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18日、訪韓したローマ法王に慰安婦を引き合わせた朴槿惠大統領〔PHOTO〕gettyimages
朝日新聞の罪と罰第1部 川村二郎(元「週刊朝日」編集長)×河内孝(元毎日新聞常務) 「嘘つき」の話をタレ流し、反日運動に火をつけた
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40321
2014年09月03日(水) 週刊現代 現代ビジネス
慰安婦に関する嘘だらけの報道をタレ流し続けた朝日新聞。国際社会における日本の信用を傷つけた罪は限りなく重いが、謝罪の言葉一つない。その傲慢体質に、愛想を尽かす人たちが続出している。
■ケリはまだついていない
河内 8月5日付の朝日新聞による慰安婦報道の検証記事が、メディア界のみならず、全国民を巻き込んで大きな議論を呼んでいます。'80年代から'90年代にかけて、朝日新聞は「日本軍が強制的に慰安婦を狩り集めた」という内容の報道を行ってきました。
しかしその後、証言を行った吉田清治氏が話を作っていたことが判明しました。最初の誤報から30年以上もたった今になって、朝日は吉田証言に関する記事を誤報だと認めて、取り消すことになったのです。
川村 朝日は最近になって他メディアからの追及が厳しくなって追いつめられ、詰め腹を切らされたという形でしょう。いかにもあわてて訂正しましたという感じで、みっともないですね。
とくに編集担当役員の杉浦信之氏が一面に書いた文章は読むに堪えませんでした。回りくどい自己弁護ばかりで、なにが言いたいのかさっぱり頭に入ってこない。こんなに歯切れの悪い文章を「記者の頭領」が書いてはいけません。
河内 検証報道が出て数日して、新聞社のOBたちが集まる日比谷の日本記者クラブに行きました。すると年配の元記者たちが次から次へとやってきて、朝日の記事のコピーを取っていくんです。
それだけ業界関係者の関心が高く、話題になっているということがわかりましたが、もう一つ明らかになったことは「朝日新聞を自宅で取っている人がそれだけ少ない」ということですね……。
川村 今回の記事が出てから、支局や販売店にまで抗議の電話がかかってきている。本社には右翼の街宣車が来るというので、ガードマンを増員したり、築地署に来てもらったりしている。さっさと謝ればすむことです。
河内 今のタイミングで、検証に踏み切ったのは、経営判断もあると思う。朝日が深刻な部数減少に直面していることとも関係があるのでしょう。朝日の公称発行部数は760万部ですが、ここ十数年ずっと右肩下がりで、毎年のように10万部単位で部数を落としている。慰安婦報道の問題を放置していると、朝日バッシングが過熱し、不買運動が広がる可能性もあった。それを懸念して、この時点で慰安婦問題とケリをつけようとしたのでしょう。
川村 しかし、これではとてもケリをつけられたとはいえないでしょう。東大出のエリートが中心の朝日は、ケンカの作法をわかっていませんね。
今回の検証記事は、吉田証言の他に、'91年に植村隆記者が書いた従軍慰安婦のインタビュー記事についても取り上げていますが、こちらについては「捏造はなかった」の一点張りです。
しかし今、自分がデスクの立場になったと想像してこの記事を読んでみると、明らかに取材不足の内容です。取材が充分でなく、それが原因で反論や批判が寄せられたなら、取るべき態度は二つでしょう。徹底的に論戦をくり広げるか、潔く誤りを認めて謝罪するかです。
ところが朝日は、ひたすら嵐が去るのをやり過ごそうと逃げ回っている感じです。挙げ句の果てに「朝日以外の新聞も吉田証言を取り上げていました」などと、他紙にも責任を負わせようとしている。他も書いたから、自社の罪が軽くなるといわんばかりです。朝日は「慰安婦を雇ったのは日本だけではない」と発言した橋下徹・大阪市長を批判しましたが、同じ穴のムジナですよ。
河内 リベラルであることを自任している朝日は、すぐに「女性の人権」とか「戦争の悲惨さ」といった言葉を持ち出してきます。しかし、事の本質は「嘘つきの話を信じて、間違った記事を書いてしまった」という一点に尽きるんです。
朝日新聞は'89年に、サンゴ写真捏造事件というのを起こしています。朝日のカメラマンが自分で沖縄のサンゴに傷をつけて写真を撮り、日本人のモラル低下を嘆く内容の記事を書いたという事件で、当時の一柳東一郎社長は引責辞任に追い込まれました。
