券のロバート・フェルドマン氏はクギを刺す。
法人減税、岩盤規制の見直し、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)改革などを盛った成長戦略を打ち出してから2カ月あまり。7月25日に首相は「肝心なのは実行とスピードだ」と閣僚らにハッパをかけたが、その後の具体化はほとんど進んでいない。国際通貨基金(IMF)も「構造改革で増税後の憂鬱感の解消を」と背中を押す。
そもそも給付抑制を軸とした社会保障の抜本改革は消費再増税の大前提だ。原子力発電所の再稼働、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉という宿題もこなしつつ、0%台にとどまる潜在成長率という成長の天井を突き破っていくことが、日本経済再生策の本丸だ。
(編集委員 瀬能繁)
[日経新聞9月6日朝刊P.1]
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