慰安婦報道は間違った歴史認識を日本人や韓国人をはじめ世界中の人々に植え付けて、いまなお続く不毛な反日運動を勢いづかせたという意味で、サンゴ事件よりずっと深刻な問題です。木村伊量社長の進退にかかわる話に発展してもおかしくありません。
■「吉田調書」の真実
川村 私が「週刊朝日」の編集長を辞め、編集委員として朝日新聞に戻ったのは、ちょうどベルリンの壁が崩壊した後で、左がかった編集委員たちが小難しい顔をして、「なぜ共産主義は敗北したのか」「冷戦後のジャーナリズムの役割とはなにか?」なんて大真面目に議論をしていた。
しかし、本当のジャーナリズムというのは、現場に行って、当事者や関係者の話を聞いて事実を集めることでしょう。イデオロギーが先に立って、それに合わせて取材して記事を書いているようでは、リベラルでもなんでもありませんよ。
私はリベラリズムとは「是々非々主義」だと思っています。思想信条や社会的立場のちがいを越えて、いいものはいい、悪いものは悪いと言うのが本当のリベラリズムです。今の朝日にはこういう気風が消えかけています。
河内 戦後、「一億総ざんげ」をして再出発した日本人にとっては、「非核」と「非戦」というのが大きなアイデンティティになってきました。しかし、それはアメリカの核の傘に守られている状況下での平和主義であり、根本的な矛盾がありました。そのようなねじれた非戦思想に寄り添ってきたのが朝日新聞なのかもしれません。
いずれにしてもアジアの融和を説く朝日の過失が、結果として日韓両国において偏狭なナショナリズムを増長させることになってしまった。まさに皮肉としかいいようがありません。
川村 核と原子力に関係する話でいうならば、福島第一原発元所長の吉田昌郎氏が政府事故調査・検証委員会の調べに答えた調書のスクープが、朝日新聞に出ました(5月20日)。吉田調書を手に入れて記事を書いた木村英昭君はとても優秀な記者だと思います。その調書の内容をめぐって、朝日と産経がやりあっていますね。
河内 朝日の記事は「東電社員たちが、所長の命令に違反して福島第二原発に撤退した」という内容。対する産経は「所長の命令に従って退避した」と真逆の形で報じています。
川村 このような調書は話し言葉で書かれていて、読み方が難しいものです。吉田氏が亡くなった今となっては、その真意をつかむことは誰にもできない。
しかし、だからこそ原発事故という未曽有の大災害の真実を伝えるためには、まずは調書の内容を公開し、各紙が一致団結して、そのとき何が起こったのかを追究する必要があります。このような大事故を新聞社同士の抗争の具にするなど愚かしいことです。
河内 朝日と産経が持っている資料がどのようなものかはわかりませんが、紙面を見る限り、まったく相反することが事実として報じられている。データを公表してオープンな大紙面論争で真相を究明するべきだと思います。
朝日は30年間も真実をうやむやにし続けた慰安婦報道と同じ過ちをくり返さないためにも、紙面論争に応じるべきです。
川村 現在、週刊誌や新聞で朝日新聞叩きが行われていますが、もっと激しくバッシングしてもらいたい。ケンカは激しくなればなるほど野次馬が増えますし、メディア業界も緊張感を持ちますから。バッシングされるうちが花で、パッシング(無視)されるようになったら、終わりです。
河内 かつて朝日の記事には本当に信用があった。私も毎日の政治部記者として、ロッキード事件のとき、関係者のインタビューを了解を得た上で転載させてもらったことがあります。でも今では、そんなこと怖くてできない。これは朝日にかぎったことでありませんが、ジャーナリズムの「金属疲労」は相当進んでいます。
川村 私は長年、朝日新聞に勤めてきました。定年の挨拶に「生まれ変わっても朝日で働きたい」と書いたほど朝日に対する思い入れは強い。しかし、最近のすべてをうやむやにしようとする朝日の姿勢を見ていると、「このままで大丈夫なのか」と心配になります。人は誰でも過ちを犯すのだから、それを認めて謝ることがなぜできないのか。
まずは社長自身の言葉で謝罪をすべきでしょう。その上でどういう責任の取りかたをするべきか見極めればいいと思います。
かわむら・じろう/'41年東京都生まれ。慶應大学卒業。朝日新聞社会部記者を経て、「週刊朝日」編集長、同新聞編集委員など歴任。著書に『いまなぜ白洲正子なのか』他
かわち・たかし/'44年東京都生まれ。慶應大学卒業。毎日新聞政治部を経て、同社常務。現在、国際厚生事業団理事など。著書に『新聞社―破綻したビジネスモデル―』他
「週刊現代」2014年9月6日号より
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